貞子はなぜ“愛されキャラ”になったのか? 「貞子=虹」に至ったプロモーションの歴史
2022年10月27日 12:00
鈴木光司氏の小説から誕生した世界的ホラーアイコン・貞子。シリーズ最新作「貞子DX」の封切りに向けて、貞子自身のプロモーションが活発化している。舞台挨拶登壇のみならず、各種イベントへの出演、SNS活動、コラボ&グッズ展開等々、ありとあらゆる場に“出現”しているのだ。
「呪いのビデオ」の恐怖を描いた実写映画「リング」が世に放たれたのは、1998年(鈴木氏による原作小説は、91年発表)。テレビ画面から這い出る貞子の姿は、日本に大きな衝撃を与え、Jホラーブームの火付け役となった。
ところが近年、恐怖の象徴だったはずの貞子のイメージに変化が生じている。
多種多様な活動をきっかけに“愛されキャラ”へと転じているのだ。
本記事では、貞子による宣伝活動をプレイバック。“貞子プロデューサー”の今安玲子氏、「貞子DX」宣伝プロデューサー・梶原真理氏のコメントを交えながら、老若男女に愛される要因を探っていこう。
“愛されキャラ”に転化するきっかけとなったのは、2012年に公開された「貞子3D」だ。
それまでの「リング」シリーズは、「リング」「らせん」「リング2」「リング0 バースデイ」と4作を製作。02年にはハリウッド版「ザ・リング」、05年に続編「ザ・リング2」が誕生。すでに日本を代表するホラークイーンの地位を確立しており、大半の人々が「貞子を知っている世界」となっていた。
「貞子3D」の企画は「貞子が3Dとして飛び出したら面白いのではないか?」という発想から始まった。当時の3D映画は、画面の奥行きを強調しているものが多かったため、同作では「きちんと飛び出す」がコンセプトに。全編3D撮影されており、監督を務めた英勉が「出ます、出します、震えます。『アバター』も引っ込むぐらい飛び出します」とコメントを発表していた。
プロモーション活動で目にする貞子、いわゆる“生貞子”が初めて登場したのは、2012年3月のこと。主題歌「S」を担当したバンド「シド」のライブに、貞子が突如乱入するというサプライズ演出が実行された。
今安氏「最初にテレビスポットをうった時『怖すぎる』という意見をいただいたんです。『貞子3D』は、若い方々も気楽に見て頂けるようなポップコーンムービーを目指していました。となると、印象をもう少しマイルドにしなければいけない。結果的に、貞子のプロモーション活動における見せ方も“可愛らしい”方向に寄せていくことに。実は、このタイミングでTwitterも始めています。世の中にどういう風にアピールしていくのかは手探りの状態でしたが、当時の宣伝プロデューサーとも議論し、貞子自身の実力もあり、彼女の癒しの部分、つまり“映画とのギャップ”を押し出していくことになったんです」
当時の主な宣伝活動を紹介する。サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」や人気コミック「ケロロ軍曹」との異色コラボを経て、ゴールデンウィークには「大増殖祭」と銘打ったプロモーションイベントを敢行。50人の“ウォーキング貞子”が渋谷のスクランブル交差点を何度も往復し、「貞子からの手紙」を配る“布教活動”も。何度も舞台挨拶に顔を見せ、宣伝カー「メガ貞子」としてオープンしたばかりだった東京スカイツリーを訪問している。
“貞子映画”の風物詩となっている始球式も「貞子3D」きっかけで始まっている。
始球式のオファーは、主演俳優に届くことが大半だろう。しかし、多忙な人気者のスケジュールと、試合日時とのすり合わせが上手くいかない場合も生じてしまう。「貞子3D」も同様、出演者の石原さとみの都合がつかず。その結果、貞子が緊急登板することになった。
12年4月25日、東京・文京区の東京ドームで行われたパ・リーグ公式戦「北海道日本ハムファイターズ対千葉ロッテマリーンズ戦」。マウンドに上がった貞子は、ロッテの角中勝也選手を相手に、ノーバウンドの好投を披露。危惧されていた呪いの“死球”は回避。その直後にはぐったりと倒れこみ、体力を使い果たした様子だった。
そんな貞子の奮闘ぶりに、会場のファンは拍手喝さい。今安氏は「投げた後のリアクションがすごく良かったんですよね。みんなで試行錯誤してもらったことが功を奏したと思います」と振り返る。
現地は、想像以上の盛り上がり。しかし、プロモーションとして成功したかどうかは、メディアが取り上げるか否かにかかっていた。
今安氏「『絶対にバズらせる!』という感じでもなく、当時は『まずは何事もやってみよう』という意識でした。現場は盛り上がりましたが、この反響がどこまで広がるかはわからなかったんです。始球式の後、打ち上げのような形で、宣伝チームと近場の中華料理屋に入りました。そこにあったテレビを見ていると、しばらくしてエンタメコーナーが映ったんです。でも、始球式の様子は取り上げられず……がっかりしていたら、次にスポーツコーナーが流れて、そこに貞子が映っていたんですよ(笑)。エンタメコーナー以外にも、宣伝の余地はある。そのことを実感した瞬間でもありました」
