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「ストレンジ・ダーリン」あらすじ・概要・評論まとめ ~時系列をシャッフルさせ、シリアルキラー映画の概念を覆す破格の快作~【おすすめの注目映画】

2025年7月10日 09:00

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「ストレンジ・ダーリン」
「ストレンジ・ダーリン」
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近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!

本記事では、「ストレンジ・ダーリン」(2025年7月11日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。


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【「ストレンジ・ダーリン」あらすじ・概要】

シリアルキラーの恐怖に包まれた街を舞台に、とある男女の出会いが予測不能な展開へと突き進んでいく様子を、時系列を巧みに交錯させた全6章構成で描いたスリラー映画。

シリアルキラーによる連続殺人事件が世間を震撼させるなか、モーテルの前に1台の車が停まる。そこには、バーで知り合ったばかりの1組の男女が乗っていた。やがてその女“レディ”は男“デーモン”に命を狙われ、銃を持った彼から必死で逃げ惑うが……。

ドラマ「ジャック・リーチャー 正義のアウトロー」「パルス」のウィラ・フィッツジェラルドが“レディ”、「Smile スマイル」のカイル・ガルナーが“デーモン”をそれぞれ演じ、「クローブヒッチ・キラー」のマディセン・ベイティ、ドラマ「ブレイキング・バッド」のスティーブン・マイケル・ケサダ、「シー・デビル」のエド・ベグリー・Jr.、「ブラック・スワン」のバーバラ・ハーシーが共演。監督・脚本は本作で注目を集め、スティーブン・キング原作の映画「死のロングウォーク」の脚本も手がけるJ・T・モルナー。「コールド マウンテン」「アバター」などへの出演で知られる俳優のジョバンニ・リビシが、プロデューサーと撮影監督を務めている。


●時系列をシャッフルさせ、シリアルキラー映画の概念を覆す破格の快作(執筆:高橋諭治)
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スリラー映画というジャンルには、時折あっと驚く発明のような語り口を実践した作品が現れる。記憶障害を患う男の特異な心理状態を、複雑怪奇な構成で疑似体験させたクリストファー・ノーラン監督の「メメント」(2000)がその一例だ。ところがJ・T・モルナー監督の長編2作目となる本作は、はるかにシンプルなアイデアで絶大な効果を実現させた。

「2018年から2020年にかけて、今世紀最凶かつ異色のシリアルキラーが全米を震撼させた……この物語はその映画化である」。そんな実録風のテロップで幕を開けるこの映画は、冒頭から観る者の目を奪う。真っ赤な看護服を着たブロンドの若い女性が、何者かに追われて草原を走っている姿を捉えたスローモーションのショット。実はこれ、6つの章とエピローグで成り立っているのだが、何と「第3章」から始まるのだ! つまり6つのチャプターをシャッフルした非線形の時系列になっていて、私たち観客はいきなり追う者と追われる者の攻防を目撃することになる。

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主人公の“彼女”は、いかなる経緯でライフルを携える“彼”に追われるはめになったのか。そして行く先々で偶然出くわした人々を巻き込みながら、死に物狂いで逃げまくる“彼女”の運命はどう転んでいくのか。ネタバレ厳禁映画ゆえにこれ以上のストーリーに関する情報は伏せるが、本作のトリッキーな構造は時系列のねじれのみならず、物語の視点を劇的に変えながら、シリアルキラー映画にまつわる既成概念までも根こそぎひっくり返す。そこに本作の最大のサプライズがある。

しかも俳優のジョヴァンニ・リビシが初めて長編映画の撮影監督を務めた本作は、発色の強い35ミリフィルムを採用している。まばゆい陽光が降り注ぐ田舎町ののどかな風景を白昼夢のように写し取ったビジュアルは、このジャンルの寒々しいイメージとはかけ離れ、随所に挿入される叙情的なフォークソングと相まって、1970年代の映画のざらついた肌触りを今に蘇らせたかのよう。“彼女”に扮したウィラ・フィッツジェラルドがまた凄まじく、生と死の裂け目でもがき苦しむ血まみれの熱演に幾度となく息をのむ。

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そして何もかもがアンモラルで無慈悲なこのスリラーは、時にゾクゾクするほど艶めかしく、エピローグには意表を突いたセリフが飛び出す。その謎めいた言葉「悪魔を見た」が発せられるシーンは、血も涙もない殺人鬼の不可解な内面が表出する瞬間であり、またしても映画の見え方を一変させる衝撃性をはらんでいる。本当に凄い。もはや恐怖を超え、感動に打ち震えるほかはない。

執筆者紹介

高橋諭治 (たかはし・ゆじ)

純真な少年時代に恐ろしい映画を見すぎて、人生を踏み外した映画ライター。世界中の謎めいた映画、不気味な映画と日々格闘しながら、毎日新聞などで映画評を執筆している。


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