アメリカの友人 劇場公開日:2021年11月5日
解説 ドイツの名匠ビム・ベンダースが、アメリカの作家パトリシア・ハイスミスによる小説「トム・リプリー」シリーズの第3作「アメリカの友人」を原作に描いたクライムサスペンス。贋作を売りさばいているアメリカ人の画商リプリーは、オークション会場で額縁職人のヨナタンと出会う。ヨナタンが病で余命わずかだと知ったリプリーは、彼に一度きりの殺人の仕事を紹介する。ヨナタンは多額の報酬を妻子に残すため殺人を引き受けるが……。主人公リプリーを「イージー★ライダー」のデニス・ホッパー、額縁職人ヨナタンを「ベルリン・天使の詩」のブルーノ・ガンツが演じ、ニコラス・レイ、サミュエル・フラーらベンダース監督が敬愛する映画監督たちも出演した。
1977年製作/126分/G/西ドイツ・フランス合作 原題:Der amerikanische Freund 配給:東北新社 日本初公開:1987年6月27日
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2021年12月21日
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ひとりBunkamura 11夜連続 この『アメリカの友人』は娘がDVDで持ってる、と言うので 無料トライアル配信で急いで見なくても暇な時でいいやと後回しにしてたけど Bunkamuraのチラシにもなってるので一番観なくちゃいけないやつなんでしょう… うむ、これを観て一旦ヴィムヴェンダースは終了 血液の癌に侵され余命宣告された額縁職人で修復画家のヨナタン 家族にお金を残したいと危険な仕事に手を染める そして手を貸し相方となるアメリカの友人リプリーとのアクション、アクション映画とは言い難いポンコツアクションw こんな商業映画も撮るんだな、けど一味違うな、というやつ
2021年11月30日
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鑑賞方法:映画館
『ヴィム・ヴェンダース レトロスペクティブ ROAD MOVIES/夢の涯てまでも』にて鑑賞。 なんだかよく分からないが(笑)、白血病に苛まされる額縁職人の男が、殺人依頼を半ば無理矢理引き受けさせられ巻き込まれていくサスペンス作品。 殺人を犯したり、追っかけたり逃走したりと"サスペンス映画あるある"な場面はあるにはあるが、正直、緊張感がまるで無い…ちょっとした出来損ないのスリラー映画でも観せらてるような感じで、時間が経つにつれ飽きてくる(笑) こんな作品もあるよ…ぐらいかな(笑) *wikiによると、この作品の原作小説は、映画『太陽がいっぱい』の原作小説の続編とのこと。デニス・ホッパー演じる"トム・リプリー"というのは、映画『太陽がいっぱい』でアラン・ドロンが演じたあの役柄と同じ(おぉっ!)。 しかし、この作品、登場人物が皆どこか間が抜けてて、犯罪映画の匂いがまるでしなかったんですけど…笑
2021年11月26日
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「都市とアリス」「まわり道」「さすらい」のロードムービー三部作の直後に制作されたのが、この「アメリカの友人」だ。 そして、主演のひとりは、アメリカ・ロードムービー代表作「イージー★ライダー」の監督・脚本・主演のデニス・ホッパーだ。 ロードムービー三部作では、戦後、東西に分かれたドイツの西側で、アメリカ文化の影響を受けつつ、アイデンティティとは何かと葛藤し、変化も受け入れ、それを肯定する姿などが描かれていたが、大きな映画のテーマとしてロードムービーが注目されたのが、アメリカ作品の「イージー★ライダー」で、その監督・脚本・主演のデニス・ホッパーを迎えて、「アメリカの友人」を撮ったことは、意義深かったのだろうなと考えたりする。 ブルーノ・ガンツ演じるヨナタンと、デニス・ホッパー演じるトム・リプリーのコンビが滑稽で最高なのだが、ヴィム・ヴェンダースの三部作とは異なり、エンディングにはイージー★ライダーちっくな悲哀も盛り込まれている。 そして、ここに描かれている殺しもハード・ボイルドなどでは決してなく、素人ならではのドタバタで、殺られる側も、殺し屋とか用心棒とか言われる割には不用心だし、マフィアと呼ばれる割には、ものすごくマヌケな感じなのだ。 だからこそ、この作品は楽しいし、悲哀も感じられて、多くの人に親しまれているのだと思う。 