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脚本にない性的シーンを知らされなかった19歳新人女優の屈辱と悲しみ描く「タンゴの後で」本編映像&著名人コメント

2025年8月19日 11:00

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場面写真
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2024 © LES FILMS DE MINA / STUDIO CANAL / MOTEUR S’IL VOUS PLAIT / FIN AOUT

ベルナルド・ベルトルッチ監督の代表作のひとつで、1970年代最大のセンセーションを巻き起こした「ラストタンゴ・イン・パリ」。傑作と呼ばれた映画の裏側で何があったのか、を出演女優の目線から社会に問いかける問題作「タンゴの後で」。「ラストタンゴ・イン・パリ」で、で最も問題となったシーンのリハーサルを再現する本編映像と著名人からのコメントが公開された。

ラストタンゴ・イン・パリ」は、第77回カンヌ国際映画祭に正式出品され、今なお世界中で問題とされるエンタテインメント業界における権力勾配、搾取について鋭い視線を投げかけた問題作。当時19歳だった新人女優マリア・シュナイダーが脚本にない絡みのシーンを何も知らされずに、レイプ同様に強行撮影され、その映像がカットされることなく公開されると、法曹界をも巻き込んで、各国で「芸術か、猥褻か」の議論が繰り広げられることになった。

19歳のシュナイダーは気鋭の若手監督ベルナルド・ベルトルッチと出会い、「ラストタンゴ・イン・パリ」で一夜にしてトップスターに駆け上がる。しかし、48歳のマーロン・ブランドとの過激な性描写シーンの撮影は彼女に苛烈なトラウマを与え、その後の人生に大きな影を落していく。本作は「70年代最大のスキャンダル」と言われた作品の舞台裏で一体何が起きていたのか? 映画の撮影現場での問題について声を上げた最初の女性の一人である、マリア・シュナイダーの波乱に満ちた人生に焦点を当てる。

マリアを演じるのはベネチア映画祭金獅子賞受賞作「あのこと」のアナマリア・バルトロメイ。そして、マーロン・ブランド役をマット・ディロンが演じている。監督はベルトルッチの「ドリーマーズ」(2003)の現場でインターンを経験し、ベネチア映画祭での受賞経験もあるジェシカ・パルー

このほど公開された本編映像では、撮影の準備で忙しく動くスタッフたち、ストレッチをするブランド(マット・ディロン)、そして、カメラ横で「本番と同じように緊張感を出すように」と指示をするベルトルッチ監督の姿が。ジャンヌ役のマリアは脚本通りにセリフを発し、相手役のブランドからの挑発的な言葉やセクシャルな接触を力強くはねのけ、部屋を出ていく。「完璧だ!照明を変えて撮ろう」と監督の満足げな言葉とは裏腹に、その表情には企みの黒い影が浮かび上る。

危険性は全く孕んでいないようなシーンだが、この映像に続いて描かれる本番のシーンでは、マリアの不意を突くようにブランドは力づくで彼女を押し倒し、驚きと恐怖で泣き叫ぶマリアを誰一人意に介すことなく撮影が続行されていく。本作のジェシカ・パルー監督は、「マリアの視点だけに焦点を当て、彼女が経験したことを観客に感じてもらうことを重視した」と語るように、マリアが現場で受けた屈辱と冷淡な視線は、見る者に忘れられない衝撃を与えるだろう。

映画は9月5日からTOHOシネマズシャンテほか全国公開。

▼著名人コメント (順不同・敬称略)
演技という名のもとに奪われた尊厳を、
今、マリアの視点で感じる揺さぶり...
― 夏木マリ
マリアが見たやり切れない闇が鮮やかに明かされ、胸に刺さる。彼女の怒りがどうか届いてほしいと、今こそ願う。
― 映画監督 本木克英
マリアの痛みがひしひしと伝わってきた。
「誰もが尊厳を保って仕事に臨める世界に変えたい」
観終わった後、そう強く思った。
― 作家 山崎ナオコーラ
〈マリア〉は過去じゃない。消費され、断罪され続ける〈マリア〉たち。マーロン・ブランドの「たかが映画だ」に返すよ、「クソくらえ!」
― ドキュメンタリー映画監督 坂上香
まず映画に携わるすべての人が見ておくべき作品だと思った。撮影中の俳優に酷い暴力がなされるシーン、カメラは暴力とともに言葉なく見守るスタッフたちを映し出す。まるで、暴力の共犯者であるかのように。そこには助監督経験の長かったジェシカ監督自身の苦悩が投影されているはずだ。原題は「MARIA」。オリジナルポスターにおける、過去のマスコミたちに背を向け前を見据えるマリアの眼差しは現代に生きる私たちに向けられている。
― 映画監督 深田晃司
誰かの人権や尊厳を傷つけてまで守るべき「表現の自由」はあるのか。傷つけられてきたのはマリアだけではない。声を上げてきた女性たちの、上げられなかった女性たちの苦しみに、私たちはどう応えるのか。
― ジャーナリスト 浜田敬子
声をあげなかったわけではない。
前衛的だ、挑戦作だ、芸術だといった言葉にかき消されてきたのだ。
これはけっして繰り返してはならない。
― 作家 深沢潮
マリアからの「視線」に、私たち観客は何を思うのか。私たち作り手は彼女に何を問われ、どう自問すべきなのか。かつてマリアに向けられた様々な「視線」の中で、彼女が戦い、傷つき、それでも生きてきた姿を目にした今、私たちは彼女の「視線」から目を逸らすことなどできないのだ。
― インティマシーコーディネーター 浅田智穂(プレス寄稿文より抜粋)

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