木村文乃主演、深田晃司監督最新作「LOVE LIFE」日仏公開決定 矢野顕子の楽曲をモチーフに「愛」と「人生」を描く
2022年2月25日 08:00
構想期間20年を経て完成した深田監督の9本目の長編映画となる本作は、日本を代表するミュージシャン・矢野顕子の同名楽曲、「LOVE LIFE」が物語の着想のきっかけ。「ひとつとして、同じ形をした愛は無い」ということを歌ったこの曲から、深田監督は「愛」と「人生」に向き合う一組の夫婦の物語を生み出した。愛する夫と愛する息子、幸せな人生を手にしたはずの妙子に、ある日突然降りかかる悲しい出来事、そこから明らかになる本当の気持ち。そして彼女が選ぶ人生とは……。
深田組初参加となる木村文乃が、主人公・妙子を演じる。突然訪れた悲しい出来事によって、家族の平穏が壊れ、それまでの日常が瓦解していく中で、それでもなお生き続けなければならない孤独を抱えながら「愛」と「生」に向き合う妙子。木村は妙子の、嵐の前の静けさが孕む寧静な佇まいと爆発しそうな激情を、全人生をぶつけて表現する。
2020年7月にフランスで「よこがお」が公開され、コロナ禍にもかかわらず119館でのスタートから800館での上映にまで拡大。現地では「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督、「バンコクナイツ」の富田克也監督とともに河瀬直美、北野武、是枝裕和、黒沢清の後継者となり得る映画監督として評されている深田監督。本作は完成前にもかかわらず、フランスでの公開が決定している。
また、深田監督の活動は映画製作だけにはとどまらず、新型コロナウイルスの感染拡大防止、それにともなう自粛要請によって窮地に陥った全国のミニシアターのため、濱口竜介監督とともに発起人となり日本独自のミニシアター文化を守るためのクラウドファウンディング「ミニシアター・エイド基金」を設立。総額は3億円にも上り、多くの映画人を勇気づけている。
矢野顕子さんの「LOVE LIFE」を初めて聴いたのは二十歳の頃でした。「なんて美しい歌、美しい歌詞なのだろう」と心震える思いで、矢野顕子さんの多くの歌がそうであるように、言葉のひとつひとつが重層的な意味を持ち様々な解釈を許してくれました。「LOVE LIFE」を何度も聴くうちに、自然と一本のシナリオが思い浮かびました。ある夫婦の話でした。そして、どうしたらその物語とともに最高のかたちで「LOVE LIFE」を映画館に響かせられるかばかりを考えるようになりました。それから20年が経ちました。しぶとく企画を持ち歩き続けていたら、多くの仲間の力を得てこうして映画化することができました。自分は幸せ者です。
主演の妙子を演じてくれた木村文乃さんとは初めてのお仕事でしたが、決して簡単ではない役をリハーサルから一緒に作り上げることができたのは私にとっても大切な時間となりました。一本芯の通った木村さんの強さをこの作品で皆さんにも感じ取って頂けるのではないかと思います。早くスクリーンにお届けしたくて仕方がありません。どうぞお楽しみに。
ひとつとして、同じ形をした愛は無い。
そのことを丁寧にうつし取って映像にして見せてくれる、それが「LOVE LIFE」です。
音楽の”LOVE LIFE ”にこんな大きな風景を見せてくださって、ありがとうございました。
安心して身を委ねて、監督が作られた本の中にある
大沢妙子という、ひとりの人を
精一杯生きてみようと思いました。