確かに、現代のアクション・ムービーと違って、迫力には欠ける(ただ、列車からの突き落とされそうになる場面はドキドキした)が、戦後、世界中で民主化が進展し、西ドイツでは急激な産業化が進むなか、実は、暴力的な行為の担い手も減少していたのだろうななどと考えてしまった。 戦時中はもとより、戦後しばらくも、アメリカ人俳優が西ドイツにやって来て、映画を撮るなんて考えられなかっただろうし、東西冷戦中であっても、西側の急激な相互依存関係が進行していたことが伺われる。 そして、ちょっと滑稽だけど、エンディングには悲哀も用意されていて、ヴィム・ヴェンダースとデニス・ホッパーのロードムービーを合わせたような感じで、そこもまた良いのだ。 豊かになったアメリカ人が、ロクに確かめもせずに有名画家の作品の贋作を大枚はたいて買うのだが、時代を反映していると同時に、”審美眼”はヨーロッパにあるのだという設定も面白かった。 まだ評価の定まらない新人作家の作品をバカ高い値段で買い漁るのは、今のアメリカも実は同じようなものだ。 滑稽、皮肉、悲哀。 多くのエッセンスが詰まった作品だと思う。
2021年11月12日
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鑑賞方法:映画館
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やっぱりホッパーはカッコいい。 ニコラス・レイも凄く良かった。 サミュエル ・フラーも結構良かったのだが、もうチョイ台詞が欲しかった。 そして、とにかく映像が素晴らしい。 さすが4Kレストア版。 ハンブルクの港町の風景、オレンジ色の懐かしいワーゲン、子供の黄色いレインコートや奥さんの真っ赤なコート、朝の光の中で真っ白いアンビュランスが赤々と燃えて爆発するラスト近くのシーン、 それら諸々の配色バランスの見事さよ! 撮影監督であるミュラーのセンスが冴えまくっていて、スクリーンでの大画面はホント最高だった。 冒頭のホッパーの登場や、赤いドイツ語でカッコよく出現するタイトル、そして贋作者として登場するニコラス・レイとの会話(これは『理由なき反抗』以来の再会?)そして、その後のオークションまでの流れは最高だったのだが… そもそもだが主人公をリプリーでなく、ヨナタンにしてしまった時点で、明らかに物語の翻案は失敗だった。 リプリーは、狂言回しには違いないが、あれは主人公とはいえない。 やはりリプリーの心理を軸にプロットを進めていかないとストーリーの核が鮮明に浮かび上がって来ない。 ズブの素人にマフィア殺しをさせるよう仕向ける事それ自体が、まさにリプリーの悪ふざけのゲーム、原作のタイトルでもある「Ripley's Game」なのだから。 この物語において、最も重要ポイントとなるリプリーとヨナタンの最初の出会いもアレじゃダメだ。 ヨナタン役のブルーノ・ガンツも芝居は良かったが、あの役自体、あんな平凡な善良な男というより、もっと聖人みたいな全く悪い事など本当に出来そうにない真正直なキャラでないと物語自体が明確に見えてこない。 そんな男から「お噂はかねがね」と何気ない冷淡な社交辞令を言われただけで、リプリーは気分を損ねて、さらに過去の完全犯罪まで見透かされたような妄想をしてしまい、勝手気ままな殆ど道楽とも言えるゲームを始めたのが、そもそもの原作設定なのだから。 まるで、あの『ファウスト』のメフィストフェレスのように。 そんな悪魔的なゲームを愉しむリプリーを主人公としてフィーチャーさせて、彼の視点や心象風景をもっと増やし、あの魅力的なホッパーの出番が、より一層と多くなっていれば、間違いなく傑作になっていたに違いない。 ヴェンダースは『ベルリン天使の詩』でもガンツを主人公にしていたが、彼には俗世間を抜け目なく切り抜ける役の方が良く似合うはずだ。聖人の配役などミスキャストだったと思う。 あと、ヨナタンはキンクスやビートルズを歌っていたが、リプリーには楽屋オチのイージー・ライダーやボブ・ディランよりも、やはり「Sympathy for the devil」を歌って欲しかった。 “Ah〜♪what's puzzling you Is the nature of my game〜♪” てな感じで、ホッパーが運転しながら歌っていたらホント最高だったのに。 サウンドトラックの音楽の方も良くて、 ラストでのニコラス・レイの実存主義な登場シーンや、そこで再度出現する赤いタイトルロゴの方も実にカッコ良かっただけに何とも残念!な作品ではあった。