「マークスマン」ロバート・ローレンツ監督、イーストウッドから受け継いだ映画製作の流儀
2021年12月22日 12:00

リーアム・ニーソンが元狙撃兵役で主演し、凶悪な麻薬カルテルと全面抗争を繰り広げる「マークスマン」が、2022年1月7日から公開される。メガホンをとったのは、クリント・イーストウッド主演作「人生の特等席」で監督デビューを果たしたロバート・ローレンツ。本作で主演を務めたリーアム・ニーソンは、主人公が「イーストウッド的」なキャラクターだと思ったと明かしている。
(C)2020 AZIL Films, LLC. All Rights Reserved.ニーソンが的中率100%の元狙撃兵を演じ、身寄りのないメキシコ人少年を麻薬カルテルから命懸けで守る逃避行を描く。全米では2週連続No.1のヒットを記録した。
本作の企画は「THE MINUTEMAN」(いつでも戦える状態にある民兵)という名の脚本からスタートした。ローレンツ監督によって手を加えられた脚本を受け取ったニーソンは、4日後に監督をニューヨークの自宅に招いてこの企画について話し合ったとき、「この映画の主人公が非常に“イーストウッド的”だと思った」と話したという。
(C)2020 AZIL Films, LLC. All Rights Reserved.射撃の名手である主人公ジムは、確かにイーストウッドが演じた象徴的な人物に似ている。無口な一匹狼で、大騒ぎをすることなく正しいことをやり遂げる。ニーソンはそこにイーストウッドが長年にわたって体現してきた寡黙な一匹狼の闘志を感じ取ったという。
それもそのはず、ローレンツ監督は「ミスティック・リバー」「硫黄島からの手紙」「グラン・トリノ」などのイーストウッド監督作品で助監督やプロデューサーを務めてきた、直系弟子ともいえる映画人。イーストウッドが引き合いに出されたことについて、ローレンツ監督は「クリントと僕は映画製作に対するアプローチが似ているんだ。彼は知っての通り仕事のテンポが速い。僕もそうだ。無駄なことはしない。リーアムはそのことを評価してくれたんだ」と喜んだという。

さらに、「『マークスマン』が目指した地平は明快だ。観客の感情を根底から突き動かすことを目指している」とローレンツ監督は続ける。「何よりも観客が楽しんでくれることを望んでいる。僕が好きなタイプの映画は、『ブリット』や『ヒート』のような現実味にあふれた激しいアクション映画だ。それらを西部劇の枠組みで撮ろうと考えた。物語が進むにつれて、ジムから自己中心的な部分がなくなっていき、自分よりも他人を思いやる人物になっていく。このような一人の人間の変貌は、僕らの人生にも当てはめることができると思う」と語った。
アクションの描写はもちろん、人生の重荷を背負って前に進むアウトローの美学にも筋が通っており、歯応えのある物語をきっちりと構築した点は、イーストウッド作品の“遺伝子”を宿していると言えるだろう。
そんなローレンツ監督は、本作でイーストウッドを登場させている。ジムが宿泊するモーテルのテレビに「奴らを高く吊るせ!」の一場面でイーストウッドとインガー・スティーバンスとのキスシーンが映し出され、随所にイーストウッドへのリスペクトを感じさせる。
「マークスマン」は、2022年1月7日に東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。
(C)2020 AZIL Films, LLC. All Rights Reserved.
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