町山智浩氏、巨匠リドリー・スコットを語る 「ゲティ家の身代金」製作で脅迫も
2018年5月7日 23:50

[映画.com ニュース] 巨匠リドリー・スコットがメガホンをとり、アメリカで実際に起きた誘拐事件を描いた「ゲティ家の身代金」の公開を記念し5月7日、映画評論家の町山智浩氏によるトークイベントが東京・神楽座で行われた。
映画の題材は、1973年に石油で財を成した大富豪ジャン・ポール・ゲティの孫ポールが誘拐され、日本でも大きく報じられた事件。ゲティは、50億ドルの資産を持ちながら身代金1700万ドルの支払いを拒否。ポールの母ゲイルは、息子のためゲティと対立しながら誘拐犯と対峙することになり、やがて事件は思いがけない方向へと進んでいく。完成間際の2017年11月、当初ゲティ役だったケビン・スペイシーがスキャンダルによって降板。急きょクリストファー・プラマーが同役に起用され、第90回アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
町山氏は、今作のスペイシー降板による撮り直しにかかった費用は10億円にのぼったといい、スコット監督が「(スペイシーを)『ぶっ殺したいよ!』って言ってました(笑)」と告白。スコット監督は、取り直しに際してゲイル役のミシェル・ウィリアムズと、そのアドバイザー役のマーク・ウォールバーグの報酬に大きな差があったことを知らず激怒していたといい、「リドリー・スコットはフェミニスト映画のパイオニア。『テルマ&ルイーズ』や『エイリアン』、『G.I.ジェーン』もそう。どうして女の人が悪い男をぶちのめす映画ばかりなんですかと聞いたら、彼のお母さんがそういう人だったと言っていました。お父さんは軍でいなくて、お母さんはやんちゃ坊主を2人抱えて頑張っていた。(今作も)頑張るお母さんの話なんです」と解説した。
公開直前でのキャスト交代に不安の声も上がったが、スコット監督はもともとゲティ役にプラマーを予定していたという。「映画会社から今のハリウッドの大物を使ってくれと言われて、ケビン・スぺイシーに無理やりメイクさせてやらせていた。だから結果として良かった。(2人の俳優は)どう違うのか聞いたら、全然違う映画になっちゃったと。シナリオも出方もまったく同じだけれども、俳優が違うだけでゲティがまったく違う人格になったと言っていましたね」と裏話を披露。さらに、「ケビン・スぺイシー版は、冷酷非情な金持ちという感じでまったく感情移入できない。クリストファー・プラマーさんは、そこにすごく人情を入れてきた」と感想を語った。
また、スコット監督が今作の製作に際し、実際にポールを誘拐した組織ンドラゲタから手紙で脅迫されていたといい、「うちの組をチンケな悪党として描くんじゃねえというのが来たと言っていました(笑)」と現在も続く巨大勢力の存在を明かした。さすがのスコット監督も怯みそうな話だが、町山氏はスコット監督を「どうかしているおじいさん」と表現し、負けていないと断言。「(クエンティン・)タランティーノとかデビッド・フィンチャーはそういう(残虐な)シーンを見せるかのようにして、実際は見せていない。この人は平気で見せますから(笑)。これはやばいと思ったらこうやった方がいいですよ」と目隠しを勧め、会場の笑いを誘っていた。
「ゲティ家の身代金」は、5月25日から全国で公開。
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