ギャング・オブ・ニューヨークのレビュー・感想・評価
全27件中、1~20件目を表示
20年前の映画、160年前の出来事の物語 それでも極めて現代的なテーマなのだ 少しも人類は進歩していなかったのだ
2002年公開作品
物語は、一口で言えば19世紀半ばのNYにおけるギャング団同士の抗争だ
ギャングと言っても、マフィアとかのイメージではなく、ただの地元のごろつき集団といった程度
それが将来の米国のマフィアやギャングの始まりになっていくことが描かれている
つまりマフィアなどは、いきなり米国に現れたものではなく、このような下地や経緯があって生まれ育っていったことを教えてくれる
ゴッドファーザーのドン・ヴィト・コルレオーネの青年時代のシーンは1907年頃だから、本作はそれよりも50年も昔の話
スコセッシ監督自身の1993年の映画「エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事」は1870年頃のNYが舞台だから、それよりもまだ一世代古いNY がどのようなところであったのを描く
舞台はNY のファイブポインツという土地
場所はマンハッタン、今のシビックセンター辺り
地下鉄コロンバスストリート駅の周囲
そこはチャイナ・タウンの西隣、そしてリトルイタリーの南隣でもあるのだ
というかオーバーラップしている
つまりスコセッシ監督の生まれ育ったところであり、イタリー系マフィアの発祥の土地
そこの物語なのだ
本作の40年ほど後の1890年代には、ファイブ・ポインツ・ギャングが現れる
有名なポール・ケリーが創設したイタリア系のギャング団
アル・カポネ、ラッキー・ルチアーノなども若いころはこの構成員だったという
マフィアの直接のルーツに当たる
つまりアイルランド系に変わって、今度はイタリア系がこのスラム街に流れ込んだということだ
1871年のイタリア統一で、わりをくったシチリア島やイタリア南部の人々が1880年代以降に米国に移民していったのだ
そういう土地の物語なのだ
本作の時代のそこは、ロンドンのイースト・エンドと肩を並べる西欧最悪のスラム街と悪名で知られていたという
本作でも1968年の映画「オリバー!」で描かれた1830年代のロンドンのスラム街イースト・エンドの様相以上の劣悪さで表現されている
その最悪のスラム街では、白人と黒人が入り混じって居住していたし、アイルランド人など遅れて米国にやって来た移民達がたちまち食い詰めて流れつく場所でもあったのだ
「人種のるつぼ」の原形はここだったといわれるそうだ
今では再開発されて、シビックセンターと呼ばれる官庁街のようになっている
その再開発は20世紀に入ってからだそうだから、ちょうどドン・コルレオーネの青年時代のことになる
冒頭の乱闘シーンは1857年7月4日から5日にかけてのデッドラビッツ暴動
ラストの暴動シーンは1863年7月13日のニューヨーク徴兵暴動
どちらも史実だ
この年と日付にピン!と来なければならない
そして、アイルランド系移民と独立戦争以前に米国にきていたイングランド系の移民との争いだけに目を奪われて、黒人がなぜアイルランド人側にいるのかに疑問をもたねばならない
そうでなければ、何も分からないまま単に大昔のギャング団の抗争と復讐潭の底の浅い映画としか観ることが出来ないだろう
冒頭の1857年の暴動は米国の独立記念日に始まっている
1827年のこの日は、ニューヨーク州が奴隷解放を行った日でもあった
その30年目の節目の日だったのだ
そしてこの1857年の3月にはドレッド・スコット対サンフォード事件があった
詳細は各自でお調べ頂きたい
要は州が勝手に奴隷制を廃止することを認めないという連邦最高裁の判決だ
これが南北戦争の遠因になったのだ
なぜこの年のこの日に暴動と呼ばれるような抗争が起きたのか?
