劇場公開日 2019年4月26日

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アベンジャーズ エンドゲーム : 映画評論・批評

2019年4月30日更新

2019年4月26日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

スーパーヒーロー神話の区切りがもたらす、達成感以上の映画史的な価値

トイレの心配など杞憂だった。数多くの情報が巧みに編まれて観る者を捉え、上映時間181分まったく集中が途切れない。それどころか下半身から排出されるはずの水分は、涙腺からあふれ出てスッカラカンだ。“万感胸に迫る思い”を勢いとして押し出されるように。

あれこれ憶測が交わされた本作は「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」(18)を受けての、アベンジャーズの逆襲編だ。前回で全インフィニティ・ストーンを手にしたサノス(ジョシュ・ブローリン)の粛清によって、人口の半分を失った世界。アベンジャーズもその影響下にあり、半数が塵と消えて以降、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)やアイアンマン(ロバート・ダウニー・Jr.)ら残された者は後悔に苛まれながら、かろうじて態勢を維持してきたのだ。

しかしキャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)、そしてアントマン(ポール・ラッド)といった切り札的存在が、リベンジへの滑車をしっかりと回し始める。後者が身を置く量子世界の時間概念を活かし、サノスが指を鳴らす以前へと移動して、目的の達成を阻止しようとするのだ。限られた条件のもと、総力戦に臨むメンバーたち。かつてドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)が言い残した、わずかな勝率に全力を賭ける勇姿をもって、映画はMCUの集大成といった印象を観る者に与えていく。

なによりルッソ兄弟監督が実践してきた長期映画展開は、それ自体がインフィニティ・ストーンのごとく、業界を揺るがす革命をもたらした。ゆえに区切りとなる本作は、続編でもなければシリーズとも異なる、11年間にわたる連続性ならではの新しい感触を与えてくれる。終映後、誰の身にも訪れるであろう恍惚は、ひとつのフィナーレに対する達成感に加え、我々が体験したことのない表現域への到達に感応したものなのかもしれない。

ただ同時に、犠牲を代償にしなければ勝利のない壮絶な大戦が可視化され、11年かけて接してきたキャラクターたちとの別れに、まるで身内を失うような身の痛みを覚える。ときに深刻な事態でも軽い笑いで切り抜けてきた、マーベルのコミック由来のフレキシビリティをもってしても、それだけは緩和できない。笑顔でさよならを言うには、我々はあまりにも長く、この気高きスーパーヒーロー神話に身を沈めてきたのだ。

尾崎一男

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