劇場公開日 2006年12月16日

あるいは裏切りという名の犬 : 映画評論・批評

2006年12月12日更新

2006年12月16日より銀座テアトルシネマほかにてロードショー

善悪では割り切れない人間と社会のダークサイドをリアルに描写

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パリ警視庁でライバル関係にある2人の警視レオとドニ。親友同士でひとりの女を奪い合った過去を持つ彼らは、次期長官の座をめぐって火花を散らしていく。繰り返される凶悪な現金輸送車強奪事件を解決した者が、その座に着くのだ。というように書けば、シンプルでストレートなアクションかと思われそうだが、まったくそんなことはない。

この映画の魅力は、図式的で平板なゲームやパズルになってしまってもおかしくないほど、多くの人物が複雑に入り組み、伏線が散りばめられているにもかかわらず、単純な善悪の基準では割り切ることができない人間と社会のダークサイドをリアルに映し出し、メルビルの作品のような往年のノワールを想起させるところにある。

友人や同僚のためなら、私的制裁も辞さないレオ。出世のためなら、手段を選ばないドニ。そして、様々な人物の報復の感情が巧妙に埋め込まれた伏線の数々。ダークサイドを司る運命は、ドニに味方し、レオをどこまでも追い詰めていくかに見える。しかし、最後の最後で報復の感情から成る回路が実に鮮やかに切り替わり、緊迫したドラマは、独特の余韻を残す意外な結末を迎えることになるのだ。

(大場正明)

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