それでお分かりになったと思う
そして1863年はもちろん、リンカーン大統領が1月1日に奴隷解放宣言をした年
つまり南北戦争を南部諸州の連邦からの離脱阻止の戦いではなく、奴隷解放の為の戦いであると定義し直したことで明けた年であったのだ
だから本作でも、なんで黒人の為に徴兵されて戦争に行かないとならんのだというやり取りのシーンが登場するのだ
だから黒人がリンチを受けるのだ
それがやがて暴徒が略奪をする暴動にまで至ってしまったのだ
この米国史上最大最悪の暴動は、本作に描かれる通り結局米軍即ち北軍が武力鎮圧する
そして南北戦争で、黒人もアイルランド系移民も大量に徴兵されて北軍として戦い、これに勝利する
どちらも史実だ
このようにして、今の米国は成り立っている
その事を知らなくてはならない
このような戦争をへて、初めてアメリカは人種の統合を果たしてきたのだ
そのはずだった
それが本作の本当のテーマだ
父の仇への復讐潭などは物語にするための方便に過ぎない
アメリカ人なら自国の歴史として学校で習うことかも知れない
しかし私達日本人には全く知らないことだ
こうしたことは調べなくては分からないことだ
しかし一体何の映画であったのかのヒントに気がついて、自分で調べていくことは大事だ
それをスコセッシ監督は期待しているのだ
観客を信頼しているのだと思う
ファイブポインツ
そこは米国の歴史において、貧困によるものとはいえ自由意志に基づく大規模な人種間統合の始まりの場であったのだ
しかし、その結末はどうだ
アイルランド人に代わって、今度はユダヤ系、イタリア系、中国系、アラブ系と次々に米国には移民が流れこんだのだ
ハワイや西海岸には日系も同じように移民したのだ
カトリック、英国教教会、プロテスタント、仏教、イスラム教
それぞれの神に同じことを願いつつ対立する
キリスト教などは同じ神ですらあるのにそうなのだ
神や宗教が一層対立を深くしてしまう
そのシーンも本作で描かれる
ファイブポインツは、もう影も形も地名すら無くなってしまった
しかし人種の対立は何も変わっていない
本作の公開は2002年11月
本来は2001年12月の公開予定であったのが911で延期されたのだ
ファイブポインツの対立は、このように21世紀では、米国とイスラムとの対立の構図となり破滅的な事件となったのだ
そこから米国は20年に及んだテロ戦争に突入したのはご存知の通り
2021年1月6日、アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件が発生した
何かもう数年前のようで、まだ今年の出来事だ
これもまた、国論の対立で起こったようで、実はその根元には人種の対立があるように思われる
ファイブポインツの構図は終わっていない
今もなお米国を苦しめている
米国だけに限らない
日本もそうだし、どの国もそうだ
人類の宿痾だ
それでもこの宿痾は無くさなくてはならない
再開発されてシビックセンターに生まれ変わったように
さも無ければ本作のように暴力には暴力となり最終的には「南北戦争」に至るのだ
南北戦争が全世界に広がってしまうのだ
自分たちのすむところがそうなってしまうのだ
20年前の映画、160年前の出来事の物語
それでも極めて現代的なテーマなのだ
少しも人類は進歩していなかったのだ
さすがスコセッシ監督らしい、素晴らしい傑作だ
ひっさしぶりになんとなーく見返したら、ミスターメルセデスの彼じゃな...
ひっさしぶりになんとなーく見返したら、ミスターメルセデスの彼じゃないか!奇遇だね!
毎回言ってる気もするけど、スコセッシはハズレないなあ。
ニューヨーク
アムステルダムの守りたかったものは父の復讐の誓い
父の守りたかったものは、信心と、仲間
ビルの守りたかったものは自分自身の誇り
昔人々は生きるために、権利のために、己の誇りのために命をかけて戦った。
立場は違えど、日々を生きているのは皆同じで、信条や信念、身分や肩書きが少し違うだけ。
アイルランドとニューヨークの関係を知らなかった。
多くの人が血を流し、その先に今の私たちがいる。
先の時代の人間が、大きなものと戦ったから、私は今血を流すことなく生きられる、家族を失わずに済む。
ニューヨークだけでなく、多くの地できっと同じことが起きていたけど、命をかけて戦った人々を、私は何も知らない。
アムステルダムの変わる状況と信念との葛藤が面白かったです。
激しいバイオレンスに目を背けたくなるが暴力に隠された様々な世界観に...
