木村大作監督、“クロサワ級”評価に満足げ「壮絶な美を狙った」
2018年9月5日 08:00
木村監督は、1999年に高倉健さんが主演の「鉄道員(ぽっぽや)」で、初の海外映画祭となるモントリオールに参加。健さんが最優秀男優賞を受賞した際には、降旗康男監督とともに名代としてステージに立った。その思い出の地での戴冠となったが、受賞の知らせを受けての第一声は「グランプリ(最優秀作品賞)じゃねえのかよ」だった。
いきなりの“大作節”さく裂だが、すぐに冷静さを取り戻したという。「思い直したら、銀メダルということだからね。日本の美しい時代劇という映画作りが認められたってことだから。スタッフ、キャスト全員がひとつの方向を向いていた。それに対する賞だと思うから感謝している。うれしいですよ」と相好を崩した。
映画祭審査委員長のエリー・カスティエルが、「映画を見て、クロサワを思い出した。クロサワはショー的な映画だが、この作品は絵画の連続だった」という評価にも満足げな笑みを浮かべる。黒澤明監督の下でキャメラマンとしてのキャリアをスタートさせ「用心棒」「椿三十郎」などを手掛けているだけに、「超えることは無理だが、迫ろうとは思っている。黒澤さんの1カットで撮る殺陣にインスパイアされているが、そこに雨や風など自分の色を加味して壮絶な美を狙った。それはできている自負がある」と胸を張った。
自身の歯にきぬ着せぬキャラクターが知られていない海外での評価には、「79歳のじいさんが撮った3本目だけれど、初見で評価されたのは久しくそういう映画がなかったからだろうな」と持論を展開。さらに「次に撮る作品は、これを上回るものを作らなきゃいけないからプレッシャーは大きい。1本1本、自分の進歩を見せたいけれど、先はあまりないからなあ」と冗談めかした。
その上で、「これで認知度が少しでも上がって、日本で多くの人に見てもらえればいいんだよなあ」と期待。その「散り椿」は、9月28日から全国で公開される。
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