醜聞 スキャンダル

劇場公開日:

解説

黒澤明が初めて松竹に招かれメガホンを取った作品。脚本は「野良犬(49)」と同じく菊島隆三との共著である。新進気鋭の画家(三船)と美しい声楽家(山口)が偶然出遭ったところを雑誌記者に盗撮される。まったくの醜聞(スキャンダル)に巻き込まれていく二人。物語の舞台はやがて裁判へ……。いたずらに醜聞を追うジャーナリズムを糾弾する一方で、後半は志村喬演じる弁護士の心情・行動が焦点となっていく。

1950年製作/104分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1950年4月30日

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映画レビュー

5.0不幸な人間にとっては幸福な人間が不幸になるのを見るのは楽しい

2023年9月11日
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鑑賞方法:VOD

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野川新栄

3.5黒澤明監督作品には珍しい法廷劇でした。

2022年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

1950年。監督:黒澤明。主演:三船敏朗。 黒澤明の10番目に監督した映画。黒澤明が40歳。三船敏朗が30歳です。 黒澤作品としては、余り秀作とは言えず目立たない作品。 メロドラマになりそうな素材を、法廷劇に変えた意図は如何に!! オートバイ乗りの三船敏朗。 ソプラノ歌唱する山口淑子。 クズ弁護士の志村喬。 オートバイ。ソプラノ歌手。クズ弁護士。病床の美少女(桂木洋子) 絵のモデル(千石規子) 全ての出演者が図式的で凡庸・・・という珍しい黒澤作品。 三船敏朗が幼く見える。 山口淑子が詰まらない大根に見える。 屑を演じる志村喬がやや珍しい役柄。 モデル役の千石規子がひとり生き生きしている。 伊豆の山で写生中の画家(三船敏朗)が偶然ソプラノ歌手(山口淑子)を、 オートバイの後ろに乗せて伊豆旅館まで送る。 入浴後、ベランダで談笑している場面を月刊アムールにパパラッチされる。 アムールはバカ売れ! 怒った三船敏朗はアムールを名誉毀損で訴える。 後半は法廷劇となる。 買収された弁護士・志村喬のせいで弁護は迷走する。 ここで黒澤と三船のファンなら、ソプラノ歌手との愛が芽生え、ことを複雑にするのを期待してしまいます。 ところがそれは全くなし。 肩透かしです。 バイク野郎・三船敏朗が画家・・・そんな、らしくない中途半端な社会派作品でした。 三船敏朗が美男子だと確認して、良いとしますか・・・。 しかしスターを激写するパパラッチと、 珍しい法廷場面に好奇心旺盛な黒澤明の柔軟性を感じもしました。

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琥珀糖

4.0黒澤明会心の一作

2022年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

GHQ占領下の戦後5年間、日本人の精神性大改造計画の下、忠臣蔵以外の映画製作がやっと認められ、まだ世の中は貧しかったものの、娯楽に飢えていた庶民は、当然、映画館に殺到した。映画産業界にあっては、作れば売れる、まさに古き良き時代であった。敗戦国故の不十分な機材しかない中で玉石混交の作品が発表される中、35歳新進気鋭の黒澤明は、敗戦後の晴れ晴れとした空気の中で、わが青春に悔なし(1946年)、素晴らしき日曜日(1947年)、醉いどれ天使(1948年)、静かなる決闘(1949年)、野良犬(1949年)と、作りたい作品を品質を下げることなく次々と発表していく。そして39歳で放ったのがこの醜聞(1950年)である。おそらく映画作りが楽しくて楽しくてたまらなかったせいであろう、映画は溌溂としており、物語は飽きることなくコメディタッチで最後までテンポよく進む。三船敏郎も若くてきれいだし、山口淑子も沢口靖子に似ていて大変美しい。小沢栄太郎は根性悪の役をいつも通り見事に演じているし、千石規子がびっくりするくらい若くて後年脇に回った婆さんの役しか見ていなかったから実に新鮮だ。もちろん主役は志村喬で、最後にお約束通り娘が死んで制約から解き放たれ正気を取り戻して正義が勝ったところで話は終わるのだが、作品全体のトーンが少し書生っぽいところが気になるものの、黒澤明が最も好む素朴な人間賛歌映画となっている。このテーマは、わが青春に悔なし(1946年)、素晴らしき日曜日(1947年)、醉いどれ天使(1948年)、羅生門(1950年)、生きる(1952年)、どん底(1957年)、赤ひげ(1965年)、どですかでん(1970年)と繰り返し描かれるが、黒澤明の永遠のテーマなのであろう。志村喬の、「あぶない、あぶない」というセリフが、11年後に作られる用心棒(1961年)の三船敏郎のセリフで使われていたり、12年後に作られる椿三十郎(1962年)の加山雄三のセリフで使われていたり、「不幸な人間にとっては幸福な人間が不幸になるのを見るのは楽しい」というセリフが13年後に作られる天国と地獄(1963年)で山崎努が三船敏郎に拘置所で吐くセリフに使われていたりで、これらは黒澤明の本音なのかもしれない。公開当時のこの作品を見た観客は、素朴に、三船敏郎に、山口淑子に、志村喬に、千石規子に、桂木洋子に、場末の飲み屋で蛍の光を歌った人々に、それぞれ自己を投影し未来に希望を持ったであろうことは想像に難くない。それほどうまくこの作品は作られている。後にコストや製作計画から解放された故に七人の侍(1954年)は別格としても必ずしも面白い作品は少なくなっていく黒澤明だが、この頃はまだ黒澤明の主張と興行をうまく両立させており、この作品は黒澤明会心の一作であることは間違いない。当時の美しい日本語が聞けるのも今となっては価値がある。

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hjktkuj

2.0主役は志村喬だ。歯並びを変えたのかと思うほど、他作品と表情所作が違...

2020年5月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

主役は志村喬だ。歯並びを変えたのかと思うほど、他作品と表情所作が違う。とんでもない役者。しかし話は勿体ない。最後に何かあれば(歌手が本当に絵描きを好きになるとか)傑作の部類だったが。ところで黒澤明は広場の沼が好きだね。

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kazuyuki

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