激しいバイオレンスに目を背けたくなるが暴力に隠された様々な世界観に引き込まれていく。何度も山場があり最後まで釘付けだった。
ワンス・アポン・ア・タイム
19世紀半ばのニューヨーク、アメリカ生まれのネイティブ派と移民派が抗争を続けていた。
ネイティブ派のボス(ダニエル・デイ=ルイス)は移民派のボス(リーアム・ニーソン)を殺し、君臨していた。
移民派ボスの息子が成長(レオナルド・ディカプリオ)、新たなドラマが始まる。
キャメロン・ディアスの扱いが中途半端なのは可哀そう。
映画館で観たとき、後ろに小泉と安倍が座っていたのでビックリ。
巨大都市の創世記
スコセッシ監督のNYは毎度のように独特の匂いを感じさせた。世界一の街、創世記の混沌は今にも続いている。テロ攻撃を受けたのもあっての映画化か?
もともとは移民の癖にネイティブを自称するのは笑わせるし、この頃から、貧富の差は大きすぎる。まるで別の世界のようだ。
主役3人は良かった。キャメロン・ディアスは輝いていいたころだし、ダニエル・デイ=ルイスはディカプリオを食っていた。
ギャング
恐ろしい場面が多いので怖がりさんは観ない方が良いですね。
役者が豪華なのに評価が低いので気になって視聴。
好き嫌いがわかれると思う。
自分は残虐なシーンが好みではないと理解出来た点では良かったかも。
タイトルなし
こうした歴史の中にニューヨーク、アメリカがあるのは、事実なんだろうと思う。
映画としても、テンポよく進むので、面白い。
暴力団とマフィアとギャングは同じ
悪い奴らが、殺し合うだけの映画です。
悪いやつが、盗む、脅す、殺す、レイプ、それだけを観たい人観てください。
これはもう戦争
激しい抗争というより正に戦争。ヴァロン神父(リーアム・ニーソン)は抗争の末、殺されてしまう。アイルランド系移民の敬虔なカトリックというイメージは、ディカプリオが真っ先に聖書を河に捨てるところで崩れ去ってしまう。
南北戦争前夜のニューヨークの一大叙事詩。舞台はチネチッタ・スタジオに巨大な劇場やレンガのビルを建て、セットの壮大さに感動するばかり。ファイブ・ポインツのネイティブズ対移民グループを主軸として、徴兵制を逃れるギャングたち、ビル・ザ・ブッチャーに復讐心を燃やすアムステルダムという構図なのだが、中盤までが面白い。シェークスピアの劇のように、正体を隠してボスの手下として取り入り、復讐する絶好のチャンスを何度も逃す。終盤の大暴動などはオマケに過ぎない。
とにかく3時間を超える映画は疲れます。もっとすっきり描いていたら、絶対に素晴らしい映画になっていたに違いない。
一発屋、スコセッシ!
単純
寝られる
ギャングやマフィアに何のロマンも感じないのだが。
社会のダニとしてまともに描いた方が良いと思うのだが。
スコセッシもハリウッドも穢れた存在なので共感するのだろうか。
彼の作品でまともなものはタクシードライバーだけでしたね。
ギャングが名誉とかプライドとか片腹痛いわ!
