チェ 39歳 別れの手紙
劇場公開日:2009年1月31日
解説
「トラフィック」でオスカー監督賞&助演男優賞を受賞したスティーブン・ソダーバーグとベニチオ・デル・トロが、キューバ革命を率いた指導者エルネスト・チェ・ゲバラの半生を描いた2部作の第2部。キューバでの革命を成功させたゲバラだったが、地位や市民権を全て放棄し、再び革命の旅に乗り出す。1966年、独裁政権下にあるボリビアに入国したゲバラは、ゲリラとして政府軍と戦うが……。
2008年製作/133分/スペイン・フランス・アメリカ合作
原題:Che: Part Two
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、日活
スタッフ・キャスト
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一部はチェ・ゲバラがカストロと共にキューバで革命を成し遂げるまで、そして本作2部ではチェがボリビアで革命に到れなかった軌跡が描かれる。
脚色をなるべく排した非エンタメ的な淡々とした再現ドラマ風演出なため、また人物相関が多岐にわたり全把握するのが容易ではないため視聴にかなりの集中を要求され、それに堪えきれずついウトウトなんてこともしばし。(要は人物相関は途中放棄してしまったわけだ笑)
しかし、だからこそ次第に史実を疑似的に追体験しているかのような感覚も徐々に芽生え、文章でしか知らなかったチェの誠に呆気ない死にざまは確かにこんな感じだったのだろうなぁと深い感慨に捉われた。
映画とは無関係だが、チェ・ゲバラやカストロなどの革命家が日本における赤軍派など極左過激派に及ぼした影響力は多大なものがあったのだろうが、日本のそれは柔軟性を欠いた硬直的〝革命”ドグマにとらわれ過ぎていたのかもしれないなと考えさせられた。
「市民・民衆の支持」を得られるか否かがキューバとボリビアの革命の相違をもたらしたような印象を映画から受けたが、日本の革命家気取りたちは全く民意を無視し、ただただ仲間内だけで革命イデオロギーに陶酔していただけなのかもね。
的外れかもしれないけれども。
2020年4月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
貧者のための政治を求め、キューバも祖国も捨てて革命を志したゲバラの理想は、本質的には彼が属するインテリ階級に根差したものだったのかもしれない。今日の食べ物に窮する人々には、そのような崇高な理想に共感する余裕も、知性も備わっていなかったのではないか。
しかし、単に理想の押し付けという枠を超えて、人間を人間たらしめる最低限のものがすべての人に等しく与えられるべきだ、という共産主義の根本思想は、世界中の宗教が説いてきた最も基本的な教えではなかったか。
共産主義者は神を信じない、かわりに現世の人間の変革を、革命による理想の実現を信じるのである。
彼の人間への信仰心、信念は、あらゆる宗教家に勝るものがあったのではないかと思う。
2019年12月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
チェ・ゲバラは過剰評価された革命家。その証拠に最後は尊厳の無い死を迎えた。真に凄かったのはカストロの方でその証拠に天寿を全うして見せた。
キューバ革命を成功させた後、カストロとのコンビを解消しカストロの支援を得られなかった時点でチェ・ゲバラの次の革命の失敗は確定していた。
しかしカリスマ性はあった。彼のカリスマ性はどこから湧いてくるのか。慈愛と人徳が成せる技のように感じる。死ぬ間際のチェ・ゲバラはどこかイエスキリストを彷彿とさせる。
革命家としては過剰評価されたが、人としては間違いなく偉大な人だったように思います。
Tシャツに封印されるのも頷けますね(笑)
史実として、キューバ革命は成功することを知っていて、ボリビアでの革命活動が失敗することを知っているからこそ、28歳の革命だけじゃなく、こちらも観て欲しい。
スターウォーズのローグ・ネイションのように、ラストは主人公が死んでしまうことを殆どの人がエピソード4を先に観ているから知っている。
「誰でもエンディングを知っている」としても、この映画は娯楽的にそこを美しく描こうとは思っていない。ゲバラが感じたであろう感覚を、観た人が同じように感じるように作られた傑作だと感じた。