大林宣彦監督「時をかける少女」へのリスペクト 松居大悟監督“尾道オールロケ”にかけた思いを明かす
2025年4月29日 14:00

松居大悟監督(「ちょっと思い出しただけ」)と「ヨーロッパ企画」の上田誠(「サマータイムマシン・ブルース」)が初タッグを組み、池田エライザが主演する「リライト」(6月13日公開)。同作の撮影は、2023年8月上旬から9月上旬までの約1カ月間、広島県尾道市でのオールロケで行われた。
青春映画の名手・大林宣彦監督の「時をかける少女(1983)」を始めとする“尾道三部作”や、小津安二郎監督の名作「東京物語」の舞台として知られる尾道は、多くの映画人に愛されてきた“日本映画のふるさと”とも言われ、数々の物語を紡ぎ出してきた特別な場所だ。本記事では“尾道オールロケ”に至るまでの松居監督の思いについて紐解いていく。
原作は、“史上最悪のパラドックス”として話題となった法条遥氏の同名小説(ハヤカワ文庫刊)。数々の青春映画を手がけてきた松居監督がメガホンをとり、“時間もの”で高い評価を獲得している上田が脚本を担い、“新感覚タイムリープ×青春ミステリ”映画を創出している。
(C)2025『リライト』製作委員会高校3年の夏、転校生の保彦(阿達慶)がやってきた。彼はある小説を読み、憧れて、300年後からタイムリープしてきた未来人だった。秘密を分け合った美雪(池田)は、彼と時間を重ねていくうちに恋に落ちた。7月21日、運命が大きく動く。美雪は、未来人の彼からもらった薬を使って、10年後の自分に会うためタイムリープする。未来の美雪は1冊の本を見せ、「あなたが書く小説。……絶対書ける。私に書けたんだから」と言葉をかける。タイムリープから戻った美雪は、未来へと帰っていく彼を見送った。「この夏の彼と私の物語を書き、必ず時間のループを完成させる」という約束を交わし――。10年後、小説家になった美雪は、ようやく出版にこぎつけた保彦との“自分だけの物語”を手に帰省する。しかし運命の日、いくら待っても10年前の美雪は来なかった。

松居監督は「リライト」を尾道で撮影したことについて、「大先輩にあたる大林監督が『時をかける少女』を尾道で撮られていて、『リライト』の原作の舞台とは異なるものの、同じ“時間”をテーマに扱った作品として、尾道で撮影することに、大きな意味を感じました」と説明。尾道の街並みに対しても、特別な思いを抱いており、「どこをカメラで捉えても絵になり、時間が止まっているような原風景を感じます。そんな土地で未来人との交流を描くというのが面白いですよね」と語る。
(C)2025『リライト』製作委員会
(C)2025『リライト』製作委員会そんな尾道での撮影について“観光地としての尾道”ではなく、ここに住む人にとっての景色、“日常の尾道”を撮りたいという思いがあったという。

さらに、ロケ地に尾道を選んだ背景には、開発が進む現代への違和感もあった。
過去と未来を行き来するタイムリープの物語だからこそ、尾道という町が持つ温かさや、そこでしか感じられないリアルな空気感が作品に欠かせなかった。未来からやって来た保彦が見た、どこか懐かしさを感じる風景。そして、その景色に描かれる物語には、大林監督作品への敬意が息づいているのだ。


なお、大林監督の“尾道三部作”の「転校生」の主演である尾美としのりが、池田演じる主人公・美雪の高校時代の担任・細田先生役で出演。また“新・尾道三部作”の「ふたり」のヒロインである石田ひかりが美雪の母・和美役を演じるなど、尾道にゆかりの深いベテラン俳優のキャスティングが、物語の世界観に奥行きを与えている。
「リライト」は、6月13日全国公開。
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