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柄本佑&瀧内公美が体現する“極限の愛” 白石一文「火口のふたり」実写映画化

2018年12月17日 08:00

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脚本家・荒井晴彦の監督3作目
脚本家・荒井晴彦の監督3作目
(C)2019「火口のふたり」製作委員会

[映画.com ニュース] 直木賞作家・白石一文氏が男と女の“極限の愛”を紡いだ「火口のふたり」の実写映画化が決定。日本映画界を代表する脚本家・荒井晴彦の監督3作目となり、主演を柄本佑瀧内公美が務めることがわかった。

「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」で第22回山本周五郎賞、「ほかならぬ人へ」で第142回直木賞を受賞した白石氏。「火口のふたり」は、2011年の東日本大震災をうけて、改めて“生きること”を見つめ直し書き上げたものだ。「『火口のふたり』はあの大震災から時を経ずに一気呵成で書き上げた小説で、私としてはめずらしいほど生命力にあふれた作品だ。人のいのちの光が最も輝く瞬間をどうしても描きたかったのだろう」と説明する白石氏。「映画界の伝説ともいうべき荒井晴彦さんの手で、その光がよりなまなましく、妖しく見る者の心を照らし、身の内に眠っていた“おとこ”や“おんな”が強く喚起されんことを切に願っている」と期待を込めている。

東日本大震災から7年目の夏。離婚、退職、再就職後も会社が倒産し、なにもかも失った男・永原賢治(柄本)は、旧知の女性・佐藤直子(瀧内)の結婚式に出席するため、故郷である秋田に帰省した。「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」。直子の突然の言葉をきっかけに、2人は再び体を重ね合う。一度だけと誓ったはずが、理性と体に刻まれた記憶の狭間で翻ろうされる賢治と直子。“身体の言い分”に身をゆだねることで、2人の愛は噴火する火口のごとく燃え上がっていく。

「2006年に西馬音内盆踊りを見たのが、スタートだったかもしれない」と打ち明けた荒井監督。相米慎二監督が3日間も見続け「来年は俺も踊ろうかな……」と魅了された秋田の西馬音内盆踊り。「黒い布に目穴が開いた彦三(ひこさ)頭巾と深くかぶった編み笠で踊り手の顔は隠れている。男か女かも分からない。くるっと回転する時の草履が道をこする音がいい。亡者踊りともいわれてるように、死とエロスが匂い立ってくる。相米が3日間見ていたというのが分かる気がした。いつかこの盆踊りと男と女を絡めた映画を作りたいと思った」と語りつつ「白石さんに原作をもらいに行った時、福岡を秋田に変えていいですかとお願いした。白石さんはアライさんじゃ仕方がないですねと言ってくれた。その時から4年、震災から7年もたってしまった」と振り返った。

「何があろうと『自分の身体の言い分』を聞いてあげようという映画」と語る荒井氏と念願のタッグを組むことになった柄本は、「今回のお話をいただいた時、小躍りしました。なんたって脚本だけでなく監督も荒井さんなんですから。ホンはなんともチャーミングで『大人』なホンでした」と述懐。「5歳の時から僕を知ってくれている荒井監督。今まで仕事したどの監督よりも付き合いの長い監督です。どんな映画になっているのか。出ている自分を見る不安はありますが、いち映画ファンとして出来上がりが楽しみです」と話している。

瀧内は「最初に脚本を読んだ時の感想は、絡みのシーンが多い、他愛のないことをずっと喋っている。面白いけれど、私に出来るのかなぁと思いました」と撮影前の思いを告白。「現場に入り柄本さんとお芝居をすると、賢治と直子として他愛のないことを話す、食べる、身体を合わせる、寝る。そんな2人の日常を積み重ねていくうち、ああ生きるってこういう事なのかなと、自然と身体が動き、賢ちゃんを真っ直ぐ見て、聞いて、素直に直子として生きたように思えます」とコメントを寄せている。

火口のふたり」は、19年に全国公開。R18+(18歳未満入場不可)指定。

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