ネバーランド

ALLTIME BEST

劇場公開日:2005年1月15日

解説・あらすじ

「ピーター・パン」の作者である劇作家ジェームズ・バリと、同作のモデルとなった少年との出会いと交流を、実話に着想を得て描いたヒューマンドラマ。

1903年、ロンドン。劇作家ジェームズ・バリは、夫を亡くした女性シルビアとその4人の息子たちと出会う。少年の心を持つバリはすぐに子どもたちと仲良くなるが、繊細な三男ピーターは父の死によって心を閉ざしていた。夢を信じる心を失いかけていたピーターは、想像の翼を広げることをバリに教えられ、次第に心を開いていく。バリもピーターとの交流を通して創作への情熱を呼び覚まされ、ネバーランドに住む大人にならない少年の物語を生み出す。しかしそんな彼らを悲しい出来事が襲う。

ジョニー・デップが劇作家バリを好演し、後に「チャーリーとチョコレート工場」でもデップと共演するフレディ・ハイモアがピーター、ケイト・ウィンスレットが母シルビアを演じた。アラン・ニーの戯曲を原作にデビッド・マギーが脚本を手がけ、「チョコレート」のマーク・フォースターが監督を務めた。2005年・第77回アカデミー賞で7部門にノミネートされ、作曲賞を受賞。

2004年製作/100分/イギリス・アメリカ合作
原題または英題:Finding Neverland
配給:東芝エンタテインメント
劇場公開日:2005年1月15日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第77回 アカデミー賞(2005年)

ノミネート

作品賞  
主演男優賞 ジョニー・デップ
脚色賞 デビッド・マギー
編集賞 マット・チェシー
衣装デザイン賞 アレクサンドラ・ビルヌ
美術賞  

第62回 ゴールデングローブ賞(2005年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ジョニー・デップ
最優秀監督賞 マーク・フォースター
最優秀脚本賞 デビッド・マギー
最優秀作曲賞 ヤン・A・P・カチュマレク
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映画レビュー

