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「映画『F1(R) エフワン』」あらすじ・概要・評論まとめ ~ファンタジー性とグラフィックに酔う“F1プロパガンダ”~【おすすめの注目映画】

2025年6月26日 09:00

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画像1(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

近日公開または上映中の最新作の中から映画.com編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介!

本記事では、「映画『F1(R) エフワン』」(2025年6月27日公開)の概要とあらすじ、評論をお届けします。


画像2(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
【「映画『F1(R) エフワン』」あらすじ・概要】

モータースポーツの最高峰である「F1(R)」に挑むレーサーたちの姿を、ブラッド・ピット主演で描いたエンタテインメント大作。監督のジョセフ・コシンスキー、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー、脚本のアーレン・クルーガーら「トップガン マーヴェリック」を手がけたスタッフが集い、F1(R)の全面協力を得て、グランプリ開催中の本物のサーキットコースを使って撮影を敢行。世界チャンピオンにも輝いた現役F1(R)ドライバーのルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参加している。

かつて世界にその名をとどろかせた伝説的なカリスマF1(R)ドライバーのソニーは、最下位に沈むF1(R)チーム「エイペックス」の代表であり、かつてのチームメイトでもあるルーベンの誘いを受け、現役復帰を果たす。常識破りなソニーの振る舞いに、チームメイトである新人ドライバーのジョシュアやチームメンバーは困惑し、たびたび衝突を繰り返すが、次第にソニーの圧倒的な才能と実力に導かれていく。ソニーはチームとともに過酷な試練を乗り越え、並み居る強敵を相手に命懸けで頂点を目指していく。

主人公ソニーをブラッド・ピットが演じ、ドラマ「スノーフォール」で注目を集め、プラダのブランドアンバサダーも務める若手俳優のダムソン・イドリスが、ソニーのチームメイトでルーキーF1(R)レーサーのジョシュア役を担当。チームを支えるピットクルーのリーダー、ケイト役を「イニシェリン島の精霊」のケリー・コンドン、ソニーをF1(R)の世界に呼び戻すチームの代表ルーベン役はハビエル・バルデムが務めた。


●ファンタジー性とグラフィックに酔う“F1プロパガンダ”(執筆:尾﨑一男)
画像3(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

かつてはNASCARやインディカーが全米のモータースポーツ人気を占めていたが、2020年代に入ってF1(フォーミュラ1)が急速に支持率を上げてきた。この映画の登場は、まさにそれを象徴するものだ。プロットも少年漫画タッチにして王道。サーキットを渡り歩く型破りな天才レーシングドライバーが、腕前を買われて約30年ぶりにF1 GP(グランプリ)の舞台に帰還する。そして身売りに瀕した弱小チームに、勝利と栄光をもたらそうとするのだ。

この設定に往年のアニメファンなら「まんま『アローエンブレム グランプリの鷹』(1977~78)じゃねぇか!」と反応するだろう。が、挫折したルーキーがオッサンになって奇跡の復活を遂げるところ、本作はロバート・レッドフォード主演の野球ファンタジー「ナチュラル」(1984)の復唱ともいえる。過去「レッドフォードの再来」とうたわれたブラッド・ピットが主演だけに、リンクづけにはささやかな根拠があるが、最も「ナチュラル」の引用が説得力を放つのは、そのファンタジー性においてだ。なんせ近年の米カーレース映画は「ラッシュ プライドと友情」(2013)「フォードvsフェラーリ」(2019)、そして「グランツーリスモ」(2023)と実話ベースの秀作が多く、アイルトン・セナアラン・プロストと競い合っていた老兵が、現在のF1 GPで台風の目になるなんて、そのフィクション感は横暴なまでに際立つ。

画像4(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

しかし、こうしたファンタジーを正当化させるのは、実際のF1世界をそのまま器として活かすスタイルだ。つまり現役の一流ドライバーやエンジニア・クルーが本人役で登場し、それらがリアリティを徹底的に補強する。タイトルに商標(®)がついていることからも分かるとおり、これは企業グループとしてのF1(FIA)が全面協力した、PRでありプロパガンダな作品だ。F1のエンターテインメント性を高めてカーレース市場でのシェアを拡げた、そんな経営戦略の一環として存在する。

だがプロパガンダで何が悪い。オフィシャリティを味方につけた創造性とレーシング描写は、開巻からオーディエンスを圧倒させる。たとえモータースポーツの有識者にはツッコミどころの嵐だろうと、一般の観客を魅了するに充分な世界構築を果たしているのだ。特にクライマックスを飾る、アブダビGPにおける最終ステージがもたらす高揚感は、ハンス・ジマーの爆上げ系アンダースコアとのシナジー効果で、スクリーン前の我々を興奮と開放の地平へと伴走させていく。

画像5(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

監督のジョセフ・コシンスキーはデビュー作「トロン:レガシー」(2010)から前作「トップガン マーヴェリック」(2022)に至るまで、均整のとれた映像美をシグネチャーアイコンとしてきたが、今回もそれはフル機能している。その昔、グラフィックデザイナーのソール・バスが「グラン・プリ」(1967)のタイトルデザインを手がけてF1をスタイリッシュに磨き上げたのと同様、このジャンルをハイセンスなビジュアル表現でアップデートさせている。矛盾を承知で言うならば、その様相はじつにクールで、それでいてたまらなく熱い。

執筆者紹介

尾﨑一男 (おざき・かずお)

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映画評論家&ライター。主な執筆先は紙媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「映画秘宝」「特撮秘宝」、Webメディアに「ザ・シネマ」「cinefil」などがある。併せて劇場用パンフレットや映画ムック本、DVD&Blu-rayソフトのブックレットにも解説・論考を数多く寄稿。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット[映画ガチンコ兄弟]を組み、TVやトークイベントにも出没。

Twitter:@dolly_ozaki


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