ベン・アフレック、監督・主演作「夜に生きる」は「偉大なギャングスター映画へのラブレター」
2017年5月19日 14:00
[映画.com ニュース]ベン・アフレックが、第85回アカデミー賞で作品賞に輝いた「アルゴ」以来5年ぶりの監督・主演作「夜に生きる」について共演者のクリス・メッシーナと共に語った。
新バットマン役としても活躍するアフレックが、長編初監督作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」に次いで再びデニス・ルヘイン氏の小説を映画化。禁酒法時代のアメリカ・ボストンを舞台に、ギャングの青年ジョー・コフリン(アフレック)が闇社会でのし上がっていくさまを描く。「アルゴ」に続くアフレックとのタッグとなるメッシーナは、ジョーの相棒ディオンに扮する。
本作はレオナルド・ディカプリオが製作を務めており、映画化を働きかけたのもディカプリオだという。アフレックは「まず何より、ルヘインの描く会話は、本当にシャープだし、パンチがあるし、彼が書くキャラクターは、個性的で、ものすごくセクシーだから大好きなんだ。スクリーンに登場した瞬間に、衝撃的な存在感を放つ。だから、脚本を書くときに、キャラクターを映画の中で際立たせるために何もしなくていい。最初から映画のスクリーンで輝くように書かれているからね。ルヘインの書くキャラクターには常に複雑さの中に矛盾が介在している。映画監督としては、それをいつも描きたいと思っているんだ」とルヘイン作品の魅力を解説する。
その上で「この作品が好きだったのは、30年代、40年代、そして60年代、70年代の偉大なるギャングスター映画への“ラブレター”が作れると思えたことだった」と製作を決めた理由を明かす。「クラシックで、本当に格好よいギャングスター映画を作ることができる、完璧な物語だと思えたんだ。偉大な映画の伝統や手法を使いながら、観客が楽しめる作品が作れるとね」。
アフレックは、お気に入りのギャングスター映画について「もちろん挙げ出したらきりがないけど、『民衆の敵(1931)』から『白熱(1949)』、『汚れた顔の天使』、それに、『ゴッドファーザー』、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』と、リストは限りなく続くね」とシネフィルぶりをのぞかせる。アフレックの熱弁を傍らで聞いていたメッシーナは「ベン(・アフレック)は、歩く映画字引だ。彼の家に行くと分かるんだけど、すべてがそろっていて、『この映画のこういうシーンのような感じで撮りたい』と映画を見せながらしっかりと説明してくれる。だから、彼と映画の撮影現場に一緒にいると、ほとんど映画学校に通っていると思えるくらいの体験になるんだ」と明かす。
本作は4本目の監督作となるが「この映画は、間違いなく、これまでの3本の映画を監督していなかったら絶対に作れなかった作品だと思う」と感慨をにじませる。「『ゴーン・ベイビー・ゴーン』は最初の1歩であり、『ザ・タウン』はそれを拡大したようなもので、『アルゴ』はさらに前進したような作品だった。そしてこの作品は、僕がこれまでで最大の挑戦を行った作品であり、最も前進できた作品だった。映画監督としての僕にとって大事なのは、これまでやったことのない作品に挑戦し続けること。幅広い作品を作ることができるのが、僕にとって1番興味のあることだからね」。
とはいえ、アフレックの創作意欲はまったく尽きる気配が見当たらない。「『ムーンライト』を見て、『クソ! こういう映画を作るべきだった』って思ったよ、マジで(笑)。誰かの人生について描いた、演技が光る映画を作るべきだと思ったんだ。あの映画を見て本当にぶっ飛んだよ、最高だ。僕は、彼(バリー・ジェンキンス監督)と知り合いでもなかったんだけど、どうしてもそれが伝えたくて、彼にEメールを送ったくらいだった。『あなたは最高の監督です。大ファンです。この作品は傑作です』ってね。それから、僕の弟(ケイシー)が出ている『マンチェスター・バイ・ザ・シー』だって、巨額の予算が投じられた作品じゃない。でも本当に優れた作品だ。だから、そういう映画を見ると、僕とクリス(・メッシーナ)と俳優何人かでカメラだけ持って、ありきたりの人生についての映画をどこかで撮影できたらどんなによいだろう、と思ったりするんだ」と思いをはせていた。
「夜に生きる」は、5月20日から全国公開。
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