コラム:編集長コラム 映画は当たってナンボ - 第23回

2008年11月17日更新

編集長コラム 映画は当たってナンボ

第23回:「レッドクリフ」「ハンサム★スーツ」などインディペンデントの健闘光る

レッドクリフ」が今週も強い。早くも動員は150万人を突破し、興収も17億円を超えた。

この映画は、面白いことに、本編の前に状況説明のフッテージがくっつけられている。ナレーションが日本語なのでかなり戸惑うが、実はこれが内容理解にかなり役立つ。また、登場人物の人名表記が頻繁にスクリーンに出てくるので、見ていて人間関係がこんがらがることがない。いずれも日本だけの措置で、テレビ的なアプローチなので賛否はあると思うが、三国志をよく知らない人やシニア層のことを考えるとこれはかなりの親切設計と言える。

主役を食うほどのハマリ役、孔明役の金城武
主役を食うほどのハマリ役、孔明役の金城武

また、映画を見て驚くのは、この「Part I」が「金城武の映画」になっていること。曹操(チャン・フォンイー)、周瑜(トニー・レオン)、孔明(金城武)の3人が中心人物として描かれ、主演はトニー・レオンということになっているが、頭脳明晰で容姿端麗な戦術家という役柄で、孔明=金城が一番おいしいところをさらっている。ちなみに、もともと孔明役はトニー・レオンで、周瑜役にはチョウ・ユンファがキャスティングされていたが、ユンファが降板したことによって、そこにトニー・レオンが繰り上がり、空位となった孔明役に金城がピックアップされたという経緯がある。「Part II」では、孔明と周瑜の描かれ方がどう変わっていくかも楽しみだ。

さて、順位を見てみよう。

1 ( 1) 「レッドクリフ Part I」 (東宝東和、エイベックス)
 2 (初) 「映画 Yes!プリキュア5/GoGo!お菓子の国のハッピーバースデイ♪」 (東映)
 3 ( 2) 「容疑者Xの献身」 (東宝)
 4 ( 4) 「ハンサム★スーツ」 (アスミック・エース)
 5 ( 3) 「まぼろしの邪馬台国」 (東映)
 6 (初) 「X-ファイル/真実を求めて」 (フォックス)
 7 ( 6) 「ホームレス中学生」 (東宝)
 8 ( 5) 「イーグル・アイ」 (角川映画、角川エンタテインメント)
 9 ( 8) 「センター・オブ・ジ・アース」 (ギャガ)
10 ( 7) 「P.S.アイラヴユー」 (ムービーアイ、東宝東和)
※(11月8~9日・全国動員集計)興行通信社提供。頭のカッコ内は前週の順位

首位の「レッドクリフ」を筆頭に、「ハンサム★スーツ」「イーグル・アイ」「センター・オブ・ジ・アース」「P.S.アイラヴユー」と、10本中5本がインディペンデント系配給会社の作品である。

海外からも高評価を受けた「ハンサム★スーツ」
海外からも高評価を受けた「ハンサム★スーツ」

ハンサム★スーツ」は2度目の週末を経て興収4億円を超えた。最終的には10億円以上が見込まれている。この作品は、アイディアが面白くて分かりやすいためか、海外での配給も続々決定しているとのこと。また「センター・オブ・ジ・アース」は、初のデジタル3D映画として、ファミリー層を中心に相変わらずの高稼働を見せている。

ハリウッドメジャーが慢性的な苦戦を強いられている今、常勝軍団東宝のラインナップの谷間をついて、インディペンデント各社が奮闘しているという構図である。ぼちぼち、メジャーと東宝の巻き返しが始まりそうだが、インディペンデント各社の存在は、やはり日本の映画業界では極めて重要である。(eiga.com編集長・駒井尚文)

筆者紹介

駒井尚文のコラム

駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。

Twitter:@komainaofumi

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