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優れた続編というと、「ゴッドファーザーPARTⅡ」、「スターウォーズ帝国の逆襲」、「エイリアン2」、「ターミネーター2」、「バック・トゥ・ザ・フューチャーPARTⅡ」などが挙げられる。ここにまた1本、歴史に、少なくともオレの中で、誕生した。
いや、スキのなさ、全編エモさ爆発の本作は、それらの中でもトップクラス。
28シリーズ
「28日後」と「28週後」については、特に思い入れもないのだが、日後のオープニングでチンパンの脳波に人類の暴動の動画を仕込まれているような設定、つまり人類同士の争いを仕込んで作られたウィルスであることになかなか興味があったが、印象に残ってたのはそれぐらいだ。
28年後
前作「28年後」は「ウォーキングデッド」などを経てからのものだったので、今さら感はあったが、映像のキレと音響、母の死を想い、しゃれこうべを捧げる少年の成長譚としてとても面白く観た。そして本作。
28年後 白骨の神殿
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本作、前作とほど同時期に撮影がされていることからも、ダコスタ監督が起用されたのも、製作陣にはしっかりとした構想があり、美しい風景の引きの画や、人物の横顔のアップや、画角を有効に使った画面両端に人物を置いての対話シーンなどの撮影や音響、エモいタイミングでの適切な挿入歌などは、ボイルのスタイルを踏襲して、「年後」の新シリーズとして、統一感は持たせつつも、「平和で静か」なシーンと、「人間の残虐かつコミカル」なあたりは、ダコスタ監督が任されたという印象で、その責務に大きく応えている。
いや、オレ自身は、ダコスタ監督のカット割のほうが、もう最高に気持ちよかった。とにかく、無駄も、スキも全く感じられない、すべてのカットが美しくカッコよい109分。
・ジミーズ
製作陣の明かす、イギリスのジミー・サヴィルについては、良く分からないが、この人物のパブリックイメージと裏の顔の象徴としてモデルにしたというが、カリスマ性を掲げて、色違いで見た目だけの個性を持たせつつも、トラックスーツ(ジャージ)を着せる、金髪のかつらなどで、グループ(手下)として扱う。
日本では、偶然とは思えないゴロの近さから、勝手な妄想もできる。身体能力の高い軍団、というのも併せて。
なかでも、マの幼児性と身体能力、そしてねじ曲がった性欲。隠れた妊婦が、マに一撃を与えたのも、夫らしき人物の「生死」のほうよりも、合体を阻止したかのように見えるタイミングが素晴らしい。脳天直撃後のマのセリフも「狂った」→「もっと幼い記憶」が鼻血とともに漏れるのも最高にうまく、最悪に切ない。
インクの素性も興味深く、身体能力、洞察力、医学的な知識もありそうなところ、そして「慈悲の施しの悲鳴」を「いつものこと。あれ、ちょっと激しい?」といった笑いどころを担うところもいい。「悪魔」の最期の指示に従い、How is that?のラストの使い方も素敵。
・ケルソン
前作の、赤い肌、白骨の神殿の設定が見事に反転する。
序盤の音痴なところを見せつつも、準備万端、クライマックス爆発。当然サー・ロードにはあそこまで頼まれていないわけで、本人がやりたかっただけというのも微笑ましい。
また、木漏れ日の、穏やかで川のせせらぎが聞こえる中、半裸のおっさんのツーショットが爆笑のサムソンと、ぶらり訪れたサー・ロードとの個人面談が全く同じ風景で、状況的には対比だが、ケルソン的には、全く同じように「苦しんでいる」患者として診ているところが、本作のキモ。
スパイクを見つけた後の最後の命令もサー・ロードにとっての「救済」を意味してのことにも見える。
・サー・ロード
二本指を立てての決め決めポーズも、ペラいカリスマ性が剥がれる、見透かされる、最高。
「逆さ」になって「父」が見えて良かったね。
ちなみに現時点ではラストのサー・ロードへのATTACKは早すぎて分からないが、「死霊のえじき」のごとく、並々と内臓、四肢分解しないのは、製作陣の「救済」なのか。
それとも・・・・。
・サムソン
28日後の序盤であるように、ウィルスの創られ方がその通りであるなら、ケルソンの診察は適切であり、鹿を取って見せびらかすペットから、果実を食べる過程を経て、(医学的なことはさっぱりオレには分からないが)、最後の精神医学観点の投薬でサムソンは新人類として、覚醒する。覚醒した故、感染者に襲われるが、その血を浴びても発症しない。
残す彼の役割は、「旧約聖書」の通りか。
・挿入歌
亡き妻との写真を経て、サムソンと「お友達」になる「Ordinary World」。「精神」医学で処方するに至る「Everything In Its Right Place」。新海誠かと思った。
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もちろん、前作との地続き、というのはあるが、いや、ほんと、これよく109分にまとめたよね。こんなに細部にわたって計算され、しかもきっちり基本どおりのことをやってのこと。
正直ボイルのほうは、あんまり好きな映画がない(「ザ・ビーチ」ぐらい)ので、そういう意味では、次回作はちょっと気がかりではあるが、本作だけで、残りのオレの28年後まで墓場まで持っていける1本だった。なんなら、オレの頭だけは白骨の神殿に添えてほしいぐらい。