河瀬直美、樹木希林さんに特別功労賞を授与 「なら国際映画祭」オープニングセレモニー
2018年9月20日 23:30
[映画.com ニュース] 映画作家の河瀬直美氏がエグゼクティブディレクターを務める「なら国際映画祭」のオープニングセレモニーが9月20日、奈良県文化会館で行われ、9月15日に亡くなった女優の樹木希林さんに特別功労賞が贈られた。
映画祭は融通念仏宗正傳寺の住職らが、映画祭の成功を祈念した声明(しょうみょう)を上げ、開幕。樹木さん主演の「あん」を監督した河瀬氏は「太陽が昇れば、やがて沈み、そして巡ります。世界はここにあり、命は永遠です。この広い宇宙観を讃えるための声明とともに、女優・樹木希林さんの功績を称え、ここに特別功労賞を授与いたします」とスピーチ。スクリーンには樹木さんの写真や映像が映し出された。
司会者からは「(NARA-wave審査員を務める)永瀬正敏さんの隣の席が樹木希林さんの席です。席に向かって拍手をお願いします」と言うと、会場からは惜しみない拍手が。「あん」で共演した永瀬も思わず感情を抑えられず、涙ぐんでいた。
この日、「なら国際映画祭」のアンバサダーに就任した俳優の斎藤工も「先ほどまで降っていた雨は止みました。悲しみの雨だったのではないかと思いましたが、(雨がやんだのは)希林さんは『泣いている場合じゃないわよ』とおっしゃっているんだと思います。この映画祭に、希林さんの存在を感じます」と話した。
また斎藤は本年度、新たに新設された功労賞授賞式ではプレゼンターとして登壇。受賞者はウォン・カーウァイ、ジム・ジャームッシュ、チャン・イーモウ、 M・ナイト・シャマラン監督作品のカメラマンとして知られるクリストファー・ドイル氏。斎藤は「伝説のスーパー撮影監督、ドイルさんです。お酒が好きで、お酒と仲良くされています」と紹介し、花束を手渡した。
上機嫌のドイル氏は「今日は、関わりがあったフィルムメーカー10人に会うことができ、うれしい。これまで30年間、映画を撮ってきましたが、あと30年くらいいけそうです。今年は3本の日本映画を撮りました。2年後(の『なら国際映画祭』では)は、若い日本人の女性監督に賞が行けばいいと思います」と話した。
奈良はこの日午前から雨模様。このため、レッドカーペットセレモニーは定刻より約15分遅れてスタート。インターナショナル・コンペティション部門の審査委員長のクリスティアン・ムンジウ監督、片寄涼太、オープニング作品の「二階堂家物語」の加藤雅也、石橋静河らがレッドカーペットを歩いた。そんな中、野生のシカが紛れ込むという奈良ならではのハプニングもあった。
「なら国際映画祭」は奈良の平城遷都1300年目となる2010年にスタート。映画祭は2年に1回開催するほか、国内外の若手監督と奈良を舞台とした映画制作や、こども・海外学生とのワークショップ、奈良市内を移動する映画館「ならシネマテーク」など、映画の魅力を伝える数々のプロジェクトを実施している。第5回を迎えた今年は「RE:CREATION と 次の世代へ」がテーマ。期間中、メイン会場「ならまちセンター」内では、 樹木さんを偲ぶ写真展「愛・樹木希林」も開催。 写真家レスリー・キー氏が撮影した樹木さんの写真や「あん」での製作現場の写真を展示している。映画祭は24日まで。
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