松本穂香&ふくだももこ監督が再タッグ! 「君が世界のはじまり」今夏公開決定
2020年3月31日 12:00
[映画.com ニュース]「おいしい家族」のふくだももこ監督と松本穂香が再タッグを組んだ映画「君が世界のはじまり」が、今夏に公開されることが決定。あわせて、ティザービジュアルと場面写真、イメージクリップもお披露目された。
ふくだ監督自身が執筆した小説「えん」(すばる文学賞佳作受賞)と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を、「リンダ リンダ リンダ」「聖の青春」「愚行録」の脚本家・向井康介が、ひとつの物語に再編。ふくだ監督が紡いだ若者たちの危うい魅力を損なうことなく、オリジナリティあふれる物語へと昇華させた。
物語の舞台は、大阪の端っこのとある町。深夜の住宅地で、中年の男が殺害された――犯人は高校生だった。高校2年生のえんは、親友の琴子と退屈な日々を送っていたが、琴子がサッカー部のナリヒラ君に一目惚れしたことで、2人は徐々にすれ違うようになっていく。同じ高校に通うジュンは、母が家を出ていったことを無視し続ける父親に何も言えぬまま、放課後ショッピングモールで時間をつぶす。やがて、ブルーハーツを聴きながらふと通りかかった屋上で、東京から転校してきた伊尾と会い、求めるものもわからぬまま体を重ねるようになる。
偶然ナリヒラ君の秘密を知るえん、急接近した2人を見て見ぬふりをする琴子、サッカー部キャプテンの岡田、思いの捌け口を見つけられないジュン、田舎に閉じ込められた自分と義母を重ねる伊尾。そんなある朝、父親殺しの犯人が逮捕されたことで、郊外の気怠い空気とそれぞれの感情が混じり合い、物語が疾走していく。
主演の松本が演じるのは、閉鎖された地方に生きる高校生2年生の少女・えん。「青春時代って、一瞬すぎるからなのか、どこか記憶がぼんやりしている。大切な瞬間が溢れてたはずなのに、記憶が抜け落ちてる。だけど、多分、その時感じた切なさやあたたかさは、ずっとずっと心の中に感触として残ってるんだと思う」と述懐。「恥ずかしいぐらいまっすぐだった私たち。過去があって、今がある。私たちはずっと、何かに向き合いながら、苦しみながら生きてきた。そんな当たり前のことに救われる気がする。だから大丈夫。私たちは大丈夫」と語っている。
原作となる2つの小説を「私にとって、どうしようもなく特別な物語だ」と説明するふくだ監督は、「“青春”という箱の中に入れられるのを嫌悪していたあの頃の、胸を突き抜けて飛び出しそうなエネルギーが、すべての登場人物に詰まっている。この映画が、どこへも行けない、何にもなれない、そんな風に思っている誰かの、はじまりのきっかけになればいいと願っています」と思いの丈を述べる。そして「すべての人の力を合わせて『君が世界のはじまり』は、誰も見たことのない、燦然と輝くたったひとつの宝石になった。どうかこのきらめきが、あなたの心を照らしますように」と話している。
向井は、幾度かの打ち合わせを経た後、ふくだ監督に対して「ふくだ、君が晩年になって、人が作品を振り返ったときに『ふくだももこの初期の代表作と言ったらこれしかないよね』とみんなが肯くような映画にしよう」と告げたようだ。「とても小さな物語だけれど、この映画が生まれる一助を担ったひとりとして、本当にそんなふうに語り継がれるような作品になってくれたら嬉しいです」とコメントを寄せている。
「君が世界のはじまり」は、今夏にテアトル新宿ほか全国公開。
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