山田裕貴×松本まりか! 佐藤泰志「夜、鳥たちが啼く」を城定秀夫監督が映画化
2022年6月21日 05:00
芥川賞に5度ノミネートされながら受賞ならず、失意のまま1990年10月10日に自死を選んだ佐藤の著書が映画化されるのは、今作が6本目。これまで映画化されてきた「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」「オーバー・フェンス」「きみの鳥はうたえる」「草の響き」は、すべて佐藤の故郷である北海道・函館が舞台となっており、映画も函館で映画館・シネマアイリスを運営する菅原和博氏が軸となり、5本とも同所での撮影にこだわってきた。
「夜、鳥たちが啼く」は、函館ではなく関東近郊を舞台に描いた作品を初めて映画化することになる。脚本を執筆したのは、これまでにも佐藤作品「そこのみにて光輝く」と「オーバー・フェンス」を手がけてきた高田亮。メガホンをとった城定は、高田の助監督時代からの盟友という間柄だ。
今作は、「大きなハードルと小さなハードル」(河出文庫刊)に所収の同名短編小説を映画化するもの。内に秘めた破壊衝動と葛藤する売れない小説家・慎一を山田、離婚を機に元夫の友人であった慎一のもとに息子とともに身を寄せる裕子を松本が演じる。慎一と裕子の奇妙な共同生活は、やがて互いの渇きを潤すように強く求め合い、次第に傷ついた心はゆっくりと癒えていく……。

佐藤の私小説的な色合いの濃い今作で、その分身ともいえる慎一に息吹を注いだ山田は、自らの役どころを「どこか寂しく、どこか儚く、このセカイ(この世にある全ての想いやモノや事柄)に対してどこか諦めている人なのではと思いました」と説明。さらに、「ちょっと自分に似ている? 特に愛について、正解がわからない。答えを求めること自体間違っているかもしれませんが…」と明かしている。
松本との共演に関しては、「僕の心の内や、思考のタイプをだいぶ理解してくださっています。そこの安心感と信頼感は、撮影期間中に僕のことを助けてくれました」と語り、共演本数の多い松本に全幅の信頼を寄せている様子だ。

一方の松本は、「私が言いたいことは何か、毎日考えを巡らせましたが、この作品を語るに足る言葉がみつかりませんでした。城定監督はじめ、山田くんとのあの撮影の日々。まだちょっと、うまく言えそうにありません。この作品が皆様に届く頃には言葉になりますように」とコメントを寄せている。今後、松本の口からどのような発言が繰り出されるのか注目が集まる。
「夜、鳥たちが啼く」は、12月9日から東京・新宿ピカデリーほか全国で公開。
今作のストーリーおよび山田、松本、城定監督のコメント全文は、以下の通り。
若くして小説家デビューを果たすが、その後は鳴かず飛ばず、同棲中だった恋人にも去られ、鬱屈とした日々を送る慎一(山田)のもとに、友人の元妻・裕子(松本)が、幼い息子アキラを連れて引っ越してくる。慎一が恋人と暮らしていた一軒家を、離婚して行き場を失った2人に提供し、自身は離れのプレハブで寝起きするという奇妙な共同生活。自分自身への苛立ちから身勝手に他者を傷つけてきた慎一は、そんな自らの無様な姿を、夜ごと終わりのない物語へと綴ってゆく。書いては止まり、原稿を破り捨て、また書き始める。それはまるで自傷行為のようでもあった。
一方の裕子は、アキラが眠りにつくと町へと繰り出し、行きずりの男たちと逢瀬を重ねる。親として人として強くあらねばという思いと、埋めがたい孤独との間でバランスを保とうと苦しんでいた。そして、父親に去られ深く傷ついたアキラは唯一、母親以外の身近な存在となった慎一を慕い始める。慎一と裕子はお互い深入りしないよう距離を保ちながら、3人で過ごす表面的には穏やかな日々を重ねてゆく。だが2人とも、未だ前に進む一歩を踏み出せずにいた。そして、ある夜……。
こういうテイストの作品もできるんだと言ってもらうべく、俳優としての新たな一面を見ていただける良い機会になるんじゃないか、そんなことを思いながら本作への出演を決めました。
試写を見終わったあとも、こんな細やかで、繊細でそして緻密な人間の本当の温度や、間、呼吸、音を感じることができ、「こんなお芝居がやりたかったんだ」と何度も叫びました。
いやぁ、話は尽きませんが、僕の心の内や、思考のタイプをだいぶ理解してくださっています。そこの安心感と信頼感は、撮影期間中に僕のことを助けてくれました。
編集で間を無くすことをせず、リアルに生きている時間だけを切り取ってくれているのです。それは、作品を作る上で武器というかまさに生です、生きていたんです。
そんなところを楽しめる作品です。
私が言いたいことは何か、毎日考えを巡らせましたが、この作品を語るに足る言葉がみつかりませんでした。
城定監督はじめ、山田くんとのあの撮影の日々。
まだちょっと、うまく言えそうにありません。
この作品が皆様に届く頃には言葉になりますように。
「この小説を映画化しませんか?」と製作陣から提案されたとき、嬉しいと思うと同時に、言い知れぬ不安に襲われました。佐藤泰志さん原作の映画といえば、日本を代表する数々の監督が手掛けてきたものであり、それらすべてが素晴らしいことは映画好きには周知されています。自分も原作、映画、どちらも好きな作品ばかりです。そんな中に自分の映画を加えることは光栄を通り越して恐怖に近いプレッシャーでした。
しかし、山田裕貴さんと松本まりかさんのキャスティングが決まった頃には不安は喜びに変わり、素晴らしい脚本、スタッフにも恵まれ、撮影現場は楽しかった思い出しかありません。演じ方の微妙な違いで物語が変わってしまう繊細な原作ですから、現場では慎重に話し合いながら作っていきました。
佐藤泰志原作映画としては今までにない肌触りになっていると思いますので、多くの方に観て頂きたいです。
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