第72回ベルリン映画祭 川和田恵真監督「マイスモールランド」、三宅唱監督「ケイコ 目を澄ませて」がお披露目
2022年2月14日 15:00

第72回ベルリン国際映画祭で、ジェネレーション部門の川和田恵真監督作「マイスモールランド」と、エンカウンター部門の三宅唱監督作「ケイコ 目を澄ませて」が相次いで披露され、ともに高い評価を受けた。
是枝裕和監督が主催する「分福」に所属し、「三度目の殺人」などで助監督を務めた川和田監督初の商業映画デビュー作である「マイスモールランド」は、幼い頃、難民の父に連れられ、日本に移住し育った17歳のクルド人の少女サーリャの心の葛藤を描く。
サーリャ役にはオーディションで選ばれた嵐莉菜が扮し、彼女自身の家族が父親と妹弟を演じている。日本における難民の立場、彼らを囲む不条理な現実など、日本映画のテーマとしては稀な社会性と、思春期のサーリャの淡い恋や成長物語が融合した見応えのある作品だ。とくに、まるでこの役を演じるために生まれたかのような嵐の表情がみごとであり、それを丁寧に掬い取る演出にも力を感じさせる。
一般上映の後におこなわれたQ&Aでは、日本の難民問題に対する質問が相次ぎ、難民の多いドイツでの関心の高さを伺わせた。「日本国内限らず普遍的な問題であり、深く感動した」といって泣き出した観客もいたほど。川和田監督は、クルド人の難民に興味を持ったきっかけを話し、「彼らも同じ感情を持った人間であり、何人であるか(国籍)は関係ないと思いました。日本での難民認定は1パーセント以下。ほとんどの人が(この事実を)知らないですが、だからといって彼らのことを、いないことにしないで欲しいという気持ちを込めて作りました」「フィクションとして描くことで、様々な国にルーツを持たない多くの人にも、自分の物語として観てもらえるのではないかと思います」と語り、何度も大きな喝采を浴びた。

4年前、ベルリン、フォーラム部門に出品された「きみの鳥はうたえる」で、すでに本映画祭を経験済みの三宅監督は今回、耳が聞こえない元プロボクサー、小笠原恵子の存在にインスパイアされた女性ボクサーの物語を描いた。いわゆるスポ根映画とは一線を画す、戦いのカタルシスよりも主人公の障壁を通してその内面をじっくりと見つめた作品だ。
三宅は客席からの質問に答え、「女性のボクサーだからパワーで勝負をしても仕方がない。ボクシングは美しいスポーツなので、違うアプローチで美しい映画ができるんじゃないかと思いました。ボクシング・シーンのイメージビデオのようなものをあらかじめ作り、スタッフと共有してことで、新しいことができたと思います」と発言。またリング上のトレーニングのシーンは、「フレッド・アステアとシド・チャリシーによる『バンド・ワゴン』のダンス・シーンを参考に、ダンスを撮るように全身のフレームを撮りたいと思いました」と明かした。
さらにヒロイン役の岸井ゆきのについて、「3カ月のボクシングの特訓を経て撮影に臨み、信じ難い努力をしてくれた」と絶賛。またトレーナー役の三浦友和については、「彼に出て頂けたことは監督人生でとても光栄。ケイコを見つめる目の力、声の力、ケイコに寄り添っているときの存在感などが素晴らしい」と賞賛を惜しまなかった。
最後に、ほとんど明け方の時間帯である日本に居る岸井と電話を繋ぎ、会場の拍手の様子をライブで届け、会場を沸かせた。
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