命懸けの抗争と南北戦争、ニューヨークもアメリカ国内もすでに分断していた。特にアイルランド移民と黒人差別は酷いありさまだ。
抗争で殺された父親の復讐劇だ。しかし力を持っているボス、すなわち復讐する本人になびいて一緒に仕事をする。自分の身元がばれて復讐に転じる。ここに残忍なほどの復讐劇の片鱗もないのがこの映画の最大の欠点だ。
しかし戦闘シーンのバイオレンス描写は容赦なく、壮大な美術セットの数々、禁断のラブロマンス、どれをとってもスコセッシの演出の凄味が感じられる。
レオナルド・ディカプリオ、キャメロン・ディアスの演技もよいが、何と言っても狂気をまとう悪党ダイエル・ディ・ルイスの演技は圧巻だった。彼の極悪人を思わせる演技がなければこの映画は成立しなかった。
ニューヨークのファイブ・ポイント地区の抗争。抗争の後に何も残らず、時代はどんどん進み、彼らのことを誰も覚えていない、虚無的な余韻が残る。人間はある面まったく進歩していない。力による覇権争い、分断。時代は何世紀にわたって繰り返され、今なおどこかの国の大統領、トランプ何某とかプーチン何某が性懲りもなく愚挙を繰り返しているのを見ると、人間の馬鹿さ加減、好戦性が哀しく、どうして平和に暮せないのかという根源的な問いに戻ってしまうばかりだ。