同年4月29日には「中日ドラゴンズ対横浜DeNAベイスターズ」(ナゴヤドーム)で登板。13年に公開された「貞子3D2」の際は、西武ドームで行われた「埼玉西武ライオンズ対福岡ソフトバンクホークス」(13年8月24日)の“晴れ舞台”に。のろい(呪い)投球を披露するかと思いきや、中村晃選手を相手に103キロの直球を見せつけている。同日昼、ナゴヤドームで行われた「中日ドラゴンズ対阪神タイガース」でも始球式に臨み、ヘロヘロの投球を披露。その直後にマウンドで倒れ込み、担架に乗せられ、ドラゴンズのマスコット・ドアラによって運ばれている。
16年6月1日には、世紀の一戦が実現。「貞子vs伽椰子」をアピールすべく、「呪怨」の伽椰子、その息子・俊雄と“野球対決”を行ったのだ(札幌ドームでの「北海道日本ハムファイターズ対東京ヤクルトスワローズ」)。貞子は大きく振りかぶったフォームから時速96キロの直球を繰り出したが、伽椰子が豪快フルスイングで三遊間を抜けるクリーンヒット。一塁に走ろうとする伽椰子だったが、本来は立って歩けないキャラクターのため、俊雄が“代走”。「I LOVE 伽椰子」とプリントされたTシャツを身にまとい全力疾走した俊雄は、一塁ベースを踏むとすぐさま母親・伽椰子の元に舞い戻り、勝利を喜び合っていた。
12年5月に「貞子3D」が公開され、翌年には「貞子3D2」(13)が封切り。「貞子vs伽椰子」(16)、「貞子」(19)、そして今回の「貞子DX」へと繋がっていく。
今安氏「制作も宣伝も、どんどんハードルがあがっていくんです。それがシリーズものを担当するということ。手応えがあればあるほど、次が大変になるんです」
梶原氏が同シリーズに携わるようになったのは「貞子vs伽椰子」からのことだ。同作では、本編の“対決”という構造が、宣伝にも取り入れられている。両者がプロレスバトルを繰り広げるイラストが公開されたり、どちらが怖いかを競う「総選恐」への意気込みを語った“政見放送”の映像も披露し、ダンス&撮影会&街頭宣伝で人気対決。完成記念イベントでは前哨戦となる取っ組み合い(デーモン閣下が「今日はそのくらいにしておきなさい」と制止)。公開初日に「総選恐」の結果(貞子勝利)を発表している。
梶原氏「貞子はTwitterをやっていたので、伽椰子にはInstagramをやってもらいSNSでも対決しました。次作の『貞子』では、貞子の故郷・伊豆大島に里帰りもしました。貞子のベースは『怖い』というイメージ。だからこそ、プロモーション活動で稼働する姿とのギャップが生まれる――その余白部分に面白みを感じてもらっているような気がしています」
宣伝のモットーは「とにかく早くやる。あとからやるくらいであればやらない」。「貞子」からは、TikTokも導入している。
今安氏「貞子は瞬発性があるんです。フォルムもすぐにわかるし、どのようなキャラなのかも一瞬で認識してもらえる。つまり、ほぼ“出オチ”なんです。だからこそ、瞬間的にコンテンツが消費されていくTikTokとは相性がいいんです」
最早“なんでもあり”にも思えるが、貞子の宣伝活動にはNG事項がある。ひとつは「顔出しNG(常に長い髪で覆われている)」。もうひとつは「声出しNG(ただし、テキストでの心の声表現はOK)」。今安氏は「自由度が高いゆえに『何をやらないのか』という点は明確にしておかないといけない。そこは大事にしているところです」という。
宣伝活動中の貞子は「服装」「髪型」「髪の長さ」「動作」といったビジュアル面に気を払っている。例えば、髪の毛&白いワンピースの対比は「1:1」になっているのだ。
今安氏「真似しやすいシンプルなフォルム。そして『顔が見えない』ということは、その部分を皆さんの想像に委ねることができます。そういうベースがあるからこそ、二次創作的なものも多かったんです。そういうものは『貞子3D』公開タイミングでもあふれていました。こんなにも皆が遊んでくれているんだと。そこに可能性を感じました」
そして、多岐にわたる貞子の活動――実は「点」ではなく「線」だったことが発覚する。
今安氏「貞子に関する事業は、数年単位で練られています。映画もそのうちのひとつ。例えばゲーム『Dead by Daylight(デッド バイ デイライト)』とのコラボレーションは、約2年前から進めていたものです。そのローンチに合わせる形で、公式YouTubeチャンネル『貞子の井戸暮らし』を開設。その他、公開前に初の歌舞伎公演参加である「日本怪談歌舞伎 貞子×皿屋敷」を仕込んだり……。もちろん事業としての目玉は映画ですが、かなり複雑な体制なんです。ある意味、ポケモン的なことを目指しています」
