山田洋次監督、今後も続く“映画道”に意気軒高 「男はつらいよ」最新作に手応え
2019年10月3日 19:21
[映画.com ニュース] 山田洋次監督が10月3日、東京・千代田区の外国特派員協会で記者会見を行った。
シリーズ50周年の最新第50作「男はつらいよ お帰り 寅さん」が第32回東京国際映画祭のオープニングに選ばれたことを記念し、同作の上映後の会見。山田監督は、「一体どんな映画になるのか、撮影中は僕の中に不安と期待があった。完成した映画を見て感じたことは、この映画を作るために50年の歳月が必要だったということ。長生きしたから、こういう映画ができた」とユーモアを交え語った。
主演の渥美清さんが生きていたらどう思うかと聞かれると、「俺、ビックリしたよと言うでしょうね」としみじみ。続けて、「(第1作の)頭の方で、妹のさくらがプロポーズされるけれど、倍賞千恵子さんはあの頃は25歳。現在は75歳で、ほかの俳優も年を取っているけれど、寅さんは決して年を取らない。そういう意味ではマリリン・モンローやチャプリンと比較できるのではと思う」と、その存在の大きさを称えた。
だが、自身の年齢に関する質問には「困ったなあ。年のことを考えると怖くて、映画どころじゃねえって思う」と苦笑い。それでも、「米国には(1つ年上の)クリント・イーストウッドがいるので、僕も頑張ろうと思う。ポルトガルのマノエル・デ・オリベイラ監督や新藤兼人監督は100歳まで映画を撮ったから、まだまだ希望は持っていいかな」と意気軒高だ。
「男はつらいよ」は、「1人の俳優が演じた最も長い映画シリーズ」としてギネス記録に認定されているが、シリーズものの難しさについては「観客がこの映画を見たいという期待を裏切ってはいけないし、なおかつ(ストーリーなどで)裏切らなければいけない」と持論を展開。最も産みの苦しみを味わった作品は第48作「男はつらいよ 寅次郎紅の花」(1995)を挙げ、「渥美さんの体調がかなり悪く、あと2~3年と言われていたからもうやめた方がいいのか作り続けるのかで悩み、体調に合わせて脚本を書かなければいけなかったので、相当苦労した」と振り返った。
山田監督作品がオープニングを飾るのは、「隠し剣 鬼の爪」以来15年ぶり。「いろいろな国にさまざまな映画祭があるけれど、東京は日本を代表する映画祭。特徴は何か、魅力はどこにあるのかというテーマを持つことが大事で、そういう努力を続けてどこにもないユニークな映画祭になってほしい」と期待した。
第32回東京国際映画祭は10月28日~11月5日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズをメイン会場に開催。「男はつらいよ お帰り 寅さん」は、12月27日から全国で公開される。