第71回カンヌ映画祭、是枝裕和、濱口竜介監督作がコンペ出品
2018年4月12日 20:33
[映画.com ニュース]5月8日から19日まで開催される第71回カンヌ国際映画祭のオフィシャル・セレクションのラインナップが、4月12日(現地時間)発表になった。コンペティションはオープニングを含めて現状18本(追加がある予定)。そのうち日本映画は、濱口竜介の「寝ても覚めても」と是枝裕和の「万引き家族」の2本が選ばれた。他にはジャン=リュック・ゴダール、ジャ・ジャンクー、イ・チャンドン、スパイク・リーといった名前が並び、今年は例年に比べ常連勢が減った印象だ。
数日先駆けて発表になったオープニング・フィルムは、イランのアスガー・ファルハディがペネロペ・クルスとハビエル・バルデムを起用してスペインで撮影した「Everybody Knows(英題)」。イラン関連では、ジャファル・パナヒの新作もコンペに選ばれており、ティエリー・フレモーが発表会見で語ったところでは、パナヒ監督がカンヌに来場予定であるという。
事前に期待されていたグザビエ・ドラン、ジャック・オーディアールの両作は、制作側の方針でセレクションが無理になったという。また2部作となるパオロ・ソレンティーノの新作も、前編が映画祭以前に公開になるために選出されなくなった。さらに前評判で名前が上がっていたラース・フォン・トリアーに関しては「数日以内に答えが出る予定」とフレモーが語った。
ある視点部門にも初監督作が目立ち、いまのところ日本映画はない。一方、短編コンペティションには日本から5人の共同作品であるDualityが入選した。
また昨年議論になったNetflix制作作品だが、今年もフレモーは、コンペの映画は劇場公開が条件であることを新たに強調。その他の部門に関しては拒否するわけではなく、いまも条件などを交渉中であることを匂わせた。
また、今年新たに導入されるシステムとして物議を醸し出したのは、朝いちばんに開催されるプレス用上映がなくなることだ。これは公式上映に先立つプレス上映によってツイッターやブログ等で情報が先に露出してしまうのを避けるためらしい。これによって記者会見等の時間割も抜本的に変更になるため、プレスのあいだでは動揺が広がっている。さらにレッドカーペットではセルフィー禁止という辞令も出た。
ともかく、追って発表になる追加作品や他部門のラインナップも含め、5月の開催まで、まだまだ何が起こるかわからない状況だ。(佐藤久理子)
アスガー・ファルハディ「Everybody Knows(英題)」
ステファヌ・ブリゼ「At War」
マッテオ・ガローネ「Dogman」
ジャン=リュック・ゴダール「Le Livre D'Image(英題:The Picture Book)」
濱口竜介「寝ても覚めても」
クリストフ・オノレ「Sorry Angel」
エバ・ユッソン「Les filles du soleil(英題:Girls of the Sun)」
ジャ・ジャンクー「Ash Is Purest White」
是枝裕和「万引き家族」
ナディーン・ラバキー「Capernaum」
イ・チャンドン「Burning」
スパイク・リー「BlacKkKlansman」
デビッド・ロバート・ミッチェル「アンダー・ザ・シルバー・レイク(原題)」
ジャファル・パナヒ「Three Faces」
パベウ・パブリコフスキ「Zimna wojna(英題:Cold War)」
アリーチェ・ロルバケル「Lazzaro Felice」
A・B・ショウキー「Yomeddine」
キリル・セレブレンニコフ「Leto(英題:Summer)」
アリ・アバシ「Grans(英題:Border)」
Meyem Benm'Barek「Sofia」
アンドレア・ベスコン&エリック・メタイェル「Little Tickles」
ビー・ガン「Long Day's Journey Into Night」
ナンディタ・ダス「Manto」
アントワーヌ・デロジエール「Sextape」
ルカス・ドーン「Girl」
バネッサ・フィロ「Angel Face」
バレリア・ゴリノ「Euphoria」
ガヤ・ジジ「My Favorite Fabric」
ワヌリ・カヒウ「Rafiki(英題:Friend)」
エチエンヌ・カロス「Die Stropers(英題:The Harvesters)」
ウルリッヒ・クーラー「In My Room」
ルイス・オルテガ「El Angel(英題:The Angel)」
Adilkhan Yerzhanov「The Gentle Indifference of the World」
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
