第20回東京フィルメックスの上映作品は意欲作がズラリ!
2019年10月10日 19:00

[映画.com ニュース] 第20回東京フィルメックスのラインナップ発表会が10月10日、都内で行われ、プログラムディレクターの市山尚三氏が上映作品を紹介した。
2000年から始まった東京フィルメックスは、優れた映画を通じた異文化理解を目指し、創造性あふれ、多様性豊かなアジアの映画の作り手を応援することを目的に設立された映画祭。今年のオープニング作品は、ベルリン国際映画祭パノラマ部門で上映されたロウ・イエ監督の「シャドウプレイ」。ロウ・イエ監督は、本映画祭の第1回で「ふたりの人魚」が最優秀作品賞に輝くなど、深いかかわりがある。市山氏も「3、4年前に完成していたのに、検閲などの問題もあってか、なかなか上映されなくて。伝説的な作品になりかけていましたが、さまざまな苦難を乗り越えてようやくこの春に中国で上映された作品です。日本の70年代のミステリーのような、野村芳太郎監督の作品を思わせるような、スケールの大きな作品で、撮影も素晴らしい作品です」と絶賛。また、この作品に合わせて、ロウ・イエ監督の妻であり、共同脚本家でもあるマー・インリー監督が手がけた本作のメイキング映画「夢の裏側 ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ」も上映予定となっている。
また、クロージング作品は昨年の審査委員長を務めたウェイン・ワン監督の新作「カミング・ホーム・アゲイン」に決定。市山氏は「アメリカに住む韓国系アメリカ人の話で、『ジョイ・ラック・クラブ』の頃に戻ったような素晴らしい作品。トロント国際映画祭でワールドプレミアされたばかりの作品となります」と説明する。
その他の特別招待作品として、ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に選ばれたハイファ・アル=マンスール監督の「完全な候補者」、ペドロ・コスタ監督の「ヴィタリナ(仮題)」、カンヌ国際映画祭で脚本賞を獲得したジャファル・パナヒ監督の「ある女優の不在」など話題の作品が多数上映される。
コンペティション部門の審査員は、第1回フィルメックスのオープニング作品「ブラックボード 背負う人」にも出演していたイランの女優べーナズ・ジャファリ、「喝采の扉 虎度門」のシュウ・ケイ監督、写真家の操上和美の3人が決定。残りの2人は現在交渉中で、もう間もなく発表される予定だという。
今年のコンペティション部門は10作品となり、日本作品は中川龍太郎監督が仲野太賀、映画初出演となる元「乃木坂46」の衛藤美彩が出演する「静かな雨」、昨年の「夜明け」に続き2年連続の参加となる広瀬奈々子監督がブックデザインの第一人者・菊池信義を追ったドキュメンタリー「つつんで、ひらいて」が上映予定となる。
その他、特別招待作品「フィルメックス・クラシック」部門として「HHH:侯孝賢」「フラワーズ・オブ・シャンハイ」、キン・フー監督の「空山霊雨」、キン・フー、リー・シン、パイ・ジの3人の巨匠が手がけたオムニバス作品「大輪廻」など、上映される機会がなかなかない作品が続く。そして投票を元に上映作品を決定する「歴代受賞作人気投票上映」部門では、「ふたりの人魚」「息もできない」「ふゆの獣」という3本の上映が決定。なお、「SPL 狼よ静かに死ね」「天使の眼、野獣の街」も投票で上位につけたものの、権利元や上映素材などが不明のため、上映が断念されたことも合わせて発表された。
なお、昨年の特別協賛として名を連ねていた木下グループは今年は未参加。代わりに映画製作・配給会社のシマフィルムが協賛企業として参加することとなった。市山氏も「今年は昨年と予算規模は変わらない。何かの都合で来年以降、助成金がとれたとしても、この規模(コンペ10本、特別招待作品10本)を拡大することなく、特集上映の作品を増やすなどして対応したい」と説明した。
第20回東京フィルメックスは11月23日~12月1日、有楽町朝日ホールほかで開催予定(前売り券は11月3日発売開始)。
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