「パリ、テキサス」から最新作「世界の涯ての鼓動」まで ベンダース監督傑作特別動画
2019年7月20日 10:00
[映画.com ニュース]映画史に刻まれる傑作を生み出し続けるドイツの名匠ビム・ベンダース。長編監督デビュー50周年を記念し、代表作「パリ、テキサス」(84)、「ベルリン・天使の詩」(87)、「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」(99)、そして8月2日公開の最新作「世界の涯ての鼓動」の名場面を切り取った特別動画が公開された。
最新作「世界の涯ての鼓動」は、ジェームズ・マカボイとアリシア・ビカンダーが共演し、ロマンティックな美しさをたたえたノルマンディーの海岸、人類の原風景のようなグリーンランドの広大な海、砂に包まれた峻厳な南ソマリアを舞台に描く、狂おしくも切ない極限下のラブサスペンス。
「70年代からベンダースを見続けてきた」という映画評論家の樋口泰人氏は、最新作「世界の涯ての鼓動」について、「70代や80年代のイメージとは違う印象で、最初は驚いた。でもそれは、ベンダースが常に新しい事に挑戦をし続けているからだ」という。特に「劇中で2人が見つめ合うシーンは、映画史上でもめったにみられない、まさに恋に落ちた人間たちの瞳と瞳の触れあいが描かれている。それは『まわり道』(75)や『ベルリン・天使の詩』にも共通すること。字幕を読まないで、ひたすら彼らの目に注目して欲しい。ストーリーで見せようとする監督は多くいるが、ベンダースは、“相手を見つめる顔”で全てを語る。そんな監督は世界に何人もいない」と太鼓判を押す。
さらに「印象的なのは、本作の冒頭に出てくる“こんなに孤独なのは初めて”というアリシアの台詞。ここにはベンダースの長年の想いが込められているのではないか…」と分析。本作は、運命の相手が自分の傍にいないという主人公の切ない表情からシーンから始まるが、2年前に「パリ・テキサス」のサム・シェパードが、1年前には「アメリカの友人」「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツが死去しており、仲間達を失ったベンダースの悲しみが表れているのかもしれない。
そして、「ドイツの68年。世界的に巻き起こった政治運動の頂点となったその年と運動の挫折の後に長編デビューしたベンダースの、50年の時間が流れていると言えるだろう。本作を観てから(ベンダースの)過去の映画を観ると、ベンダースの社会へのまなざしが、どこか繋がっているということがわかるはず」と語っている。
「世界の涯ての鼓動」は、8月2日からTOHOシネマズシャンテ他にて全国順次公開。
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