「マトリックス」「ジョーカー」製作の名門ビレッジ・ロードショー、巨額債務と法的紛争で米国破産申請へ
2025年3月18日 20:00

「マトリックス」「オーシャンズ11」「ジョーカー」などの大ヒット作品を手がけてきた老舗映画製作・資金調達会社ビレッジ・ロードショー・エンタテインメント・グループが、米国でチャプター11(破産保護)を申請したと、米バラエティが報じている。
同社は3月17日(現地時間)、デラウェア州の裁判所に破産保護を申請。申請書類によると、2億2380万ドル(約331億円)の資産担保付債券と1億6310万ドル(約241億円)の優先担保付債務を抱え、その財務状況は深刻な局面を迎えている。
破産申請の主要因となったのは、約30年にわたり良好な関係を構築してきたワーナー・ブラザースとの法的紛争だ。両社は2021年公開の「マトリックス レザレクションズ」をめぐり対立。ワーナーが同作を劇場と自社ストリーミングサービスMaxで同時配信したことが、興行収入を大幅に低下させたとしてビレッジ・ロードショーは契約違反を訴えた。
一方のワーナーは22年初めに仲裁を申し立て、ビレッジ・ロードショーが同作の共同出資契約に基づく1億ドル(約148億円)以上の支払いを怠ったと反論。裁判所は同年、ビレッジ・ロードショーの差し止め請求を却下し、仲裁手続きを命じたが、両社の対立はいまだ解消していない。
ビレッジ・ロードショーは申請書類で「ワーナーとの仲裁により1800万ドル(約26.6億円)以上の法的費用が発生し、そのほとんどが未払いのままだ。仲裁判断によっては会社の財務基盤が崩壊する恐れがある」と説明。さらに「仲裁が解決したとしても、当社にとって最も収益性の高いワーナーとの関係は修復不可能なほど損なわれた」と厳しい現状を認めている。
業界環境の激変も経営悪化に拍車をかけた。コロナ禍による製作停滞や米脚本家組合のストライキの影響で映画撮影が大幅に遅延。18年からは大手スタジオとの提携に頼らず独自の映画・テレビプロジェクトを開発するも、手がけた6本の映画と7本のテレビ番組はいずれも十分な収益を生み出せなかった。
97年に設立されたビレッジ・ロードショーは、米国とオーストラリアに拠点を構え、これまでに「マッドマックス 怒りのデス・ロード」「レディ・プレイヤー1」「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」を含む100作品以上を世に送り出してきた。17年にはFalcon Strategic PartnersとVine Media Opportunitiesに支配権を売却していた。
申請書類によれば、同社は24年初頭から財政難が克服できないと判断し売却を模索。経営効率化のため従業員を45人から11人に削減し、売却プロセスの完了に注力してきた。
すでにContent Partners LLCの関連企業であるCP Ventura LLCが「ストーキングホース・ビッダー」(最低落札価格を保証する入札者)として、3億6500万ドル(約540億円)でビレッジ・ロードショーの映画ライブラリの購入に合意しているという。
この売却が実現すれば、かつてハリウッドを代表する数々の大作を生み出してきた老舗製作会社の豊かな映画遺産は新たな管理者の下で生き続けることになる。
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