松江哲明監督と事故物件情報サイトの管理人が語る、ホラー映画&事故物件の“掟”とは…?
2019年4月1日 23:00
[映画.com ニュース]「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のJ・A・バヨナ監督が製作総指揮を担ったサスペンススリラー「マローボーン家の掟」の公開直前イベントが4月1日に都内で行われ、事故物件情報サイトの管理人を務める大島てる氏と、ドキュメンタリー監督の松江哲明が登壇した。
物語の舞台は、海沿いの森にひっそりとたたずむ大きな屋敷。マロ―ボーン家の4人兄妹は、5つの掟(おきて)に従いながら、世間の目を逃れるように生きていた。心優しい母親の病死、凶悪殺人鬼である父親の殺害をきっかけに、4人の希望に満ちた日々は崩れ始める。父親の死体を隠した屋根裏部屋から響く不気味な物音、鏡の中にうごめく怪しい影……。やがて平穏を保つための掟が次々と破られ、追いつめられた長男は家族を守るべく、ある決断を下す。
松江監督はホラー映画との関わりを、「初めて製作費をいただいて作った映画が、『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズ。プロデューサーから『全然松江くんの(作品)は怖くない』と言われて。ホラーよりもドキュメンタリー寄りで作っちゃったので、(怖い話の)投稿者にも『何が映ってるんですか?』よりも『どうして撮ったんですか?』って聞いてしまって……」と反省交じりに語る。本作については、「絵が美しい。自然光を生かした絵づくりが多くて、ホラー映画だからといってやたらと闇を強調するわけではなくて。完成された絵画のような絵の中で、自然なタッチで撮られています。脚本は練られていて、伏線がすごい」と絶賛した。
この日は劇中の掟にちなみ、松江監督と大島氏は「ホラー映画を作る上での3つの掟」「事故物件を見破る上での3つの掟」をそれぞれ発表。松江監督は「主人公が会話をする相手に注意する」「上映時間がまだ残っているのに、ハッピーエンドで終わる」「社会状況を反映させた映画は現実への恐怖感が増す」と列挙し、特に1つ目の掟について「『シックス・センス』以降だと思うんですけど、映画の中で主観と客観が分からないように描く映画が増えた。主人公が何を見ているのか、誰と話しているのか、誰の目線でありいつの時代なのか、そういう仕掛けがあることが特徴ですね」と説明した。
続いて実はホラー映画が苦手だという大島氏は、「ひとつの部屋だけリフォームされている」「建物の名前を変えている」「事故後1人目の入居者には言うが、2人目以降には言わない」という掟を挙げる。「ずっと伝えないといけない場合もあるし、特にひどい殺人事件現場だと1人誰かが住んでもダメなんですけど……ただ『1人住んだから大丈夫でしょ』と思い込んでいる業者やオーナーがいるのも事実で、そうやって運用している場合もある」と3つ目の掟に触れ、警告を発した。
「マローボーン家の掟」は、4月12日から東京・新宿バルト9ほか全国で公開。
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