このレイヤーの話は、原作者の鈴木氏に共有されている。「ハリウッドリメイクも経験されていますし、原作者としては誰よりもメディアミックスに詳しい方だと思うんです。だからこそ、珍しいことやチャレンジには好意的です。逆に以前と同様のことをやる場合は『やるべきではない』という考えをお持ちです」(今安氏)。“生みの親”の理解があるからこそ、“娘”は伸び伸びと活動を続けてこられたのかもしれない。
ここで「貞子DX」の宣伝活動も紹介しておこう。
梶原氏「怖い……でも、面白い。ホラーが苦手という方でも、最終的には楽しい気持ちで映画館から出てくることが出来る“アトラクションムービー”のような作品なんです。友だちと気軽に見に来て欲しいと思っています。若者向けにオンラインでアピールするだけではなく、色々なところで“貞子と接触できる”よう多角的な宣伝を展開しています」
アトラクションムービーという楽しみ方を深めるべく「MX4D/4DX上映」を実施。温泉アミューズメントパーク「箱根小涌園ユネッサン」では、公開を記念した史上最恐の「貞子DXの湯」が登場。完成披露試写会では大量発生した300人の貞子が会場を埋め尽くし、「Rakuten GirlsAward 2022 AUTUMN/WINTER」では、小芝風花&川村壱馬とともに“貞子ダンサーズ”が会場を盛り上げた。
10月24日~11月6日の期間限定で“貞子タクシー”が東京都内を駆け巡り、11月14日(7時~25時)までクロス新宿ビジョン(JR新宿駅東口駅前広場正面)の3D猫とコラボ中。前述のTikTokも存分に活用されており、誰でも貞子になれるコラボエフェクトが制作されている。
大きな話題を呼んだのは、3月5日(さだこの日/仏滅)での“貞子、YouTuberデビュー”。公式YouTubeチャンネル「貞子の井戸暮らし」(https://www.youtube.com/channel/UCB5xmjuQIKGP6JpDoEW4rQQ)の初回では、一人暮らしをする自宅を初公開。その後、モーニングルーティン、100の質問といった日常動画、「Dead by Daylight」をプレイするゲーム動画、映画のPRに奮闘するお仕事動画、かつての活躍を振り返る動画がアップされている。
常に負のオーラをまとい、近寄りがたいイメージを保つ「映画本編の貞子」に対して、“生貞子”には親しみを感じてしまうはず。
今安氏「試行錯誤の最たるものがTwitterなんです。貞子は、もともと舞台女優で可哀そうな生い立ちを持つ女の子。決してバケモノではないんです。そういうものがバックグラウンドにありつつ、Twitterでは内面を文字で表現しなければなりません。礼儀正しく、接していると癒される良い子――その感じが受けていると思うんです」
特筆すべきは、そんな貞子を取り巻く環境だ。
今安氏「Twitter、YouTubeのコメントから感じるんですが、フォロワーの皆さんが優しいんです。まるで優しさの輪ができているような……皆で大喜利し合ったり、不思議なコミュニティが形成されている。ここはどこのインターネット世界なのだと(笑)。そして共感も生まれているんだと思います。悲劇的な背景を持っている彼女が頑張っている。きっと『貞子が頑張っているなら、私も頑張る!』と」
2019年には、ニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100」にも選出されている貞子。原作者の鈴木氏は、世界に羽ばたき、幅広い分野で活躍をし続ける彼女のことを“孝行娘”と呼んでいるそう。
今安氏「(貞子は)人に恵まれた子だと思います。皆に愛され、皆の優しさのおかげで、誕生してからの約30年間、トラブルも一切ありません。パワーを持っていて、幸運を背負っている子だなと。鈴木さんは『“貞子シリーズ”に出るとご利益がある』と仰っていましたね。主演の方に限らず、映画に出演された方々は、その後もさらに活躍されていますから。私たちは先人の築いてきたそんな好運なキャラクターを大事に大切にしていきたいと思っています」
「貞子3D」公開から10年。これまでの積み重ねによって、貞子は唯一無二のポジションを築き上げた。
今安氏「生貞子と初めて会った人は、皆気持ちが明るくなるみたいなんです。それがすべてだと思うんです。出会った瞬間は『キャー』となってしまうけど、なぜか楽しい。まるで“虹を見た”時のような感じです。虹を見た時は、晴れやかな気分になりますよね。これまでの活動を通じて、貞子は虹のような存在になったんです」
「貞子DX」は、10月28日に全国ロードショー。
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