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【インド人に聞いてみた】インド映画はなぜ歌って踊る? 最新のオススメ作品は?

2019年1月17日 12:00

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次にヒットするインド映画はこれだ!?
次にヒットするインド映画はこれだ!?
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[映画.com ニュース] インド映画と言えば、歌って踊る陽気なミュージカルシーンですよね。素朴な疑問なんですが、どの作品にも大体歌とダンスが入っているのって、なぜなんでしょう。おそらく世界中で聞かれている疑問を改めて確かめるために、映画.comは日本で映画配給会社を経営するインド人に話をうかがってきました。異例のヒットを飛ばした「バーフバリ」シリーズに続く、「日本で次に流行りそうなインド映画」も紹介してくれたので、あわせてどうぞ。

取材したのは、東京・江東区にオフィスを構える映画配給会社「SPACEBOX」の女性社長アンバラシさんと、スタッフのドウレイ氏。最新の公開待機作には、インド映画の世界興行収入記録で歴代3位を誇る感動作「バジュランギおじさんと、小さな迷子」(1月18日全国公開)があります。核心に迫る前に、まずは2人に「インドではどのように映画が見られているのか」を聞いていきます。

■知られざるインドの映画事情

インドは超多様な文化が混在する大国です。世界第2位の人口を誇ることに加え、数100の言語が存在する多面的なお国柄は、映画の興行に影響を及ぼさないのでしょうか。

アンバラシ社長 (宗教的・文化的理由などで)作品の内容に怒る観客が現れたり、ある州では内容が不適切だとして公開されないことも。そうした映画がざらにあります。

ドウレイ氏 映画「Padmaavat(原題)」は、日本でも人気の女優ディーピカー・パードゥコーンが出演した、「バーフバリ」にも劣らないスペクタクル作品です。実はこの映画、インド国内では予定の半分の劇場でしか公開されませんでした。インドの映倫から「女性の名前であるタイトルを変更し、いくつかのシーンをカットしてください」などと要求され、公開がストップしました。その影響で興行収入が思うように上がらず、全世界では約100億円にとどまりました。

■インドの映画館はどんな雰囲気?

日本ではインドの鑑賞形式を輸入した“マサラ上映”が人気を博しています。どんちゃん騒ぎしながら映画を見る激しく楽しい企画ですが、本場の映画館はどのような様子なのでしょうか。

アンバラシ社長 みんな席から離れ、だいたい踊っています。俳優や女優のファーストルックでは席から立ち上がり、大声をあげ指笛を鳴らします。踊りのシーンでは紙吹雪を投げ、みんなで踊ります。派手な場面ではポップコーンも弾け飛びます。なので後ろ方の座席は、ほとんど画面が見えません。

ドウレイ氏 封切りから1週間ほどは、20~30代の若者でどんちゃん騒ぎという状況が続きますので、家族連れはしばらく映画館に行けないんです(笑)。またチケットは200ルピー(約315円)ほどですが、ポップコーン代や駐車場代が高い。それがやはり課題になっています。昔は家族で映画館に行きましたが、現在は家族全員だと非常に高価。そのため作品の評判が良くなければ、すぐに上映終了となってしまいます。

■インド映画はなぜ歌って踊る?

ドウレイ氏によると、インド映画がそのように激しく鑑賞されていることと、上映時間が長いことの理由は、歌と踊りにあるそうです。「歌と踊りがないとインド映画ではない」とさえ言われるほど、熱い思いが注がれているのはなぜなのか……。

アンバラシ社長 私たちの習慣と生活のなかに歌と踊りがあり、映画からも離れがたいものなんです。母親は妊娠して6~7カ月くらいから、両腕のほぼ全体にたくさんのバングルをつけます。ちょっと動くだけで音が鳴り、そのリズムがお腹の子どもを元気にすると考えられているんです。生まれた子どもには、足などに装飾具をつけます。寝ているときにシャンシャンと音がしたら、子どもが起きたことがわかる。歩くだけでも音がするので、どこかに行ってしまっても、すぐに見つけることができます。

ドウレイ氏 我々は歌と踊りとともに一緒に生まれた、ということでもあります。アーミル・カーンがBBCの番組で同じ質問をされ、同じように答えていました。映画では2時間のドラマパートの合間に、合計約40分間のミュージカルパートがちりばめられます。それらは別々にすることができず、「どちらも短くして2時間に収めよう」という発想もないため、長くなるし、日本だと上映してくれないんです(笑)。

■次に流行るインド映画は?

1998年に大ヒットした「ムトゥ 踊るマハラジャ」は“見る極楽浄土”と言われ、「バーフバリ」シリーズでは鑑賞者の風邪が治ったという報告もなされるなど、エネルギーあふれるインド映画は“人生に効く”んです。SPACEBOX社は上述の「バジュランギおじさんと、小さな迷子」「Padmaavat」を含め、多くの映画を日本に届けるべく活動しています。「ストックは1000本以上」という2人がオススメする作品を、以下に紹介していきます。

バジュランギおじさんと、小さな迷子」(1月18日公開)
笑えない摩擦が起き続けるインドとパキスタンを股にかけ、実直なインド人青年と声が出せない迷子のパキスタン人少女が旅する模様を、笑いと涙に包んで描いたイチオシの感動作です。原案・脚本は、V・ビジャエーンドラ・プラサード。「バーフバリ」シリーズのS・S・ラージャマウリ監督の実の父でもあります。
「Padmaavat(原題)」(6月公開予定)
ボリウッド映画史上最高額という製作費を投じた、13世紀後半が舞台の歴史スペクタクル。傾国の美女パドマーワティをめぐり、国王と皇帝が争う様子を描きます。主演は「トリプルX 再起動」などで知られる美人女優ディーピカー・パードゥコーン。荘厳雄大なミュージカルに加え、コスチュームが非常に絢爛豪華なので、絶叫上映などでのコスプレが大いに盛り上がりそうです。
「RAB NE BANA DI JODI(原題)」
ちょっと古めの2008年製作ですが、“キング・オブ・ボリウッド”シャー・ルク・カーンが1人2役を演じた、涙ありのラブコメディ。電力会社に勤める冴えない男が、妻の心を勝ち取るためにイケイケの別人に変身し、ダンスに明け暮れる姿を描きます。
「MERSAL(原題)」
ムトゥ 踊るマハラジャ」のラジニカーントに続く、タミル映画界の人気者ビジャイが主演したアクションエンタテインメント作。チェンナイで低所得者層を助ける人徳的な医師マーランが、周囲で発生した不審死の犯人に仕立て上げられ、自分と瓜二つの奇術師と対面する姿を映し出します。

「バーフバリ」をきっかけにインド映画に興味を持った観客は多いでしょう。同社は劇場未公開のインド映画を多数上映するイベントを全国で実施しているので、コアな作品をより早く先取りしたい方は、ぜひ足を運んでみてください。

「ワナジャ」を
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執筆者紹介

尾崎秋彦 (おざき・あきひこ)

映画.com編集部。1989年生まれ、神奈川県出身。「映画の仕事と、書く仕事がしたい」と思い、両方できる映画.comへ2014年に入社。読者の疑問に答えるインタビューや、ネットで話題になった出来事を深掘りする記事などを書いています。


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