8月19日より、「男はつらいよ」シリーズ2作を含む、渥美さん主演作8本を一挙放送。「男はつらいよ」シリーズの原作・脚本・監督を務める山田洋次監督と、同作で寅次郎の妹・さくらを演じてきた倍賞千恵子から、作品の見どころや人柄についてなど、渥美さんを懐かしむコメントも寄せられた。
今回放送されるのは「拝啓天皇陛下様」「続・拝啓天皇陛下様」「拝啓総理大臣様」(※HD初放送)、「喜劇 急行列車」「喜劇 団体列車」「喜劇 初詣列車」「男はつらいよ 純情篇」(4Kデジタル修復版)、「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」(4Kデジタル修復版)。山田監督と倍賞、作品ラインナップとあらすじは、以下の通り。

この度、BS松竹東急で放送される
渥美清シリーズを見ると、
渥美清という俳優がいかに多彩な才能の持ち主であったかがよくわかります。特に『
拝啓天皇陛下様』は、日本の軍国主義が貧しい農民に犠牲を強いることで成立する有様を笑いによって描いた、日本映画史の中でも傑出した喜劇で、鋭いギラギラする刃物のような渥美さんの笑いを、この『拝啓』シリーズで楽しんでいただきたいと思います。『喜劇 列車』シリーズは肩の凝らない楽しい映画、今の日本映画にはあまり見られないタイプの作品です。このような多様な作品を経て、渥美さんは『寅さん』シリーズ一本に仕事を絞ることになるのです。

こちらがセリフをポンと投げると、渥美さんがポンと投げ返す。テンポよくセリフのキャッチボールを重ねて、どんどんテンションが上がっていく。歯車がぴったり噛みあった、即興演奏のかけあいのように、お芝居がどんどん進むと、あまりにもうまくいくことが、たまらなくおかしくなって、ある瞬間、爆発する様に、同時に吹き出してしまう。相性がよかったのか、間合いが合うのか、渥美さんとのお芝居では、そんな幸せな時間を何度も過ごしました。二人でお芝居をしたときにだけ体験した、特別な瞬間です。
そして、渥美さんは、常に相手の立場に立って物を考えている方でしたから、普段の姿から「人の立場になって物事を考えることの大切さ」を学びましたし、何よりも「人間としてどう生きるか」「人はどうして生きていくのか」ということを教えてくれました。
映画『
男はつらいよ』シリーズは、「玉手箱」みたいな作品なのではないかしら、と思います。そこには、日本人の情や、今は失われてしまった風景など、たくさんの「宝物」が詰まっていて、観る度に、人として大切なことを思い出させてくれる気がします。ぜひ、皆さんにも、この「玉手箱」を開けてみてほしい、と願っています。
【放送ラインナップ・あらすじ】
(C)1963 松竹株式会社あらすじ:山田正助(
渥美清)は、物心もつかぬうちに両親と死別した。腹いっぱい三度のオマンマにありつける上、俸給までもらえる軍隊は、正助にとって『天国』だった。意地悪な上官のイビリも問題ではない。昭和7年大演習の折、正助は天皇陛下の「実物」を見た。この日から正助は天皇陛下が大好きになり―。
(C)1964 松竹株式会社あらすじ:ある事件で家族を失った山口善助(
渥美清)は世間から馬鹿にされて生きてきた。昭和14年、善助に召集令状が届く。善助は、冷たいシャバよりはマシな世界だと思い、喜んだ。軍犬部隊に配属された善助は、ある犬の元の飼い主・ヤエノ夫人(
久我美子)に憧れを抱くようになる。混乱の戦後を善助はヤエノ夫人のために生きていこうとするが…。
(C)1964 松竹株式会社あらすじ:角丸(
渥美清)は人が良すぎて要領が悪く売れない漫才師。そんな角丸のかつての相方であるムーラン(
長門裕之)は、妻のルージュ(
横山道代)と組んだ漫才で人気を博し、角丸とは対照的に売れっ子タレントに。そんな中、師匠の死に一念発起した角丸は上京してムーランと再会するが、ムーランは妻に浮気の現場を押さえられてそれどころではなく―。
(C)東映あらすじ:特急列車の専務車掌・青木吾一(
渥美清)は、17才から国鉄に勤務しているこの道20年のベテランで、鉄道一筋。そんな青木が、佐世保長崎行の特急「さくら」号に乗務した際、乗客の中に昔の憧れの君・塚田毬子(
佐久間良子)を発見。すっかり動揺した青木は、車内放送用マイクのスイッチが入っているにもかかわらず、マイクに向かってかつての恋心を語り始め車内は大爆笑。さらには、ホステス5人組の貴重品や下着が盗まれるという事件まで勃発し、大騒動に。
(C)東映あらすじ:四国愛媛県。国鉄職員・山川彦一(
渥美清)は、奥道後温泉を近くにひかえた小さな駅、伊予和田駅に勤務する30歳の独身男で、母親と二人暮らし。赤字対策の団体旅行客獲得に忙しくする中、迷子になった子どもを押しつけられて大騒動が勃発。宇和島駅でやっと母親に坊やを引き渡すことができた彦一は、なんと、その子の母親で、学校の先生をしている美しい未亡人・志村小百合(
佐久間良子)に一目惚れしてしまう。何となく浮かれ気分で帰路についた彦一だったが、そんな彼に見合い話が持ち込まれ…。
(C)東映あらすじ:上田新作(
渥美清)は、国鉄で働く長距離列車の車掌。しっかりものの女房・幸江(
中村玉緒)と可愛い娘・鞠子とともに平凡だが幸せな日々を送っていた。そんなある日、先輩車掌の野々宮(
西村晃)とともに、上越線の急行列車に乗務中、幼なじみの坂本美和子(
佐久間良子)とバッタリ遭遇し―。
●「男はつらいよ 純情篇 4Kデジタル修復版」8月26日(月)夜8時~
(C)1971/2019 松竹株式会社あらすじ:長崎で赤ん坊を背負った絹代(
宮本信子)と出会った寅さん(
渥美清)は、彼女を五島列島の福江島にいる父親・千造(
森繁久彌)のところへ送り届ける。父娘愛を目の当たりにして里心がついた寅さんがとらやに帰ってくると、2階におばちゃんの遠縁の娘・夕子(
若尾文子)が間借りしていた。夕子に惹かれる一方、義弟・博(
前田吟)から仕事の独立話を相談された寅さんは、話をまとめるどころかこじれさせてしまう。
●「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎 4Kデジタル修復版」8月27日(火)夜8時~
あらすじ:大分県の湯平温泉の旅館で、三郎(
沢田研二)という青年と出会った寅さん(
渥美清)。彼の亡くなった母親が昔、この旅館で女中をしていたことを知った寅さんは、知人を集めて供養を営んでやる。同じ旅館に泊まった螢子(
田中裕子)たちと道連れになった寅さんは、三郎が運転する車に同乗させてもらって旅を楽しむ。飛行機で東京へ帰るという螢子たちとの別れ際、いきなり三郎が螢子に「付き合ってください」と告白する。