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イントロダクション

実話に基づく、激しくも切ない運命の物語

  近年は香港や韓国にお株を奪われていたが、かつてはジャック・ベッケル、ジャン=ピエール・メルヴィル、ジョゼ・ジョヴァンニなどの監督作、もしくはジャン・ギャバン、アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラなどの出演作でフランス映画史の一時代を築いたノワール犯罪劇を、新たな切り口で魅せる映画。それが『あるいは裏切りという名の犬』である。

 実際に警察官として働いた経歴を持つオリヴィエ・マルシャル監督が、その当時の事件や実在の人物に基づき映画化。その興味深いオリジナルな企画にダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデューほかフランスを代表するスターたちが賛同し出演が決定。豪華オールスター映画として完成した本作は話題を呼び、2004年11月24日にフランスで公開されるや大ヒットを記録し、クライム・アクションにも関わらず、第30回セザール賞では8部門にノミネートの快挙となった。

 さらに、作品の評判を聞きそのストーリーの面白さに注目したハリウッドが早くもリメイク権を獲得。プロデューサーにはロバート・デ・ニーロ、監督には『チョコレート』(01)のマーク・フォスター、脚本には『トゥームレイダー2』(03)のディーン・ジョーガリスの名が挙がり、企画が進行している。  緊張感溢れる息もつかせぬサスペンス。心に深く刻まれる“本物の男たち”による“本物の感動”。フランスで誕生した新たなる傑作が、遂に日本上陸となる!

フランス、パリ。オルフェーヴル河岸36番地にあるパリ警視庁。そこに次期長官の座を競う二人の警視がいた。一人は仲間からの信頼厚く、正義を信じるレオ・ヴリンクス。もう一人は権力志向の強い野心家のドニ・クラン。かつて親友だった二人は、同じ女性を愛し奪い合った過去を持つ。

 パリでは現金輸送車強奪事件が多発。犯人逮捕を巡って男たちの思惑が交錯する中、出世を狙うドニは、レオを裏切り罠に掛ける。愛する妻を、心許せる相棒を、そして生きる誇りを奪われ、投獄されてしまうレオ――。  7年後、出所したレオは妻の死の真相を探る。そこにはドニの影が……。再び出会う二人。レオとドニの運命は、どこへ向かうのか……。

本作は、かつてフランスのお家芸だった犯罪ノワール映画を現代に誕生させたわけではなく、新たな趣向を加え、若い観客にも訴えかける一級のミステリー映画となっている。実話が基でありながら緻密に練り上げられた物語構成は、幾つものエピソードが複雑に絡み合い、さらには驚嘆の結末が待ち受ける。つまり犯罪ノワールを装いながら、映画の叙述をうまく使った『ユージュアル・サスペクツ』(95)や『SAW』(04)のような現代的なサスペンス・ミステリー映画として構築されているのである。

 映画の冒頭、バイクに乗った二人組がオルフェーヴル河岸36番地の街頭標識を盗み、警官に追われるシーン。実はこの二人組は刑事で、彼らは標識を退職間近のベテラン刑事へプレゼントする。並行してギャングの兄弟が登場、訪れたバーでミレーヌ・ドモンジョ演じるマヌーに暴行を加える。この印象的な二つのシーンが交差するオープニングから緊張感にみなぎり、観客は物語に引きずり込まれる。そして幾重にも張り巡らされた伏線が導くラストの仕掛けまで、その軽妙なストーリーテリングに魅了されていく。一度乗ったら最後まで降りられないジェットコースターのような昂揚感と緊迫感は、今のハリウッド映画で体験できない極上のエンタテインメントとして仕上げている。

本作の大きな見所はフランス映画界きっての二大スターの競演である。主人公レオ・ヴリンクスを演じるのは、『愛と宿命の泉』(86)『橋の上の娘』(99)で2度のセザール賞主演男優賞、『八日目』(96)でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞、『隠された記憶』(05)でヨーロッパ映画賞主演男優賞に輝いたダニエル・オートゥイユ。本作では悲哀に満ちた刑事を熱演、セザール賞にノミネートされた。レオの敵ドニ・クランを演じるのは、フランソワ・トリュフォー監督作『終電車』(80)でセザール賞主演男優賞、『シラノ・ド・ベルジュラック』(90)ではカンヌ国際映画祭最優秀男優賞とセザール賞主演男優賞をW受賞、『グリーン・カード』(90)でハリウッド進出も果たしたジェラール・ドパルデュー。悪役ながら人間味に溢れた男を絶妙に演じている。

 その他、二人の上司となるロベール長官役に『ロング・エンゲージメント』(04)のアンドレ・デュソリエ、レオの妻でありドニもかつて愛したカミーユ役に『レインマン』(88)のヴァレリア・ゴリノ、レオの運命を変えるシリアン役に『愛する者よ、列車に乗れ』(98)のロシュディ・ゼム、レオの相棒エディ役に『夜よ、さようなら』(79)の監督ダニエル・デュヴァル。そして『悲しみよこんにちは』(57)『女は一回勝負する』(57)などで小悪魔的な魅力を放ち、ブリジット・バルドーと並ぶ人気を誇ったミレーヌ・ドモンジョが、レオを慕う元娼婦のマヌー役で出演するなど、錚々たる演技陣が顔を揃えて、厚みと凄みを与える。

 監督は長篇二作目となるオリヴィエ・マルシャル。俳優としても活躍し、本作でもマヌーの夫・クリスト役で出演している。脚本にはオリヴィエ・マルシャル、フランク・マンクーゾの他に、父ジャン=ポール・ラプノーの監督作『ボン・ヴォヤージュ』(03)の共同脚色を手掛けたジュリアン・ラプノーが参加。さらに共同脚本には、パリ警視庁の元刑事で本作の主人公レオのモデルとなったドミニク・ロワゾーが加わり、在職時のエピソードを提供している。
Asmik Ace eiga.com