28年後...

劇場公開日:2025年6月20日

解説・あらすじ

人間を凶暴化させるウイルスが蔓延した世界を舞台に繰り広げられる死闘を描いたサバイバルホラー。「スラムドッグ$ミリオネア」のダニー・ボイル監督、「シビル・ウォー アメリカ最後の日」のアレックス・ガーランドによる脚本でスマッシュヒットを記録した第1作「28日後…」、その続編である第2作「28週後…」に続くシリーズ第3作となり、第1作以来ダニー・ボイル監督×脚本アレックス・ガーランドのタッグが復活した。

人間を凶暴化させるウイルスが大都会ロンドンで流出し、多くの死者を出した恐怖のパンデミックから28年後。生き延びるために海を隔てた小さな孤島に逃れた人々は、見張り台を建て、武器を備え、身を潜めて暮らしていた。ある日、島で暮らすジェイミーと、島を一度も出たことのない12歳の息子スパイクは、ある目的のために島の外へと向かい、本土に渡る。彼らはそこで、人間が人間でなくなった感染者だらけの恐怖の世界を目の当たりにする。

「TENET テネット」「クレイヴン・ザ・ハンター」のアーロン・テイラー=ジョンソンがジェイミー役を務め、「教皇選挙」のレイフ・ファインズ、「最後の決闘裁判」のジョディ・カマーらが共演。シリーズ第1作「28日後…」で主人公を演じ、「オッペンハイマー」でアカデミー主演男優賞を受賞した俳優のキリアン・マーフィも製作総指揮として参加した。

2025年製作/115分/R15+/イギリス・アメリカ合作
原題または英題:28 Years Later
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2025年6月20日

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映画レビュー

4.0 単なるゾンビホラーを超え、歴史と状況を俯瞰するかのような語り口が突き刺さる

2025年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

序盤から懐かしいほどのボイル節が全開。緩急に振り切れた映像にゾッとするホラー描写を載せ、リズミカルかつ叙情的な音楽が感情を掻き立てる。と同時に、本作といい「T2」といい、近年のボイル作はこれまで以上に縦軸と横軸が強化されているように思う。つまり歴史と状況。特に本作では、ゾンビ物を切り口として、自国の文化、価値観、現代史を俯瞰し、ユニークな創造性のうちに遊ぶ。併せて本作は「シビル・ウォー」のガーランドがイギリスに目を向け、彼ならではの特異な実験劇場を展開させた作品とも言い得る。恐らく両者には、内に籠もって過去の栄光と伝統を愛でるか、それとも危険を顧みず未知なる外の世界へと飛び出していくかという二つの未来を対比させる狙いがあるのだろう。それらが衝撃的な疾走感とホラー描写、人間模様、さらには生死の深淵を覗くような畏れを加味して描かれゆく様は、通過儀礼的であり、コンラッドの「闇の奥」的でさえある。

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牛津厚信

1.0 28シリーズを悪い意味で終わらせた。

2025年9月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

28日後は感染系と言われるジャンルを切り拓いたゾンビ映画界の歴史的作品。
28週後は冒頭の印象的なシーンをはじめ、28日後を継承する重責を果たしたと言える。

28年後は28シリーズの尊厳を地の底まで貶めた。
泥塗られただけの地面に這いつくばるデブが出てきて確信した。これは駄作だと。
とにかく、ゾンビがチープ、映像がチープ、全てがチープ。

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Keys

3.5 新たなる創世記

2025年8月25日
Androidアプリから投稿

最近戦争映画に入れ揚げているアレックス・ガーランドが脚本を担当した本作は、冒頭からキリスト教の臭いがプンプンと漂っている。レイジ・ウィルスの発生から28年たったイギリス本土は、感染者の排除に成功したEUに見放された“隔離島”と化していて、生き残った人間たちは干潮の時だけ一本道ができる(まるでモン・サン・ミッシェルのような)離れ小島でコミュニティを形成し生活していた。

