「アベンジャーズ エンドゲーム」すべての感情をつぎ込んだヒーローたちへの感謝状【レビュー】
2019年4月24日 07:00
[映画.com ニュース] 衝撃の結末から1年。「アベンジャーズ」シリーズが完結する。2008年の「アイアンマン」にはじまったマーベル・シネマティック・ユニバースは、21の物語を経て、「アベンジャーズ エンドゲーム」でヒーローたちの一時代にピリオドを打つ。
最強ヒーローによる究極のチーム、アベンジャーズをもってしても、宇宙最凶最悪の敵サノスを止めることはできなかった。宇宙に散らばる6つのインフィニティ・ストーンを集め、無限の力を手に入れたサノスは、一瞬にして生命の半分を消し去り、アベンジャーズも多くの仲間を失った。変わり果てた世界で、残されたヒーローたちは「何を犠牲にしても」失われた人々を取り戻そうと、最後にして最大の戦いに挑む。
「私がアイアンマンだ」。ヒーローが自らの正体を暴露するという“サプライズ”で幕を開けたマーベル・シネマティック・ユニバースでは、商業映画の”お決まり”を逆手に取り、観客の予想を裏切ることで、期待を上回る感動をもたらしてきた。本作でもその法則はあてはまる。しかも、今回の“サプライズ”はいままで以上に大胆かつ巧妙に仕掛けられ、観客は最初から最後まで揺さぶられ続けるだろう。
前作「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」でサノスがもたらした“均衡”により、世界は活気を失い、静寂に包まれ、虚無感が漂っている。残された者たちに何ができるのか。残された者たちはどう生きるべきなのか。無力さにうちひしがれひきこもる者、大義を諦め私利を優先させる者、理不尽のあまり暴力にはけ口を求める者、人々の前進を支える者、新しい状況に適応する者、失われたものを必死で追い求める者。スクリーンに映し出されるのは、完全無欠のヒーローたちではなく、痛みを知る生身の人間たちだ。
そんなキャラクターたちの感情と個性が絡み合うことでユーモアを醸し出しながら、決死の大作戦は決行される。特に「アベンジャーズ」最初のメンバーである、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソー、ハルク、ブラック・ウィドウ、ホークアイは、これまでの歴史があるからこそなせるドラマを織りなす。たとえ離れていた時間があろうとも、その時間の間にどれだけ変化があろうとも、互いに信頼し合い、一つの目的に向かって協力する姿は見る者の胸を熱くする。
しかし、我々の現実でよかれと思ってやったことが、事態を悪化させたり、思いがけない結果を招いたりするように、アベンジャーズもまた試練の連続に追い込まれていく。“失われたもの”を取り戻す作戦の中で、彼らは自らの後悔や不安とも向き合う。その過程で、希望と絶望、喜びと悲しみ、怒り、驚き、寂しさ、郷愁、ありとあらゆる感情が呼び起こされ、10のシリーズで織り上げてきた壮大なクロニクルの集大成にふさわしいエモーションの嵐が吹き荒れる。
ノンストップでクライマックスへ突入していった「インフィニティ・ウォー」とは対照的に、「エンドゲーム」はキャラクターたちの心情に寄り添い、一手一手じっくりと詰めていく。そうして、大詰めで繰り出される“団結”の一手は、「アベンジャーズ」シリーズの真骨頂であり、掛け値なしに楽しく興奮せずにはいられない。最終決戦だけでなく、随所でも“ファンサービス”の大盤振る舞い。日本人にとっては、東京でのエピソードや、名優・真田広之の出演はうれしいプレゼントだろう。
マーベルのヒーローたちは、常に“犠牲”を払うことで、“正義”を遂行てきた。犠牲を払ってヒーローになった彼らは、人々に愛する家族や、平穏な心休まるひと時、人生を楽しむ喜びをもたらしたにちがいない。そして本作では、危険に身をさらし、大きな使命を背負い戦ったヒーローたちに、そうした幸せを手にしていいのだとささやきかけているかのようだ。あらゆる感情がつぎ込まれた本作は、私たちを熱狂させ、勇気づけ、成長させてきたヒーローたちへの感謝状である。
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