歴史がさもありなんの見掛け倒しの仰々しさは痛々しい限りだ。
撮影は金だけはかけたのだろうと解る程度だ。
さもしい人殺し、盗人、放火魔、嘘つき、良心の欠片もない、そんな奴らが、自分のヒストリーやレジェンド、プライドを語りあうのだ、お笑いではないか。
とても笑えんけど。
よかった
冒頭の暴動以外は退屈で長いという評価を目にして、ずっと見なかったのだが、その前提で見たせいかけっこう面白かった。父親の仇に気に入られて本人もまんざらでもない、みたいな感じがよかった。クライマックスの暴動もよかった。
でもやっぱり長い。
スコセッシ×ディカプリオ
マーティン・スコセッシ監督と、レオナルド・ディカプリオの出会いの作品。
長い…
そして意味がわからない…
史実の裏の出来事として描かれた作品だけど、その歴史を知らないと、何が起こってるんだかわからない。
って、その前に、ストーリーがつまらなかったけど(^_^;)
とりあえず、ディカプリオはやっぱし若い頃はカッコよかったな。
ってゆーか、ジョニー役のヘンリー・トーマスって、見たことあると思ったら『E.T.』の主役の男の子かぁ~
凡作の域を超えていませんでした
[構想30年、撮影270日。巨額の製作費を投じて挑んだマーティン・スコセッシ監督の超大作] という宣伝文句につられてみたものの、 凡作の域を超えていませんでした。
1840年頃のアメリカの はなしです。 個人的に、 この頃のアメリカをよく知らなかったので、 興味深かったです。 白人という人種が いかに下劣な鬼畜生物かを知るには理想的でした。 ただし、 ストーリーは薄く、 冗長な箇所が目立ちました。 てきのボスは かっこよかったものの、 それ以外の人間は (主人公も含めて) 魅力的では なく、 たいして感情移入もできませんでした。
てきのボス (ビル) が主人公 (レオナルド・ディカプリオ) に [見世物小屋にふさわしい顔にしてやる] といって焼きごてを当てますが、 実際には小さなやけど程度でした。 かなり不自然に かんじられました。 レオナルド・ディカプリオの [醜状 NG ルール] に引っかかったのは明白でした。 こんなことなら、 平凡な顔でもいいから、 原作に忠実に [顔に やけどのあとを作れる俳優] に主人公をやってほしかったです。 レオナルド・ディカプリオの映画は二度とみたくありません。
ちなみに、 [ギャング・オブ・ニューヨーク] であるにも関わらず、 ギャングは登場しません。 英語の gang が多義語であることが原因です。
少し難しかったけど
切ない内容でした。
しょっぱなから父親が殺されて・・・
話の流れもある程度は予測ができて、話がわかりやすくて良かったです。
その上でも、とても見ごたえのある内容でした。
個人的にはVODで自宅で家事をしながらみていたせいか、あとであらすじをネットで見直して理解したところもあります(笑)
多分、ちゃんと見ていたら流れはきっちりと理解できたと思います。
ブッチャーの性格のおそろしさよ!アムステルダムは筋を通すいい男!!
ダークな内容ではあったけど、重すぎず、それぞれの人間性も描けていてとても良かったです。
美しさの残るディカプリオがいいですねー。
やっぱりもってかれた
ダニエルデイルイスがやっぱりもってってしまうんだよなー。
スコセッシの得意なやつでした。
ギャングというより…
ニューヨークとアメリカの歴史のお話。ギャングの話…と思って観ると違うなーってなる。
敵役のビルはとてもかっこいい。神父との関係性も良かった。そちらのほうに焦点を当ててほしかった。移民問題や市民の暴動で、主人公の復讐等の諸々の問題がどうでもよくなってる感があり非常に残念。あと長すぎる。
アメリカ人の傲慢さ
昔々のある程度、史実に沿ったギャング映画を壮大に撮った歴史大作になる筈で公開当時は期待度がMAXで劇場に足を運んだ。
ディカプリオが男らしく逞しくなった印象で役者としてこれからが楽しみな、今ではオスカー俳優に。
ギャングの抗争や組織の仕組みなどを中心に描いている訳では無く簡単に言えば復讐モノ。
ブッチャーの存在感にナイフを投げマクる場面はヒヤヒヤして興奮したが基本的な話の流れは淡々と。
「タイタニック」でオスカーにノミネートされなくて本作では完全にダニエル・デイ・ルイスに食われて主役の筈がディカプリオでは無くダニエル・デイ・ルイスが主演男優賞ノミネートで「ジャンゴ 繋がれざる者」ではブッチャー的な悪役で助演したが見事にC・ヴァルツにオスカーを持って行かれたディカプリオ。
インディアンを迫害し土地を奪いアフリカから黒人を拐って奴隷にして今だに黒人差別は残り。
そもそもアメリカ人って最初の移民で他所者は受け入れずに邪魔者扱いで奴隷制度の撤廃で人種差別をKKK。
本作が描いた1846年のアメリカと今現在のトランプ政権のアメリカの違いが全くないかの如く移民排除に動いているアメリカ。
ギャングを背景にしながら愚かしいアメリカを描いているスコセッシにラストもギャングの抗争よりか暴徒と化した民衆の暴動に軍隊との内戦で中心になる筈の古きギャングたちを疎かにしているようで。
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