「キネマの神様」本日放送! あらすじ・キャストまとめ&志村けんさん死去に伴う製作秘話
2024年5月4日 17:30
松竹映画の100周年を記念した作品として、人気作家・原田マハの小説を山田洋次監督が映画化した「キネマの神様」が、本日午後6時30分からBSテレ東で放送されます。映画.comでは、あらすじ、キャスト一覧をまとめたほか、苦難続きだった今作がいかにして完成に漕ぎつけたのかをご紹介します。
「男はつらいよ」「学校」「釣りバカ日誌」など松竹の看板シリーズを手がけてきた山田監督がメガホンをとり、山田監督作に数多く携わってきた朝原雄三も脚本に参加しています。現在のゴウを沢田研二、若き日のゴウを菅田将暉が2人1役で演じました。ゴウ役は当初、志村けんさんが務める予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の肺炎により降板、後に死去したことから、かつて志村さんと同じ事務所でもあった沢田が意思を継ぎ、代役としてゴウを演じることになりました。
映画監督を目指し、助監督として撮影現場で働く若き日のゴウは、撮影所近くの食堂の娘・淑子や仲間の映写技師テラシンとともに夢を語らい、青春の日々を駆け抜けていた。しかし、初監督作「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大きなケガを負い、作品は幻となってしまう。大きな挫折を味わったゴウは夢を追うことを諦めてしまい、撮影所を辞めて田舎へと帰っていった。それから約50年。かつて自身が手がけた「キネマの神様」の脚本が出てきたことで、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める。
円山郷直(ゴウ):沢田研二
若き日のゴウ:菅田将暉
若き日の淑子:永野芽郁
若き日のテラシン:野田洋次郎
桂園子:北川景子
円山歩:寺島しのぶ
寺林新太郎(テラシン):小林稔侍
円山淑子:宮本信子
出水宏監督:リリー・フランキー
円山勇太:前田旺志郎
水川:志尊淳
キャメラマン・森田:松尾貴史
淑子の母:広岡由里子
借金取立人:北山雅康
家族の会主催者:原田泰造
常連の女性客:片桐はいり
志村さん死去の報は、日本中を駆け巡り、深い悲しみに包まれました。まだ70歳でした。
2020年3月17日に発症した志村さんは、19日に発熱と呼吸困難の症状が出たため、20日に訪問診療を受けた際、医師から重度の肺炎と診断されたため、都内の病院に緊急入院。23日に新型コロナウイルス検査で陽性と判明し、26日には所属事務所により出演辞退が発表されます。その後も懸命な治療を受けていましたが、そのまま帰らぬ人となったのです。
21年ぶりの映画出演となるはずだった志村さんの訃報を受け、山田洋次監督は3月30日にコメントを発表します。文面から、どれほど無念であるかがうかがえます。
「『キネマの神様』の出演辞退でがっかりしていたぼくにとって、言葉を失うほどの衝撃です。志村けんさんは日本の喜劇の世界の宝でした。その存在がどれほど貴重だったかを、彼が少しでも自覚して健康に留意してくれていたら、と彼の早死が口惜しく、残念で残念で仕方ありません」
事態に変化があったのは、5月16日。歌手で俳優の沢田研二が、志村さんが演じるはずだったゴウに扮することが発表されたのです。かつて同じ事務所に所属する先輩・後輩として仲が良く、テレビ番組「8時だョ!全員集合」「ドリフ大爆笑」、ラジオ番組「沢田研二・志村けんのジュリけん」などで幾度となく共演してきた沢田が、志村さんの遺志を継ぎ、バトンを受け取ったことは多くの人の琴線に触れました。
「志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です」
短いながらも、みなぎる決意を寄せた沢田は、プロフェッショナルな姿勢で準備に余念がなく、見事にゴウを演じ切りました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、撮影の延期、2度の公開延期などに見舞われ続けた「キネマの神様」は、ようやく完成したのです。
本編を見るにつけ、志村さんの口から発せられることを前提に“当て書き”されたであろうセリフが散見されます。ですが、そんなことは先刻承知とばかりに沢田はすべてを引き受け、それでいて躍動感あふれるゴウ像を提示してくれます。劇中、志村さんが愛した「東村山音頭」を沢田が楽しげに歌うシーンは不意に胸に迫りくるものがありますが、今作を観る人々にとっては現実世界と物語がリンクする瞬間を目の当たりにすることができるのではないでしょうか。それにしても、筆舌に尽くし難い志村さんへの思いを胸に多くを語らず茨の道を突き進み、銀幕の中で志村さんと邂逅してみせた沢田の男気には脱帽と形容するほかありません。
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