ある女優の不在

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解説

「人生タクシー」「これは映画ではない」などで知られるイランの名匠ジャファル・パナヒが、過去・現在・未来の3つの時代をシンボリックに体現する3人の女優の心の旅路を描いたヒューマンミステリー。イランの人気女優ベーナーズ・ジャファリのもとに、見知らぬ少女から動画メッセージが届く。その少女マルズィエは女優を目指して芸術大学に合格したが、家族の裏切りによって夢を砕かれ自殺を決意。動画は彼女が首にロープをかけ、カメラが地面に落下したところで途切れていた。そのあまりにも深刻な内容に衝撃を受けたジャファリは、友人である映画監督ジャファル・パナヒが運転する車でマルズィエが住むイラン北西部の村を訪れる。ジャファリとパナヒは現地で調査を進めるうち、イラン革命後に演じることを禁じられた往年のスター女優シャールザードにまつわる悲劇的な真実にたどり着く。2018年・第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で脚本賞を受賞した。

2018年製作/100分/G/イラン
原題:3 Faces
配給:キノフィルムズ

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第71回 カンヌ国際映画祭(2018年)

受賞

コンペティション部門
脚本賞 ジャファル・パナヒ

出品

コンペティション部門
出品作品 ジャファル・パナヒ
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(C)Jafar Panahi Film Production

映画レビュー

4.0より巧妙に多層的になっていくパナヒワールド

村山章さん
2020年1月26日
PCから投稿

イラン政府によって軟禁生活を強いられ、映画制作も禁じられながら、あの手この手の抜け穴を駆使して新作をコンスタントに完成させているパナヒ監督。この映画に関しては、もはや外出の不自由さもないようで、一時よりパナヒを取り巻く環境はラクになっている気がする(それも何時ひっくり返るかはわからないが)。

そしてパナヒ(に限らず大勢のイラン人監督も)がこれまでに取り組んできたイランにおける女性差別の問題が、本作では三世代の女性を通じて多層的に描かれているのだが、決してテーマを声高に主張したりはせず、隠喩や間接的な表現を多用し、時に観客を引っかき回しながら物語が進む。

気がつけば、なにか大切なことが描かれている気はするが、すっきりと理解した気持ちになったり、合点がいったりはしない。それもまたこの映画ではとても効果的に作用していて、行動原理のわかりにくい登場人物たちの群像から、本作が内包しているテーマの複雑さが感じ取れるのだ。

あと突如割礼のエピソードがブッ込まれてくるのも、性差に関する差別や偏見の犠牲者が、女性だけに限定されるものではないと伝えてくれている。あまりにもバカバカしくて、一瞬「これ何の映画だっけ?」と頭が混乱する酩酊感もいい。

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村山章

5.0ミステリーかと思うと見間違う、別の主題を提示する辺境への旅

2020年10月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

若い女性から自殺を決意する連絡を受けた人気女優と監督が、女性の住む辺境の村に向かう。

イランの現状描き続けるジャファル・パナヒ監督が、今も根強い女性差別を静かに提示しつつ辺境の村の生活も感じさせるドキュメンタリーな雰囲気も漂う良作。

スマホ縦位置画面の動画から始まり、夜道を移動する狭い車内でのクローズアップと長回しなどで、やや説明的ではあるが、目的と謎が提示される。
車内と暗い夜道がコントラストとなり不穏な雰囲気を醸し出して、観客を引き込む演出と撮影は中々良い。ちなみに撮影は監督がフランスで入手したデジタルカメラらしいが、コンパクトな機動性を活かした画面構成と映画的な色調や陰影がキチンとあるルックで良い。

個人的に思うのは、二人が乗車するクルマが最近生産終了をアナウンスされた三菱パジェロで、外国映画でこれだけ長時間登場するのは珍しいと感じた。

ネタバレあり

映画自体はミステリー調ではあるが、謎解きやサスペンスに主眼が置かれているのではなくて、人気女優(現在)と往年の名女優(過去)と芸能を志す少女(未来)の三人が、イランの女性たちが絶えず受けている苦難の象徴として描き、静かに告発をしてくる。

道中に出会う人や村人は、素朴でありながら、何処か閉じており、行方不明の少女に冷淡な反応で、村の中で娘が孤立していることが分かる。

彼女を探しに訪れた人気女優も、一見丁重な姿勢で迎い入れられるが、深いところ変わらない。実名で本人演じるベーナーズ・ジャファリの彫りの深い表情と真っ赤な髪が印象的で存在感もあり素晴らしい。

往年の名女優は、イラン革命前の卑しい存在として村八分にされて息を殺すように住んでいるのは、根深い女性差別を感じさせ、何故か同時期に活躍した男優(実在した人)は、村人から男の象徴としてリスペクトされているのに。

現在・過去・未来を象徴する女性三人が集う場面や娘の親への説得場面は、省略されており解り易い回答を観客に提示せず想像させるなどの演出のメリハリもうまい。

イラン映画は、殆ど観た事が無いと記憶しているが、中々知ることのないイランの辺境での生活やそれぞれの人達の立場を、分かりやすく興味を持続させながら堅実に描かれた映画でジャファル・パナヒ監督作品をもっと観たと思わせる良作。

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ミラーズ

4.0初めてのイラン映画

t.toraさん
2020年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イランの映画を見るのは初めてで、イランの映画事情も知らない。最後まで見られるかちょっと不安だったが、退屈しなかった。

パナヒ監督と女優ジャファリのロードムービーという感じで、荒涼とした風景、曲がりくねった砂利の細い坂道、乾いた村などの描写は、日本人の私には未知の世界で、そんな風景を見ているだけでも不思議な体験だった。それに、作中にBGMがほとんどないのも特徴で、演出がないのに逆に深く印象に残るという不思議な作品だ。

作中で、村の住民たちが「芸人は役に立たない」と厳しい言葉を監督に浴びせる。国の弾圧を受け映画製作を禁じられても、映画を作るために奮闘するパナヒ監督の強い意志に感銘を受ける。娯楽にあふれた日本の私は、この作品をきっかけに時間をかけてイラン映画を理解していきたいと思う。

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t.tora

3.0良い映画

stoneageさん
2020年1月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ストーリーは単純ながら、物語が進むにつれ、正直何が起こっているのか、何を伝えようとしているのか…よく理解出来なかった…。

この映画の背景になっているイランの政情や文化、田舎の村で起こっている事、性差別などなど…それを理解するには、わたしには敷居の高い作品でした。

そのメッセージ性が、さらに色んなカットの中で暗喩として含まれている…となったら…正直もう分けが分かりません(笑)

中東に興味のある方は、楽しめる作品ではないでしょうか…。

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stoneage
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