4.0 【87.9】ネバーランド 映画レビュー

2026年1月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

マーク・フォースター監督による2004年公開の映画「ネバーランド」(原題: Finding Neverland)は、20世紀初頭のロンドンを舞台に、不朽の名作「ピーター・パン」の誕生秘話を、慈しみ深い眼差しで描き出した珠玉のヒューマンドラマである。本作は、喪失の痛みを抱える人々が、想像力の翼を得て再び前を向く過程を、至高の映像美と演技で紡ぎ出している。映画史における位置付けとしては、ファンタジーとリアリズムを完璧な調和で融合させ、大人の中に眠る「子供の心」を肯定した、2000年代を代表する心震える一篇と言えるだろう。
作品の完成度について考察する。本作の最大にして唯一無二の魅力は、現実の厳しさを描きながらも、それを包み込むような優しさに満ちた構成にある。劇作家ジェームス・バリが子供たちとの遊びを通じて物語の着想を得る過程を、観客がバリの視点そのものを追体験する形で提示しており、その没入感は圧倒的である。物語はあえて複雑な衒いを排し、純粋で直線的な感動へと向かう。この「潔いまでのシンプルさ」こそが、観客の心の最も深い部分に真っ直ぐに届く強度を生んでいる。あまたの映画が技巧に走る中で、本作のように「物語の力」そのものを信じ切り、混じり気のない感動を供する姿勢は、一つの究極的な完成形と言っても過言ではない。
ジョニー・デップ(ジェームス・マシュー・バリ役)の演技は、もはや一つの奇跡である。彼はそれまでの華やかなキャラクター造形を完全に封印し、繊細で内省的な芸術家の魂を見事に体現した。バリという人物が抱える、周囲の大人たちとの静かな隔絶と、子供たちに対する無垢な共感を、眼差し一つで表現している。デップは、現実に足をつけながらも心は常にどこか遠くを見つめているような、バリの危うさと純粋さを過剰な演出なしに構築した。彼が見せる慈しみ深い表情は、マーロン・ブランドやロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノといった伝説的名優たちがその全盛期に到達した「役の魂と自己が完全に消失し、ただ存在そのものが役になる」という神域に達している。本作のデップは、演技という枠を超えた、実存の重みを感じさせる至高の仕事を成し遂げた。
ケイト・ウィンスレット(シルヴィア・ルウェリン・デイヴィズ役)は、四人の息子を抱えながら病魔と闘う未亡人を、芯の強さと透明感を持って演じきった。彼女の存在は、物語に「生」の尊さと「死」の厳粛さを与え、バリの空想世界に揺るぎない現実の重みを加えている。
フレディ・ハイモア(ピーター・ルウェリン・デイヴィズ役)の演技は、観る者の魂を揺さぶる。心を閉ざした少年が、バリとの交流を経て想像力の喜びを知る過程を、類稀なる感受性で演じ切った。
ダスティン・ホフマン(チャールズ・フローマン役)は、バリを支える興行師を軽妙かつ洒脱に演じ、作品に豊かなリズムと格調高い風格を添えている。
ジュリー・クリスティ(デュ・モーリエ夫人役)は、クレジットの最後を飾るに相応しい重厚さで、厳格な階級社会の象徴を見事に演じた。彼女が見せる一瞬の表情の揺らぎが、物語の終局に深い救いをもたらしている。
脚本とストーリー構成は、アラン・ニーの戯曲をデヴィッド・マギーが脚色したものである。本作は、誰もが知る「ピーター・パン」という題材を扱いながら、その裏側にある人間ドラマを一切の虚飾なく描き出した。その語り口は王道であり、普遍的な美しさに貫かれている。この「王道を行く勇気」こそが、時代を超えて愛される作品としての品格を形作っている。
音楽については、ヤン・A・P・カチュマレクによるスコアが、この魔法のような物語に命を吹き込んでいる。ピアノとストリングスが奏でる旋律は、優雅さと一抹の哀愁を同居させ、観客をネバーランドへと誘う。第77回アカデミー賞作曲賞受賞も頷ける、映画音楽史に輝く傑作である。
本作は、アカデミー賞作品賞を含む7部門にノミネートされるなど、その高い芸術性が世界的に認められた。
総じて「ネバーランド」は、現実を生き抜くために「物語」がいかに必要であるかを教えてくれる。ジョニー・デップによるキャリア最高の演技と、すべてを包み込む音楽、そして一切の雑味を排した純粋なストーリー。それらが奇跡的なバランスで融合した本作は、観るたびに新たな気づきと勇気を与えてくれる、誠実で気高い秀作である。

作品[Finding Neverland]
主演
評価対象: ジョニー・デップ
適用評価点: 10(S) × 3 = 30
助演
評価対象: ケイト・ウィンスレット、フレディ・ハイモア、ダスティン・ホフマン、ジュリー・クリスティ
適用評価点: 9.25(平均値) × 1 = 9
脚本・ストーリー
評価対象: デヴィッド・マギー
適用評価点: 8(B) × 7 = 56
撮影・映像
評価対象: ロベルト・シェイファー
適用評価点: 8(B) × 1 = 8
美術・衣装
評価対象: ジェマ・ジャクソン
適用評価点: 9(A) × 1 = 9
音楽
評価対象: ヤン・A・P・カチュマレク
適用評価点: 10(S) × 1 = 10
編集(加点減点)
評価対象: マット・チェイス
適用評価点: +1
監督(最終評価)
評価対象: マーク・フォースター
総合スコア:[87.9]

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honey

4.0 3.8

2025年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

辛いときにも夢見る世界は大切。
4人兄弟は立派に育って欲しい。

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トシ

5.0 ネバーランドとナルニア国が存在してるって信じてた幼い頃を思い出しました

Aさん
2025年12月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

幼い頃何度も観たことあってなんとなく感動系だったなーって思いながら大人になってから初めての鑑賞。
ジェームズや子供たちのセリフが胸に刺さってボロ泣きでした。
幼い頃空想大好きだった頃を思い出させてくれてありがとう。。
お気に入りのひとつになりました。
そして、原作のピーターパンを読みたくなりました。

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共感した! 1件)
A

4.0 【”空想する劇作家が、父を亡くした少年に想像力の大切さを教える物語。”今作は、哀しい時こそ夢みる事の大切さを描いた、ピーターパン誕生真実を描いた静なる感動を齎すヒューマンドラマなのである。】

2024年12月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

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NOBU