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「十年」石川慶ら新鋭5人が込めた“思い”、そして総合監修・是枝裕和監督からの助言

2018年10月16日 23:00

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監修を務めた是枝裕和監督からの アドバイスについても言及
監修を務めた是枝裕和監督からの アドバイスについても言及

[映画.com ニュース] 「万引き家族」の是枝裕和監督が総合監修を務めたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の会見が10月16日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、監督として参加した石川慶木下雄介津野愛早川千絵藤村明世が出席した。

香港で社会現象となったオムニバス「十年」の日本版。高齢化、AI教育、デジタル社会、原発、徴兵制をテーマに据え、新鋭映像作家が独自の視点で“10年後の社会や人間”を描き出す。キャストには杉咲花太賀川口覚池脇千鶴國村隼らが結集している。

5人に投げかけられた質問は、「なぜこのテーマを選んだか」。徴兵制が義務化された日本が舞台の「美しい国」を手掛けた石川監督(「愚行録」)は、「やりたかったのは、ひと言で言えば『表現の自由』。例えば藤田嗣治という画家が“戦争画家”になっていったように、何かが起きた時に、自分たちが作り手としてどう巻き込まれていくのかと考えた」とし、「10年というスパンで最もあり得ることは、徴兵制。そこからストーリーを考えました」と明かした。

さらにAI知能に道徳を刷り込まれた子どもたちを描く「いたずら同盟」の木下監督は、「話をいただいたのが、初めての子どもが生まれた3日後。10歳の子どもを主人公にしたいと思った」と振り返り、「今年の4月から道徳が教科化され、10年後はどうなっているだろう、と。(多面的な)道徳が教科となり、先生や不完全な大人に評価されるのはどうなのか、という思いもありました」と説明。家族の個人データを遺産として受け継いだ一家の物語「DATA」を製作した津野監督は、「香港版は大きな政治的なテーマでしたが、今作ではより身近に恐怖に感じることを選びました」と語った。

高齢者に安楽死を奨励する未来版“姥捨て”を紡いだ「PLAN75」の早川監督は、「高齢者を含む“社会的弱者”に不寛容な風潮。それを社会に感じ、憤りを持ってつくろうと思った」と述懐。大気汚染によって地下への移住を強いられた母娘を映す「その空気は見えない」の藤村監督は、2011年3月の震災を引き合いに「原発で事故が起き、見えない空気がすごく怖いと思うようになった。10年前は空気が怖くなるとは予想だにしなかった。10年後も、予想もしていない未来になっているのでは、と思い物語を描いた」と話していた。

また、シノプシスや脚本などで支援を行った是枝監督とのエピソードも飛び出した。石川監督は「終了したあとに話していたところ、『アドバイスした箇所が次もまた同じだったら、それ以上は言わないようにしていた。あえて変えなかったということは、作家として譲れないことだろう』と。普段のプロデューサーとのやり取りとは全く違い、すごく新鮮に思えた」と感慨深げに明かす。是枝監督や西川美和監督が中心の製作集団「分福」で活動する津野監督は、「是枝さんは自分の現場でも、脚本を撮影当日にも直している。『今朝タクシーのなかで思いついた』ということも反映される」と前置きしたうえで、「そういう姿を見ているので、新人なのに申し訳ないんですが、私もギリギリまで考えさせてもらっていました」と恐縮そうに述べていた。

十年 Ten Years Japan」は、11月3日から東京・テアトル新宿、大阪のシネ・リーブル梅田ほか全国で順次公開。

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