ホン・サンスのベルリン銀熊受賞作「小説家の映画」6月公開 キム・ミニ ×イ・ヘヨンで描く友愛と連帯の物語
2023年3月28日 10:00

2022年・ベルリン国際映画祭で3年連続4度目の銀熊賞受賞を果たした韓国の名匠ホン・サンスの日本公開最新作「The Novelist’s Film(英題)」が、「小説家の映画」の邦題で、6月30日から公開されることが決定。あわせて、ポスタービジュアル、場面写真、予告編もお披露目された。
人生の不思議なめぐり合わせや人間の深遠なる本質を覗かせる映像世界を発表し続けているホン監督。長編27作目となる「小説家の映画」は、女性アーティスト同士の幸福なめぐり合いを描いた、友愛と連帯の物語。本作で2022年・ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員大賞)を受賞し、ベルリンでは「夜の浜辺でひとり」(主演女優賞)、「逃げた女」(監督賞)、「イントロダクション」(脚本賞)に続き、3年連続4度目の受賞を果たす快挙となった。

長らく執筆から遠ざかっている著名作家のジュニが、音信不通になっていた後輩を訪ね、ソウルから離れた旅先で偶然出会ったのは、第一線を退いた人気女優のギルス。初対面ながらギルスに興味を持ったジュニは、彼女を主役に短編映画を撮りたい、と予想外の提案を持ち掛ける。かつて名声を得ながらも内に葛藤を抱えたふたりの思いがけないコラボレーションの行方は……。

ギルスを演じるのは、ホン監督の公私にわたるパートナー、キム・ミニ。日本でも大ヒットした衝撃作「お嬢さん」(パク・チャヌク監督)で世界を魅了し、「正しい日 間違えた日」でホン監督作に初出演以降、「夜の浜辺でひとり」「それから」など7作品に参加し、「あなたの顔の前に」ではプロダクション・マネージャーを担当した。

ジュニ役は、大ベテラン女優イ・ヘヨ。巨匠イ・マンヒの娘として生まれ、イム・グォンテク監督をはじめ多くの巨匠たちの映画に出演。初めてホン監督作に出演し主演を飾った前作「あなたの顔の前に」で、2022年国際シネフィル協会賞主演女優賞、百想芸術大賞女性最優秀演技賞(映画部門)を受賞するなど、ホン監督作の新たな“顔”として国内外で絶賛を博した。
この韓国を代表する二大女優を主演に迎え、夢の初共演が実現。ホン監督は本作のキャスティングについて「まず最初にキム・ミニを主役にしようと決めました。それからこの前の映画(『あなたの顔の前に』)で一緒に仕事をしたイ・へヨンに出演してもらうことに決めました」と説明。また映画を構想する際、俳優と舞台を最初に設定するというホン監督の特異な制作過程は本作でも健在だ。
「キャスティングは映画作りで最も重要なことかもしれません。今回はイ・へヨンに会って、小説家が自分の映画を作る、というアイデアを着想しました。人と会い、その人から印象を受け取り、それに刺激され想像力とアイデアを働かせて映画を作っていくのです」

イ・ヘヨンとの初共演について、キム・ミニは「イ・へヨンとの仕事は俳優としてはこれが初めてでしたが、彼女が主演した『あなたの顔の前に』で私はプロダクション・マネージャーを務めています。ホン・サンスと仕事する俳優たちは、自分がどのような人物を演じることになるのかと大いに期待しています。小さな撮影チームですが、だからこそみんなで協力しあって、リラックスした雰囲気の中で撮影します。イ・へヨンはまわりにとても居心地の良い雰囲気を作り出す人で、一緒の仕事は素晴らしかったです。この映画は人間関係についての映画ですが、それについて彼女からたくさんのことを学びました」と語っている。
予告は、野の花を束ねているキム・ミニがカメラに向かってほほ笑む穏やかなシーンで幕を開ける。執筆から遠ざかった小説家ジュニと、一線から退いた女優ギルスの偶然の出会いから、惹かれあったふたりが人生の迷いを語り合い、友愛の感情が芽生えていく様子が切り取られている。小説家ジュニは「今日偶然会ったギルスさんを主役に映画を撮りたいの」と告げ、女優ギルスも小説家が映画を作ることを「斬新でいい」と意気投合。ふたりの幸福な掛け合いを垣間見ることができる。
「小説家の映画」は、6月30日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開。
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