ウェス・アンダーソンがフランス文化への愛溢れる「フレンチ・ディスパッチ」を撮るに至った理由、トリュフォー監督作との運命の出合い
2022年1月28日 14:00
![フランスへの愛を語ったウェス・アンダーソン](https://eiga.k-img.com/images/buzz/94635/e7414e944e198e09/640.jpg)
「グランド・ブダペスト・ホテル」「犬ヶ島」のウェス・アンダーソン監督が、フランスの架空の街にある米国新聞社の支局で働く個性豊かな編集者たちの活躍を描いた長編第10作「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」が公開された。
オーウェン・ウィルソン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンドらウェス・アンダーソン作品の常連組に加え、ウェス組初お目見えとなるティモシー・シャラメ、リナ・クードリ、ベニチオ・デル・トロ、クリストフ・ワルツ、スティーブ・パークらが参加。映画は、3つの記事をオムニバス形式で描いた物語となっており、アンダーソン監督の「ニューヨーカー」誌への賛辞とともに、フランスとその文化に対する敬意と愛情が、徹底した画面構成のワンシーンワンシーンから立ち上がる。このほど、本作がプレミア上映された2021年カンヌ映画祭で、アンダーソン監督がフランスへの思いを語ったインタビューを映画.comが入手した。
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」はニューヨーク、「ダージリン急行」のインド、「グランド・ブダペスト・ホテル」ではハンガリーと、様々な国を舞台にしたコスモポリタンな作風が特徴でもあるアンダーソン監督。そんな過去作でも「オー・シャンゼリゼ」やフランソワーズ・アルディの楽曲を用いたり、プラダの香水CANDYの広告として、レア・セドゥーを起用し「突然炎のごとく(1961)」へのオマージュを感じさせる短編を製作したりと、特に1950~60年代のフランス映画、文化への愛をアピールしてきた。
アンダーソン監督は、「私の出身は米国のテキサスですが、いつもフランスに滞在し住みたいと思っていました。過去、ついにアパルトマンを借りましたが、住みはしませんでした。家族はよくフランスに行っています。長い間、フランスは私にとって大きな存在でした。『フランスから学んだことを活かして映画を撮りたい』という思いが日に日に増していきました」と、フランスへの長年の想いを明かす。
「というのは、そもそもフランスに行きだした理由のひとつに、大のフランス映画好きということがありました。映画でフランスに傾倒したとも言えます。フランソワ・トリュフォーの『大人は判ってくれない』をヒューストンのビデオ店で発見したのはたぶん16歳の頃だったと思います。ご存じのとおり、こういったことは世界中のどこでもあることです。ですが、今思い返してみても『大人は判ってくれない』のいったいどこにひっかかったのだろうと不思議に思います」
アンダーソン監督とフランス映画を結び付けた、“運命の出合い”とも言える「大人は判ってくれない」に惹かれたポイントは「タイトルだった」と振り返る。
「今でも、原題の『Les quatre cents coups(レ・キャトル・サン・クー)』のフランス語での意味を完全には理解できていません。そして、英題「The 400 Blows」は原題の意味をまったく捉えていません。これはフランス流の表現で、何かきな臭い、騒ぎが起こる予感がするという意味です。フランス語で、『今夜、les quatre cents coupsを挙行する』と言えば、『ひとあばれする』という意味です。英語の直訳の「400発(The 400 Blows)」ではまったくの見当違いになります。ですが、私はその誤訳のワナにひっかかって、そのVHSビデオを選び、そこからフランス映画を観ることになるのです」
今作「フレンチ・ディスパッチ」では、そんなアンダーソン監督が傾倒したフランスをはじめとした多くのヨーロッパ映画からの引用を発見する楽しみも。そして、芸術家とミューズ、社会問題に立ち向かう若者たち、目にも鮮やかな美食など、外国人記者の目から見たフランス“らしさ”が詰まった珠玉の物語を、ぜひ大スクリーンで堪能して欲しい。
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