ちょっと思い出しただけ

劇場公開日:

ちょっと思い出しただけ

解説

「バイプレイヤーズ もしも100人の名脇役が映画をつくったら」「くれなずめ」など意欲的な作品を手がけ続けている松居大悟監督のオリジナル脚本を、池松壮亮と伊藤沙莉の主演で映画化。ロックバンド「クリープハイプ」の尾崎世界観が自身のオールタイムベストに挙げる、ジム・ジャームッシュ監督の代表作のひとつ「ナイト・オン・ザ・プラネット」に着想を得て書き上げた新曲「Night on the Planet」に触発された松居監督が執筆した、初めてのオリジナルのラブストーリー。怪我でダンサーの道を諦めた照生とタクシードライバーの葉を軸に、様々な登場人物たちとの会話を通じて都会の夜に無数に輝く人生の機微を、繊細かつユーモラスに描く。2021年・第34回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、観客賞を受賞。

2022年製作/115分/G/日本
配給:東京テアトル
劇場公開日:2022年2月11日

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(C)2022「ちょっと思いだしただけ」製作委員会

映画レビュー

4.0醸し出されるこの空気感が好き。

2022年4月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

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momokichi

4.0コロナ前の時代がすでに懐かしい

2022年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

コロナ禍の東京から映画が始まる。マスクで人の表情が見えず、人とあまり接触しない毎日を求められる私たちは人の温かみを忘れ始めているかもしれない。この映画の主人公の男女2人は、かつて恋人同士だった。その幸せだった恋人時代を時を巻き戻すように、出会いの時までを逆回転で描いていく。コロナ時代にはもう遠い思い出のようなマスクのいらない時代が懐かしく思える。マスクのいらない、人との距離が近かった時代と、主人公2人が親密だった時代が重なることで、人との親密さの温かさを強く思い出せるように仕掛けているのが上手い。タイトル通り、そんな過去を「ちょっと思い出して」いるわけだが、甘い思い出も苦い思い出もあって僕らの人生が成り立っている。コロナのある時代の「今」をすごくしっかり切り取っている。
主演の伊藤沙莉と池松壮亮の2人の空気感がすごくいい。こういう2人いるよねっていう、説得力というか存在感というか。なぜかこの2人を知ってる気分になる。

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杉本穂高

4.0「ワン・デイ」×「メメント」的な

2022年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

松居大悟監督の2012年のデビュー作「アフロ田中」をはじめ、「男子高校生の日常」「スイートプールサイド」「アズミ・ハルコは行方不明」など好きな作品は漫画や小説の映画化が多い。もちろんそれらの原作の魅力に依拠するところも大きいのだろう。それでも、松居監督が自身のオリジナル舞台劇を映画化した昨年公開の「くれなずめ」には、着想のユニークさも確かにあり、お気に入りの一本だった。それにしても、この10年ほどで監督作13本、それ以外に商業監督デビュー前から続けている舞台劇の作・演出、テレビドラマ、PVなどなど、その多作ぶりには圧倒される。

さて、ジム・ジャームッシュ監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」に、着想を得た尾崎世界観が作ったクリープハイプの「ナイトオンザプラネット」に、触発された松居が脚本を書いて監督も務めたという、創作と他者への刺激の幸福な連鎖によって生まれた「ちょっと思い出しただけ」。物語の構造としては、アン・ハサウェイ&ジム・スタージェス共演作「ワン・デイ 23年のラブストーリー」と同じように男女の長い年月の経過を特定の日付の一日を切り取って提示することで見せていくが、これにクリストファー・ノーラン監督作「メメント」と同様シークエンスを時間に逆行する順に並べていく手法を掛け合わせている。「メメント」のブルーレイディスクにはシークエンスを時間に順行する流れに再構成して鑑賞できる特典機能があったが、この「ちょっと思い出しただけ」もパッケージ化の際に採用するといいのでは。きっと作品をより深く楽しむのに役立つと思う。

淡々とした雰囲気は悪くないが、本当は心の奥深くにある重く激しい感情に迫ることなく、表層的な感傷をさらりとなぞったような印象も受ける。それも仕方ないか、“ちょっと思い出しただけ”なのだから。

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高森 郁哉

4.0池松壮亮、伊藤沙莉らと誠実に撮った松居大悟の心意気

2022年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

製作のきっかけはジム・ジャームッシュにまつわるあれこれだったかもしれないが、これは紛れもなく令和の、そしてコロナ禍の日本で生きる人々に誠実に向き合った製作陣だからこそ、すくい取る事が出来た作品といえるのではないだろうか。
誠実にも向き合ったし、妥協もしなかったのだろう。
当初はタクシードライバーが男性、ダンサーから裏方へ回るのが女性という設定だったが、伊藤沙莉の出演が決まると「男女逆の方が……」と柔軟性を発揮し、設定を入れ替えたそう。
池松壮亮と伊藤沙莉が良いのはもちろんだが、作品に余白を与えてくれる國村隼、永瀬正敏の存在感はさすが。そして、新鋭・河合優実は長尺ではないものの充分に非凡なものを見せてくれた。
そして、それらをまとめあげた松居大悟の力量には感服。

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大塚史貴