ぼくの伯父さん

ALLTIME BEST

劇場公開日:2014年4月12日

解説・あらすじ

フランスの喜劇作家ジャック・タチの長編第3作にして彼の代表作となった傑作コメディ。プラスチック工場を経営するアルペル氏を父に持つ少年ジェラールは、あらゆるところが自動化された超近代的な家で暮らしている。しかしジェラールは堅苦しい自宅で過ごすより、母の弟であるユロ伯父さんと遊ぶのが大好きだった。一方、ジェラールの両親は気ままに生きるユロ氏の行く末を心配し、就職やお見合いをさせようとするのだが……。行く先々で騒動ばかり巻き起こすユロ伯父さんの日常を、近代化・効率化への風刺を交えながらユーモラスに描き、カンヌ国際映画祭審査員特別賞、アカデミー外国語映画賞を受賞するなど国際的に高く評価された。14年、タチの監督作をデジタル復元版で上映する「ジャック・タチ映画祭」でリバイバル。

1958年製作/120分/フランス・イタリア合作
原題または英題:Mon Oncle
配給:日本コロムビア
劇場公開日:2014年4月12日

その他の公開日:1958年12月23日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第31回 アカデミー賞(1959年)

受賞

外国語映画賞  
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映画レビュー

4.5 「鋭い文明批判を笑いに変えるジャック・タチ監督の秀逸さ」

2026年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

幸せ

斬新

 蓮見重彦氏が絶賛するジャック・タチ監督の作品を配信で探し、ようやく見ることができました。

 まさに風刺コメディ映画。ファーストシーンから軽快な音楽に合わせ、数頭の犬が走り回り、一頭の犬だけが豪華な家の中に入っていく。このシーンを見ただけでつかみはOKで映画の世界に引き込まれていきます。

 冒頭からまったく台詞がなく、まるでサイレント映画を見ているような感覚に陥りました。ユロ氏のアパートメントの複雑な構造で、ユロ氏が部屋にたどりつくまでに、すでに笑いが起きてしまいました。

 一方でユロ氏の妹夫婦は、幾何学的な最先端の家に暮らしている。庭に敷き詰められた飛び石。この石を踏まなくては庭を汚くするので、窮屈な体制で歩く姿が笑いを誘います。庭に置いてある魚の噴水、これも笑いの種になります。

 夫婦の息子は伯父さんが大好きです。うるさいことも言わないし、自由に遊ばせてくれるからです。両親はうるさいことを言うので、反抗的な態度をとります。

 ユロ氏は定職に就いていない、独身で呑気者、まったく生産性のない生き方をしています。しかし毎日楽しそうに暮らしています。市井の人たちも仕事をしますが、ガツガツというよりは明るく楽しく暮らしているという空気感が伝わってきます。

 一方の妹夫婦の暮らしはお金持ちで、豪華な家に住み、贅沢の限りを尽くします。それでいてなにか家庭がギクシャクしている。隣人、知りあい、会社の仲間に見栄をはるような生活です。義弟は仕事でも成功していますが、人望はというと・・・。

 義弟の工場の仕事は流れ作業でまるでチャップリンの「モダンタイムス」を意識した表現がなされています。ユロ氏が義弟の工場で働くシーンは、まるで機械に翻弄される人間を描き出しています。

 ジャック・タチ監督は、文明発展をコメディと効果音を絶妙に使用し、笑いに変えて痛烈に批判しています。幾何学的な最新の家に住みながらギクシャクしている様や、人間が機械に働かせられている様や、牧歌的より拡大再生産、豊かになる、成功することによって、いい物を得るという物質主義を批判しているのです。1958年の映画で自動掃除機が使われているのを見たときは、先見性のトップを走るジャック・タチ監督の未来への深い洞察が垣間見ることができました。

 フランス文学や歴史などに詳しい映画評論家の蓮見重彦氏が絶賛する批評にはまったく及びませんが、一映画ファンとしてもこの映画の持っている社会批判や、アイロニーをコメディタッチで映像化するジャック・タチ監督の力量にただすごいとしか言えませんでした。U-NEXTで配信中です。機会があれば多くの人に見てもらい作品でした。

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かな

3.0 社会の寛容さ

2024年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 今作のテーマは社会の寛容さなのかなと思う。ユロ伯父さんは純粋な子どもっぽさを残した良い人だが、社会性に欠けていて、規律という言葉からはかけ離れている。サラリーマンは絶対に務まらないだろうタイプだ。案の定、妹の夫が勤める工場でも使い物にならない。だが周囲はそんな彼を強く咎める訳でも無く、こういう人なのだと受け入れる。作中では街の子供によるイタズラのシーンもしばしば出てくるが、どこか笑って流せるような可愛らしさがある。世の中には様々な人がいるということを認める社会の寛容さが、人々の生きやすさ、社会の温かさにつながる。ひいては社会全体の幸福度の向上をもたらしている。そんなことを考えさせられる映画だった。

 ただ、大した出来事も無い日常生活を中心に描いたストーリーなので、自分にはあまり面白いとは思えなかった。

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根岸 圭一

4.0 タイトルなし

2024年4月21日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

小粋な映画だった。

私は、こちらには、粋なセンスと風刺を感じた。

甥はおじさんと遊ぶのが好きだった。
そしてそんなユロは町の人達にも愛され上手くやっていた。

子どものように、無邪気に、素朴に…
そういう指向、そういうテーマはこの映画に一貫して流れていると思う。
それは、また主に最初と最後に登場するワンちゃんたちの群れ方や無邪気な動きに象徴されていると思う。

ユロの暮らす下町と妹夫婦が暮らす環境とがかなり対比的に描かれていて、その構図そのものと、それから、役立たずと見なされ田舎に追いやられるという結果そのものが、なかなかキョーレツで、社会批判的だと思う。

下町の人たちの間抜けさを描きながらもその眼差しは暖かく、妹夫婦を取り巻く人たちの優雅さや洗練を描きながらも、彼らは陳腐にも描かれている。

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あまおと

4.0 ジャック・タチからの贈り物

2023年4月2日
PCから投稿

何年か前に開催されたジャック・タチ映画祭で鑑賞した。
ヨレヨレのステンカラーコートとパイプがトレードマークのユロ氏の起こす騒動記。背筋を伸ばした姿は、何事にも動じなさそうな雰囲気を漂わせる。自身はボロいアパート住まいのユロにとって、やや上流階級の妹夫婦の住むオートマチック仕様のモダンな家は馴染まないが甥っ子にの為なら何でもやっちゃう。何をやっても上手くいかないユロは、、、。

妹夫婦の家の魚のオブジェが面白い。
甥との交流が微笑ましい。
見ているだけで安心するユロ伯父さん。
存在するホッとする映画のひとつ。

脚本・監督・主演はジャック・タチ
アカデミー外国語映画賞受賞
カンヌ審査員特別賞のコメディ映画。

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星組