杉田協士監督「春原さんのうた」2022年新春公開! マルセイユ国際映画祭への正式出品も決定
2021年6月24日 08:00
「ひとつの歌」「ひかりの歌」を手掛けた杉田協士監督の長編第3作「春原さんのうた」が、2022年新春に公開されることがわかった。あわせて、第32回マルセイユ国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門への正式出品も決定し、海外版ポスター(2種)、海外映画祭用予告編(https://www.youtube.com/watch?v=_LcJ2M3g5-c)、場面写真、イラストレーター・漫画家のカシワイによるビジュアルなども披露された。
本作は、作家・歌人の東直子氏による第一歌集「春原さんのリコーダー」(ちくま文庫刊)の表題歌「転居先不明の判を見つめつつ春原さんの吹くリコーダー」を映画化したもの。撮影を飯岡幸子(「うたうひと」「ひかりの歌」「偶然と想像」)、照明を秋山恵二郎(「花束みたいな恋をした」「きみの鳥はうたえる」)、音響を黄永昌(「不気味なものの肌に触れる」「VIDEOPHOBIA」)が務めている。
美術館での仕事を辞めてカフェでのアルバイトを始めた沙知。常連客から勧められたアパートの部屋に引越し、そこでの新しい生活をスタートさせた。しかし、彼女の心にはもう会うことの叶わないパートナーの姿が残っていた。
マルセイユ国際映画祭は、地中海に面したフランス第2の都市マルセイユで、ジャンルの垣根を超えた多彩なプログラムを行うことで知られる映画祭だ。今年は7月19日~25日に開催され、杉田監督、主人公の沙知を演じた荒木知佳が参加予定となっている。
「春原さんのうた」には、新部聖子、金子岳憲、伊東沙保、能島瑞穂、日高啓介、名児耶ゆり、北村美岬、黒川由美子、深澤しほ、安楽涼、大須みづほ、DEG、徳倉マドカ、清水啓吾、吉川愛歩も出演。情報解禁に伴い、原作者・東氏のコメントに加え、選考結果と共に届いたマルセイユ国際映画祭総合ディレクターのジャン=ピエール・レム氏のメッセージを到着している。詳細は、以下の通り。
短歌は、五七五七七の音韻でつくる詩の小宇宙です。杉田協士監督は、この小宇宙をふくらませて、あるいは一度解体して、この世の光であらたな映画の小宇宙を形成する。それはそれは幸せな共鳴です。
偶然のように知りあった私たちが、映像の中では永遠のひとときを生きる。この上なくしずかに、やさしく、痛々しく、儚く、強く、あたたかく。女の子の顔に、みんな映っている。過ぎてしまった時間から、一通の手紙が戻ってくる。遠い昔に吹いたリコーダーは、今も奏でることができる。昔作った短歌を思いながら、今日の空気をゆっくりと吸った。
マルセイユ国際映画祭で、ポレポレ東中野で、そして偶然のような場所で、永遠のひとときが再生される、この宇宙の希有なできごとを心から喜びたい。
何よりもまず選考委員会の全会一致をお伝えします。誰もが心を動かされ、言葉をなくし、涙し、映画が終えたときには限りない幸せに包まれていました。それはこの映画が持つ繊細さと精密さ、他に類のない見せ方がもたらした小さな奇跡です。俳優たちはみな素晴らしく、フレームにはずっと驚かされました。時折り挟まれるコメディのあり方、音の響きや色彩……、この映画に流れる時間は平和でありながら、それによって美しさにさらに美しさが迎えられています。「春原さんのうた」は紛うことなき傑作です。