春本雄二郎監督×瀧内公美「由宇子の天秤」予告完成! ジャ・ジャンクー、池松壮亮らの絶賛コメントも
2021年7月8日 12:00
第71回ベルリン国際映画祭ではパノラマ部門に正式出品、第25回釜山国際映画祭のニューカレンツアワードを受賞するなど、世界各国の映画祭で注目を集めている「由宇子の天秤」。主演の瀧内は、本作でスペインのラス・パルマス国際映画祭最優秀女優賞に輝いている。「佐々木、イン、マイマイン」の河合優実、「かぞくへ」の梅田誠弘、日本映画界屈指のバイプレイヤー・光石研らが共演し、長編アニメーション「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の片渕須直がプロデューサーとして参加している。
3年前に起きた「女子高生いじめ自殺事件」を追うドキュメンタリーディレクター・由宇子(瀧内)は、テレビ局の方針と対立を繰り返しながらも事件の真相に迫りつつあった。そんな時、学習塾を経営する父から思いもよらぬ“衝撃的な事実”を聞かされる。大切なものを守りたい、しかし、それは同時に自分の「正義」を揺るがすことになる――。「“正しさ”とは何なのか?」。常に真実を明らかにしたいという信念に突き動かされてきた由宇子は、究極の選択を迫られる。
緊迫感に満ちた予告編は、「女子高生いじめ自殺事件」を追う由宇子の姿を活写。取材者たちから発せられる「誰が本当の加害者か」「報道が殺したんですよ」という言葉が印象的だ。一方で、父の経営する学習塾を手伝うなかで、由宇子は女子高生・萌(メイ)と出会ったことに。“すべてを狂わす”という不穏なテロップ、父に携帯のカメラを向け詰め寄る由宇子の姿……。父が起こした衝撃の事実、生徒・萌の抱える秘密、「女子高生いじめ自殺事件」の“もうひとつ”の真相が畳み掛けるように映し出される。
「由宇子の天秤」には、松浦祐也、和田光沙、池田良、木村知貴、前原滉、永瀬未留、河野宏紀、根矢涼香、川瀬陽太、丘みつ子も出演。9月17日から東京・渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。著名人からの絶賛コメントは、以下の通り。
「由宇子の天秤」は、第4回平遥国際映画祭において、多くの人々を驚かせ、観客賞を獲得した。
春本監督の映し出す世界は、全てが静かで穏やかである。
しかしそこにはある種の魔法の力が存在し、我々は無意識のうちに、主人公の内なる世界の奥深くへと導かれ、衝撃を受ける。
そこで我々がバランスを保つことは困難だろう―。
ここ数年の中で、最もくらった日本映画だ。
正義とは、社会においての矛盾を解き明かすことか?
自分の大切なものを守りぬくことか?
自分の在り方を考えさせられ、後に尾を引く。
無知や無関心を煽る社会システムと、暴徒化する知性と正義感との間に、由宇子の心の天秤はゆれている。
倫理や道徳に揺さぶられながら、バランスを保とうと必死にゆれている。
細部まで心と魂のこもった極めて非凡な作品に出会った。
「伝える」仕事に携わる自らを、深く省みずにはいられなかった。
自浄作用を失ったメディアには、最初から天秤の「軸」などないのかもしれない。
人の人生を「素材」として翻弄し、後は背を向けるだけならば。
国家や社会がどうしようもない状況だと感じる毎日、実はそれを生み出しているのは私たち自身ではないのか。
そして、それを変えられるのも私たち自身なんじゃないのか。この映画に告げられた気がする。
俳優たちの存在が素晴らしい。それを導き、ともに斬りこんだスタッフの静かな熱量。頭がさがった。
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