福士蒼汰×杉咲花、実写「BLEACH」の“重圧”が“手応え”に変わる瞬間
2018年7月19日 15:00
[映画.com ニュース] 現在の日本映画界を語るうえで、“実写化”は避けては通れない。特に昨今は、ワーナー・ブラザース映画が相次いで世に放った「銀魂」「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」「鋼の錬金術師」など、実現不可能と思われてきた大人気漫画の実写化が目立った。そして同社がおくる「BLEACH」(佐藤信介監督)が、製作決定の報から約2年が経過した7月20日、満を持して公開を迎える。撮影現場に立った主人公・黒崎一護役の福士蒼汰、そして朽木ルキア役の杉咲花の両肩には、“全世界1億2000万部発行の大人気原作”という、かつてない重圧がのしかかっていた。(取材・文/編集部、写真・間庭裕基)
霊が見える以外は普通の高校生・黒崎一護(福士)が、突然現れた「死神」朽木ルキア(杉咲)から「死神の力」を授けられ、人の魂を食う悪霊・虚(ホロウ)と戦うさまを描いたバトルアクション・エンタテインメント。福士は主演のオファーを受けた際を、こう振り返る。「驚きとプレッシャー。責任の重さがまずあって。でも、楽しみでした。一護という役は、それほど魅力的でした」。
杉咲も「私もプレッシャーがありました。ルキアを演じさせてもらえる嬉しさもありましたが、それよりもドキドキのほうが大きかったです」と声をそろえる。“原作もの”を多く経験し、そのたびに一回り大きく成長し自身の糧にしてきた2人だが、今作の重圧には、やはり不安が多分に含まれる複雑な感情を抱かざるを得なかった。
2人の共演というと、ワーナー・ブラザース映画が沙村広明氏の漫画を映画化した「無限の住人」(2017)が記憶に新しい。福士は「良い悪いではなく『無限の住人』と今回はまったく違うものでした。『無限』では主演ではなく、木村拓哉さんの敵役。しかし今回は主演です。責任や『こうしなければいけない』という気持ちがあり、そういう意味で違うものなんです。今回、主役としていることが大きなポイントで、どんな場面でも、なにがあってもいろんな人の期待を自分が“背負う”覚悟をしなければいけない。大きいです。背負いきれない。そう思いながら背負っていました」と、率直な胸中を告白する。
一方の杉咲は、「原作があってもなくても、ひとつの作品に対する緊張感や思いは、自分のなかでは変わらないつもりです」と明かす。杉咲にとって重圧は“常に感じる”ものであり、その緊張感こそが芝居に力を付与しているという。ただ、アクションについては「今回のルキアは剣を握ることに慣れている役どころなので、もっと練習をしなければと思っていました」「一護とルキアの特訓シーンは本当に難しくて。『合うように調節しながらやってね』と言われるんですが、私は手順をやることに精一杯で、調節をどうすればいいかわからなくって……。何度も本気で、力づくでやってしまって、危なっかしかったです(笑)。とにかく慣れていなかったので、迷惑かけっぱなしで、何度福士さんを怪我させてしまうかと、ヒヤヒヤドキドキしっぱなしでした」といい、福士と笑顔を見合わせた。
そんな杉咲のひたむきな姿勢が、福士に与えた力は大きかったのだろう。福士は「『無限の住人』で共演する前から知っていましたし、共演もさせて頂きましたが、今回は一緒にいる時間がより長かったので、たくさん話して、たくさん笑いました」と話し、ほほ笑みながら慈愛に満ちた眼差しを向ける。杉咲が「いままでで一番話しましたね。私、福士さんとの共演が一番多いんです。5回くらい。でも、ここまで向き合う役は初めてでした。すごく優しくしていただいて、お世話になりました」と感謝すると、「こちらこそ。今までよりも深い話ができたし、お芝居を通じて感じる部分もありました」と応じていた。
現場で感じることを丁寧につかみとり、カメラの前で衒(てら)いなく発揮し続けた日々。重圧に押しつぶされているだけでは、ファンは納得しない。作品づくりに真摯に取り組むことで、さまざまな不安が“手応え”に変わる瞬間が、確かにあったという。
杉咲「ずっと不安は抱えていましたが、スタッフさんたちも責任を背負って、私にたくさん教えてくださっていることもずっと感じていました。スタッフさんを信じ、委ねることを大事にしていくうちに、安心感が増えていきました。また、ルキアとしての感情をちゃんと理解できるか、というのも自分の課題でした。一護と過ごす時間で生まれてくるものを、全部見逃さないように。すべてのシーンを撮り終えた時に、『ちゃんと一護と向き合えていたのかな』と思うと、そこでホッとしたというか。ルキアとして過ごせてきたと感じ、不安はなくなっていました」
福士「自分も、不安はずっとありました。言ってしまえば、今でもあるくらいです。“不安がないとき”はいつだったかと考えてみたら、“芝居をしている瞬間”だったんです。目の前の人と一緒の空間にいるとき、それはなくなっていました。終わったらまた不安になって、『大丈夫だったかな?』とか思うんですけど(笑)」
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
犯罪が起きない町で、殺人事件が起きた――
【衝撃のAIサスペンス】映画ファンに熱烈にオススメ…睡眠時間を削ってでも、観てほしい
提供:hulu
映画料金が500円になる“裏ワザ”
【知らないと損】「映画は富裕層の娯楽」と思う、あなただけに教えます…期間限定の最強キャンペーン中!
提供:KDDI
グラディエーターII 英雄を呼ぶ声
【史上最高と激賞】人生ベストを更新し得る異次元の一作 “究極・極限・極上”の映画体験
提供:東和ピクチャーズ
予想以上に面白い!スルー厳禁!
【“新傑作”爆誕!】観た人みんな楽しめる…映画ファンへの、ちょっと早いプレゼント的な超良作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。