「万引き家族」は納豆ごはん!? 樹木希林は松岡茉優の“恋人”を酷評
2018年6月9日 15:30
[映画.com ニュース] 第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを獲得した是枝裕和監督作「万引き家族」の公開記念舞台挨拶が6月9日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、是枝監督をはじめ、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、樹木希林、子役の城桧吏くん、佐々木みゆちゃんが出席した。
6月8日に全国329館(334スクリーン)で封切られた本作は、万引きで生計を立てながら暮らすある家族の姿を描く。パルムドール獲得という快挙を果たした是枝監督は「『(本作は)小さく産んで、小さな声で届けよう』ということでスタートしました。それが結果的に、広く、遠くまで作品を届けることができたのは、スタッフ、キャストがとても良い形で支えてくれたおかげだと思っています」と深い謝意を示した。
「是枝組で過ごした時間は、短くて穏やかなのに、所々でとんでもない興奮、そして爆発が起こる感じ。ちょっと感覚がおかしくなりそうだった」と言葉を紡いだ安藤は「監督に限らず、ここにいる皆さんは物凄い方々。納豆ごはんみたいな感じなんです」と独特な言い回し。「これはいつも通りのトークですね」というリリーのツッコミに慌て始めると「なんて言えばいいんだろう…キャビアを食べているような感じなのに、いつも納豆ごはんのような(笑)。監督の器の大きさと深さは見ていると恐ろしくなるくらい。その器が納豆ごはんを食べるお茶碗のように、心地よく受け止めてくれる」と必死に意図を説明していた。
松岡は、劇中で唯一共演シーンのあった“4番さん”役の池松に対し、「今日はカンヌ以来“家族”に会えるということで嬉しかったんですけど、なんで池松さんが来てくれるんだろうと。今まで紹介できなかったんです。“家族”にようやく紹介できました」とニッコリ。場内からは温かい拍手が巻き起こったが、樹木の「将来に見込みがなさそう。幸せにならない相手だね」という発言には、観客も笑いを禁じ得なかった。酷評されてしまった池松は「図々しいと思いながら、ここに立っています」と謙そんしながらも、「カンヌからとんでもないお土産を持って帰ってきてくださった。平成の終わりにこんなことが起こるとは思ってもいなかった」と喜びを爆発させていた。
樹木は「(パルムドール獲得は)偶然じゃない。この前、河瀬直美さんから電話がかかってきて『長いこと貯めていたものが一挙に花開いた。本当に素晴らしい』と仰っていた。あんなに“わたくしが”という方が人を褒めるなんてね」とエピソードを披露。「9歳から28歳にかけて団地にしか住めなかった監督の貧しさ(の表現)に関しては右に出る者はいない! それが世界に認められたのは快挙。これが作家性じゃないかと思う。皆、感謝しています」と“毒舌”を交えながら是枝監督を絶賛していた。
みゆちゃんがテレビ画面に映るパルムドール像を見ながら作ったという“手作りトロフィー”を受けとった是枝監督は、締めの挨拶で「納豆ごはんのような映画です」と改めて強調して笑いを誘った。そして「毎日食べられると思います。見るたびに味わい方の変わる映画になったはず。みゆちゃん、桧吏くんの目線でも見られるし、大人は大人でちょっと切ないかもしれませんが、自分を超えていく子どもたちを遠くに見ながら、それでも“親”になっていく、そういう物語としても見ることができると思います。長く公開を続けていきたいので、また劇場に足を運んでください」と言葉に力を込めていた。