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生田斗真主演、白石和彌が初プロデュースした「渇水」 心の渇きにもがく水道局職員役は「生田さん以外にありえない」

2021年11月24日 04:00

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水道料金を滞納する家庭の水を停める業務に就く男が、育児放棄を受ける姉妹と出会う
水道料金を滞納する家庭の水を停める業務に就く男が、育児放棄を受ける姉妹と出会う
(C)2022『渇水』製作委員会

生田斗真が主演、白石和彌が初プロデュース、高橋正弥(※高は、はしごだか)が監督を務め、故河林満さんが1990年の文學界新人賞を受賞し、第103回芥川賞候補となった小説「渇水」が映画化されることが決定した。水道料金を滞納する家庭の水を停める業務(停水執行)に就く、市の水道局職員・岩切俊作(生田)が、育児放棄を受ける幼い姉妹と出会い、ささやかな幸せを求めて本当の自分を取り戻していくさまを描く。

原作は、福島・立川市職員として働いていた河林さんが在職中に執筆した同名小説。日照り続きの夏、市内には給水制限が発令されていた。市の水道局に勤める岩切の業務は「水道料金滞納家庭や店舗を回り料金を徴収すること」「水道を停止すること」。貧しい家庭を訪問しては、忌み嫌われる日々を送っていた。また岩切は、妻と子どもとの別居生活が長く続き、心の渇きにもがいていた。ある日、停水執行中に育児放棄を受けている姉妹と出会い、岩切は自分の子どもと重ね合わせる。そして彼は心の渇きを潤すように、その姉妹に救いの手を差し伸べる。

岩切を演じた生田は、「空気や太陽の光はタダなのに、どうして水はタダじゃないんだと、世の不条理に疑問を持ち始める主人公に少しの希望と微かな光を与える事が出来たらという思いで精一杯演じました」と語る。さらに、「多くの事がシステム化され、疑問を持たずに波風を立てずに日々を過ごすことが上手な生き方なのかもしれません。ただ、なにか違う。このままでいいのかとふと立ち止まり、自分を見つめ直す事も悪くない。そう思わせてくれる作品です」とコメントを寄せた。

彼女がその名を知らない鳥たち」、「孤狼の血」シリーズなど重厚な作品を生み出し続ける白石監督は、「河林さんが小説を発表してから30年あまり世界は変わっていないどころか格差は広がりより生きづらくなっていると感じます。この映画はそんな社会に対して物申すというよりは、現代を生きる我々に欠けてしまったもの、必要なものを問いかける映画です。簡単に答えは出ませんが、その答えを探す過程こそが何よりも尊く、生きている意味を見つける近道なのだと思います」と胸中を吐露。本作の魅力を、「原作者の河林さんが見つめる社会への眼差しと、高橋監督の優しさ、なんとしても今この映画を完成させて世に届けたいという執念が、これ以上ない形で凝縮されています。生きていくことを問いかける本作は社会の厳しさを描く反面、それでも強く生きていこうと思わせてくれる映画になっています」と伝える。

さらに、白石監督はキャスティングについて、「もう生田さん以外にありえないと思ってお願いしました。立ち姿が素晴らしいのはもちろんですが、主人公・岩切の抱える悲しみと苦悩を多く語らずとも表現してくれる俳優は生田さんだけではないかと、皆の意見が一致してオファーさせて頂きました。スクリーンに映る生田さんは、やはりとてもたくさんのことを感じさせてくれる素晴らしい俳優です。生田さんの新しい側面をお見せできると思います」と自信をのぞかせた。

岩井俊二監督作「ラストレター」や、宮藤官九郎監督作「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」で助監督を務めた高橋監督も、「岩切という主人公が持つ、顔の表情に現れない想いや苦悩などの内面に潜んでいるものを体現できる俳優さんだと思いキャスティングさせて頂きました。そのうちに秘めた感情を表に現す時の生田さんの演技には感服するものがありました。本来は笑顔が似合うチャーミングな方と思っていましたので、今回は演じづらいのかと思いましたが充分にやりきって頂いたと思っています。特に目で感情を語ることができる稀有な俳優さんだと改めて感じました」と絶賛。さらに、本作を通して伝えたいメッセージを明かす。

高橋監督「原作が刊行される以前のかなり昔からも、現在に至るこの現代でも『貧困』というものは無くなっていませんし、この先未来も無くならないのかもしれません。今回は『停水執行』という水に関わる問題でしたが、私たちの生活を脅かす不測の事態、それは原因不明の病気や感染症であったり、環境汚染だったり、自然災害だったり、原子力の問題だったり、様々な事態が我々の身の周りに起きうることであります。そんな大変な状況下になったとしても、他者、特に弱者に対して目を向けることを失わないようにしたいと思います。そしてこれから先の未来を担う子どもたちの人生に不安がないように様々な問題を解決する努力をすることが、今作の一端から感じ取って頂けたらと考えております。また日本文学では『家族のあり方』というものが語り継がれてきましたが、過去現在そして未来もその『家族のあり方』は問われ続けていくのだと思いますので、この原作・映画からもそこを読み・見て欲しいと思っています」

渇水」は、8月29日~9月26日、群馬・前橋市を中心に撮影が行われた。2022年に全国で公開。

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