ミヒャエル・ハネケ、「ハッピーエンド」は日本の事件からインスピレーション受けたと明かす
2018年3月2日 15:30
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[映画.com ニュース]「ピアニスト」「愛、アムール」のミヒャエル・ハネケ監督の最新作「ハッピーエンド」が3月3日公開する。難民が多く暮らすフランス北部の町に3世代で住む、裕福な一家が崩壊していくさまをジャン=ルイ・トランティニャン主演で描く。イザベル・ユペール、マチュー・カソビッツらが共演。家族のそれぞれの物語にSNSや難民問題も交えて現代社会を風刺するハネケ監督に話を聞いた。
「映画のテーマは難民問題そのものではなく、それに直面した人々のあり方です。この家族の、いま世界で起きていることに対する無関心。彼らは自分たちの小さな問題にばかり捕われていて、社会の現実が見えていない。それを表現したかったのです。でも現代に生きる彼らを描くなら、いまヨーロッパで大きな問題となっている難民のことを取り上げるのは自然だと思いました。ただしカレーにとくにこだわりがあったわけではありません。ヨーロッパの難民のいる街ならどこでも舞台になり得たでしょう。映画作家としては、現代社会を描く限りいま起きていることを反映するのは自然であり、また義務でもあると思うのです」
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「日本での少女の薬殺未遂事件をニュースで読んで、この映画のきっかけになっていることは事実です。この事件は私にとって大きなインスピレーションを与えてくれました。SNSでどういう事が起こり得るか、すごくいい例だったと思います。現代のSNSは、昔の教会が持っていた役割を果たしていると思うのです。カトリックの教会では懺悔がありますよね、この少女がなぜSNSにポストしていたのかと思うと、匿名で投稿していても、どこかで発見されるかもという思いがあると思うんです。私が思うには、注目を集めたいという気持ちが一つあって、もう一つは罰を受けたい、という欲求、そいうものがモチーフにあると思うんです。それは昔教会で人が懺悔するという思いと同じです」
「そうですね。たとえばカフェに行って周りの家族やカップルを観察してご覧なさい。彼らは大抵、みんながそれぞれスマートフォンを見ていて、たいして会話もしていないでしょう(笑)。ソーシャルネットワークの発展は、ここ十数年でわたしたちのあり方を大きく変えたと思います。このわたしにしても、スマートフォンなしではもう生きていけない。それは便利で素晴らしい一方、大いなる危険がある。人とのダイレクトなコンタクトを失い、完璧に自閉症的になる。そういう自閉症的な社会を描くことに興味があったのです。もうひとつ言えることは、いまやどこにいてもみんなインターネットで何でも世の中のことを知ることができる。情報の洪水です。でもそれらは表面的なものだけで、実際に体験したことではない。それはリアリティとはまったく関係がない。結局我々は何も知らない、見ていないのと同じです。でもそれが現代に生きる我々の運命でもあると思います」
「観客を挑発すること自体が狙いというわけではありません。考えさせることが大事なのです。映画が衝撃的であれば、あるいはシリアスであればあるほど、人々の心は動揺させられ、それについて深く考えるようになるかもしれない。わたしは一本の映画が世界を変えるとは思っていません。それはいささかナイーブな考えでしょう。でもたくさんの映画が作られることによって、それらの物語に触れることで、わたしたちの人間性が少しでもより良いものになればいいと願っています」
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