ミュンヘン

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劇場公開日:

解説・あらすじ

スティーブン・スピルバーグ監督が、1972年ミュンヘンオリンピック開催中に起きたパレスチナ武装組織によるイスラエル選手団殺害事件と、その後のイスラエル諜報機関による報復作戦を実話に基づいて描いたサスペンスドラマ。ジョージ・ジョナスのノンフィクション小説を原作に、「フォレスト・ガンプ 一期一会」のエリック・ロスとドラマ「エンジェルス・イン・アメリカ」のトニー・クシュナーが脚本を手がけた。1972年9月5日、ミュンヘン五輪の選手村にパレスチナの武装組織が侵入し、イスラエル選手11人を殺害する事件が発生。イスラエルの諜報機関モサドはその報復として、首謀者11名の暗殺計画に乗り出す。暗殺チームのリーダーに任命されたアブナーは妊娠中の妻を置いてヨーロッパへ渡り、標的を1人ずつ抹殺していく。「トロイ」のエリック・バナが主演を務め、後に6代目ジェームズ・ボンドとなるダニエル・クレイグ、「シャイン」のジェフリー・ラッシュが共演。

2005年製作/164分/アメリカ
原題または英題:Munich
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2006年2月4日

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写真:Everett Collection/アフロ

映画レビュー

3.5暗殺の裏にある二つの心情。

2024年9月3日
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鑑賞方法:VOD
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すっかん

4.5こんな道の先に平和はない

2025年3月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

セプテンバー5を観て、改めてこの映画を見ることにした。
ミュンヘンオリンピック事件は1972年。今は2025年。イスラエルとパレスチナの戦争はいまだ続いている。ガザ停戦も一時的なものだろうから、この復讐の連鎖は果てしなく続き、終わりなど見えない。
ミュンヘンオリンピックの事件は領土(人々が生活する土地)の奪い合いの果て、相互の憎しみの増幅がもたらした戦争(殺し合い)であり、パレスチナ側が世界に知らしめる為に起こした象徴的な事件だった。なので、その後も復讐の連鎖は続き、イスラエルは首相の指示でこの事件の首謀者を殺害する命が、映画の主人公を含む5人に下った。殺しの経験などない5人だったが、1人2人と殺害を実行するなかそれは日常となり不思議な連帯感も生まれてきた。しかし、そんなことがいつまでも続く訳もなく仲間も1人2人と報復を受けて死に絶えていく。
祖国と同胞と家族を守る為の殺戮?そんなものある訳ない。世界屈指に頭の良いユダヤ人。もう、いいかげんにしたらどうか?
「こんな道の先に平和はない」と主人公はラストシーンでかつての上司に言い放つ。その通りである。

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アベちゃん

4.0復讐の連鎖の虚しさを強く感じる重々しさはあるけど、作品としては重厚で格調高い超一級の仕上りで素晴らしいです

2025年2月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

『セプテンバー5』を観た流れでストーリーとしてはその続きが描かれる本作を初公開時以来久しぶりに観ました

1972年ドイツのミュンヘン・オリンピックでイスラエル選手団が惨殺されたテロ事件の指導者達を暗殺するため、イスラエル諜報機関がヨーロッパ内に工作員を送り込むという一見ヒロイックなアクション巨編と思いきや予想に反して全く異なる人間ドラマです

本作の一番のポイントはこれがスティーヴン・スピルバーグ監督作品ということ
映画史を塗り替えるエンタメ作品群のクリエイターが作ったとは思えないほどの重厚な作りに度肝を抜かれ、それ以上に制作姿勢に感銘を受けました
監督はユダヤ系アメリカ人なのに本作ではイスラエルの黒歴史を真っ向から描き出し、しかも工作員達を英雄として描かず むしろその逆を描き、人間の尊厳というところをえぐるテーマに挑むことで世界中の同じユダヤ系の人々からバッシングを受けました
どんなに非難されようとそれ以上に監督は世界平和を祈るために本作を作り上げなければならず、心骨を注ぎ やり遂げた事が本当に素晴らしい事だと思います

そんなスピルバーグ監督渾身の本作は1970年代を完璧に再現した重厚で美しいレトロな映像、終始 緊張感たっぷりに描かれるスリリングで秀逸な脚本、主人公の工作員リーダーを演じるエリック・バナさんの哀愁たっぷりで苦悩する迫真の演技や『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)公開直前のダニエル・クレイグさんの若々しく荒々しくもある確固とした演技が楽しめる見応えたっぷりのドラマに時間を忘れグイグイ引き込まれました

シリアスな中にも食事のシーンが多いのが印象的、マーティン・スコセッシ監督の実録マフィア作品みたいで興味深かった

全編に渡って出てくる人が殺される描写がとても残酷で苦手な人も多いかも、特に女殺し屋の殺されるくだりがとても印象的、さらに主人公達の殺しが毎回スムーズにいかないのもリアルで緊張感たっぷり

と、どの要素を切り取ってもゴージャスで超一級の気品あふれる傑作だと思います

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Jett

3.5血で血を洗う

2025年2月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

先日セプテンバー5を観に行ったので、その後の話を描いているということもあり鑑賞。スピルバーグ自身がユダヤ系ということもあり果たしてフェアなのか?と思いもしたが、報復措置を決して正当化するような内容にはなっていなかったと思う。

黒い9月によるテロ事件後、報復措置としてイスラエル政府は事件に関わった幹部の殺害を命じる。粛々と任務を遂行していく主人公たち。政府主導で報復や!と人殺しを命じる時点でこの民族間の歪みはますます大きくなっていく。目には目を、復讐には復讐を。流された血の報いは血を流して償ってもらうと。命令しているだけの政府は痛みを伴わないけれど、実行している人たちには確実に心のダメージが蓄積されていく。職務のために人を殺す。とても残酷な命令やと思う。

テロ行為は決して許されないが、劇中でパレスチナ人という男性がイスラエルに故郷を奪われたと訴えるシーンがある。自分たちが住んできた土地がイスラエルに奪われ居場所をなくしその気持ちが憎しみの連鎖へとつながっていく。人の数だけそれぞれの思いがありこの問題がいかに複雑で解決が難しいのか痛感する。

本題からは逸れるが、歴史の授業ってこういう事件がありました。ってただ、歴史の一ページとして習いがちやけど、その事件や出来事を背景にした争いが現在まで続いているというのはなんとも虚しい気持ちになる。学生時代に世界史を専攻していた私としてはその勉強していた当時にこういった映画を観れば良かったなと歴史を学ぶことの意味を考えさせられた。

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