「トランスフォーマー」シリーズで人気のジョシュ・デュアメルが主演するサスペンスアクション。消防士のジェレミーは、冷酷非情なギャングのボス、ヘイガンがかかわる殺人事件現場を目撃してしまい、命を狙われる。警察に保護されたジェレミーは、証人保護プログラムにより名前と住む場所を変えて身を隠すが、それでもヘイガンは執ようにジェレミーを追ってくる。やがて恋人や友人にまで危険が及んだことで、ジェレミーは逃げ隠れるのをやめ、大切な人たちを守るため一転して追う者へと変ぼうしていく。ジェレミーを守る刑事セラ役でブルース・ウィリスが共演。
家事や家族の世話に追われて子どもらしい時間を奪われてしまう「ヤングケアラー」の問題をメインテーマに、主人公の女子高生が母親の介護や進学について悩みながらも、家族や学校以外の社会とかかわることで、次第に自分らしさを取り戻していく姿を描いたドラマ。 高校で美術部に所属する清瀬櫻は、東京の美大に進学することを希望していたが、娘が家から出ていくなんて思ってもいない母の環は取り合ってくれない。久しぶりに単身赴任から帰ってきた父の紘一は娘の意思に理解を示すが、そのことで環と言い争いになり、家を追い出されてしまう。ぎこちない母子だけの生活が始まった矢先、櫻のもとに環が職場で倒れたという連絡が入る。誰にも言えない気持ちを匿名でSNSに書き込み、偶然出会った野良猫に癒やしを求める櫻だったが、次第に追い詰められていく。 全編が福岡県内で撮影され、主人公の櫻役は東京と福岡で行われたオーディションで選ばれた吉名莉瑠が務めた。母の環役を歌手の一青窈が演じ、主題歌も担当。父・紘一役は津田寛治が務めた。NHK大河ドラマなどの助監督なども務めてきた祝大輔監督がメガホンをとり、監督自身が経験した保護猫活動の実態なども織り交ぜられている。
動物園を経営するノーマンとマカリスターは、カリブ海にハネムーンで訪れた。ボートで海へ出たが沖へ流され、台風で船は沈没してしまい二人はある島へ打ち上げられた。そこでガチョウの卵のようなモノを見つけた。運よく救助された二人は卵を持ち帰るが、その卵から見たことのない“怪物”が生まれた。手に負えなくなった夫婦は経営する動物園に「パンダザウルス」として展示することに。しかし檻を破っていなくなってしまう。パンダザウルスの存在は次第に知れ渡り、大騒ぎに!精神科医は“怪物”の存在を否定しているが…果たして「パンダザウルス」とはいったい何なのか!?
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
旧ソビエト連邦史上最悪の連続殺人鬼を追う刑事の戦いを、実在の連続殺人犯たちをモデルに描いたサイコスリラー。 1991年、何者かに襲われて怪我を負った女性が森の近くで保護された。女性の証言によると、彼女に怪我を負わせた犯人の手口は3年前に捕まったはずの連続殺人犯のものと酷似しており、3年前の犯人は誤認逮捕だったことが判明。本当の連続殺人犯は10年以上にわたって残忍な犯行を繰り返し、36人を殺害していた。捜査責任者イッサは新たな容疑者アンドレイ・ワリタを追い詰め、尋問をする中で彼こそが真犯人だと確信していく。やがて、ワリタの口から驚くべき真実が明かされる。 本作が長編デビューとなるラド・クバタニアが監督・脚本を手がけ、1978年から90年にかけて50人以上を殺害した容疑で逮捕されたアンドレイ・チカチーロをはじめとする数々の連続殺人犯をモデルに、刑事や精神科医、犯罪学者にインタビューをしながら犯人の人物像を組み立てた。刑事イッサ役に「葡萄畑に帰ろう」のニカ・タバゼ。
休暇をもらって天国から降りてきた亡き母と、母が残したレシピで定食屋を営む娘が過ごす3日間を描いたファンタジーストーリー。 亡くなって3年目になる日、ポクチャは天国から3日間の休暇を与えられ、ルール案内を担当する新人ガイドととも幽霊として地上に降りてくる。娘のチンジュはアメリカの大学で教授を務めており、そのことを母として誇らしく思っていたポクチャだったが、チンジュは教授を辞めて故郷の家に戻り、定食屋を営んでいた。それを知った母の戸惑いには気づかず、チンジュは親友のミジンとともに、ポクチャの残したレシピを再現していく。その懐かしい味とともに、チンジュの中で次第に母との思い出がよみがえっていく。 母ポクチャ役は韓国で「国民の母」とも呼ばれ親しまれるベテラン俳優のキム・ヘスク、娘チンジュ役はドラマ「海街チャチャチャ」「オーマイビーナス」などで人気のシン・ミナ。「7番房の奇跡」「ハナ 奇跡の46日間」などで知られるユ・ヨンアによる脚本で、「僕の特別な兄弟」のユク・サンヒョ監督がメガホンをとった。劇中に登場する家庭料理の数々も見どころ。