ある日、父親のジェイミー(アーロン・テイラ=ジョンソン)とともに息子スパイクは、干潮の時にできた道を辿って本島へと“狩り”に出かける。どうもコミュニティ内の通過儀礼的儀式になっているそのハント(いかに“感染者たち”を無慈悲に殺せるか)によって、大人の男として見なされるようなのだ。“スローロー”や“駿足”、“アルファ”と銘々された感染者たちを自家製弓矢で射殺するシークエンスは、いつもながらにグロテスクかつ残酷に撮られている。

監督のダニー・ボイルによると、シリーズオリジナルの『28日後』同様に、こういったシーンをわざわざiPhone15proを使って撮影したらしい。父と息子が狩りに出かけるシーンに使われたキプリング作詩“ブーツ”も、当初の予定ではシェイクスピアの戯曲『ヘンリー5世』に登場する“聖クリスピンの演説”を用いる予定だったとか。世界で起きている紛争に積極介入する英国の現況を、まさに“先祖返りの退行現象”としてとらえた演出であろう。

注目すべきはスパイクたち一行を襲う感染者たちがみなフルチンで素っ裸という点である。(腐女子に限らずとも)ついついアルファの股関でプランプランと揺れる巨根に目がいきがちだが、『28日後』ではまだちゃんと衣服を着用していた感染者たちが、なぜ“原始人”のような産まれたまんまの姿で描かれているのか、私たちはむしろそこに着眼するべきなのだ。

病におかされた母親アイラ(ジョディ・カマー)を本土に住むケルソン医師(レイフ・ファインズ)に診察してもらうため、再び本土へと向かうスパイク少年が、食料として持参した大量の林檎=知恵の実。アレックス・ガーランドとダニー・ボイルは、感染者たちを、いまだその実を食すことなく羞恥心さえ持ち合わせていない“エデンの住人”として演出したのではあるまいか。聖書の創世記に登場する“エデン”も、意外と本作におけるイギリス本土と同じ、魑魅魍魎が跋扈するまがまがしい土地だったのかもしれない。

当然キリスト教的文化はリセットされているわけで、そこで長く暮らしているケルソンは、火葬したご遺体から取り出したシャレコウベを塔のように積み上げながら、メメント・モリな聖地で、どこか東洋的な“祈り”を捧げていたのである。「西洋のキリスト教的信仰は行き詰まっている」と親日家俳優ジャン・レノがインタビューに答えていたが、ガーランドやボイルも又、アフターコロナのイギリスに対して同じような閉塞感を抱いていたのではないだろうか。

本作は3部作の第1部として製作されたらしいが、映画冒頭とラストに登場するする(英国のジャニー喜○川ことジミー・サヴィルがモデルといわれている)ジミーと、ケルソンからキリスト教とはまったく別の信仰を学んだスパイクとの間で生まれる“宗教的確執”がおそらく次作以降のテーマとなってくるはずだ。我々観客はそこで、キリストの再臨を目撃することになるのか、それとも、まったく新しい救世主の登場とあいなるのか。どちらにしても“新創世記”と呼ぶに相応しい内容になるのは間違いないだろう。

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かなり悪いオヤジ

4.0 ゾンビ映画の極北(ゾンビじゃないけど)

2025年8月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

常々、ゾンビの脅威が解決しなかった世界がどうなるのか頭の中で思い描いてきた。人型の化け物を殺すことに慣れた人間が、子供を産み育てることができるのか、そのためには一体どんな死生観を身に着けるべきなのか…。

その疑問にこの映画は答えてくれる。生き延びた人間は、感染者を殺すことに慣れればならない、ゆえに感染者をヒトだと思ってはならない、薬がなければ死を受け入れなければならない…。
しかしこの映画が出す結論はその程度ではない。この映画は、他人を想うことをやめてはならないと説く。大切な人の死を受け入れて前に進み、同じように感染者の死にも想いを馳せなければならない。大切な人も、感染して化け物に成り果てた人も、死は同じようにやってくるのだから、と。

ゾンビあるいは感染者と共存する映画は少ない。そんな中で、これこそが共存なのだと強いメッセージを発した作品。
ただ、前作から期待した内容にならなかった点は減点したい。普通、こんなしっとりした映画だと想像しないでしょう…。

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サブレ

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